17 / 20
17.贖罪
しおりを挟む
アーロンの真意を理解したと感じたロザリアは、歓喜した。
そして、彼の勝利を心から祈った。
それからどれくらい経っただろうか。
僅かな時間だったのか、長い時間が経ったのか、彼女の時間感覚は麻痺していた。
黒い影はアーロンの攻撃を幾度も受けて、当初の勢いを失ったようにロザリアには見えた。
戦いについて素人である彼女には、間もなく彼の勝利が確定するに違いないのだと思えた。
だが、アーロンは彼女が予想もしない行動に出たのだった。
彼は深く息を吸うと、自身の胸に片方の手を当て、もう一方を災厄の方に向けて翳した。
そして、古代語の呪文を唱え始めた。
「何を・・・言ってるの?アーロン・・・」
アーロンは魔術の才に長けていたが、ロザリアも負けてはいなかった。
実践出来るのは回復魔術のみとはいえ、彼女の持つ魔術に関する知識の量は誰にも負けないと言って良かった。
それゆえに、彼女にはアーロンが今唱えている呪文の意味が理解できてしまった。
そして、それが何を成そうという魔術なのかも。
「駄目よ、アーロン!止めて!!」
拡がっていた黒い靄が急速に収縮し、アーロンの中に吸い込まれていく。
彼は自身の中に災厄の魔物を取り込んだのだった。
奇しくも、彼はここに来て自らの父と同じ選択をした。
否、彼は彼女と再会し、この片道の旅への随伴を望んだ時、既にその覚悟を決めていたのだった。
自身の命を捨ててでも、ロザリアのことは必ず守り切ってみせるのだと。
その為には、こうするのが最善の策に違いないのだと。
それこそが、無駄に生き長らえてしまった自分の命に与えられた、最も意味のある使い道に違いないのだと。
そして、そうすることで自分は全ての罪を贖うことが出来るのだと。
彼はそう確信していた。
彼は自分の命を捨てることに何の躊躇いも無かった。
だが、彼女を救うためとはいえ、また自分勝手に彼女を置き去りにして、一人きりにしてしまうことだけが、今のアーロンにとっては酷く心残りのように思えた。
そして、彼の勝利を心から祈った。
それからどれくらい経っただろうか。
僅かな時間だったのか、長い時間が経ったのか、彼女の時間感覚は麻痺していた。
黒い影はアーロンの攻撃を幾度も受けて、当初の勢いを失ったようにロザリアには見えた。
戦いについて素人である彼女には、間もなく彼の勝利が確定するに違いないのだと思えた。
だが、アーロンは彼女が予想もしない行動に出たのだった。
彼は深く息を吸うと、自身の胸に片方の手を当て、もう一方を災厄の方に向けて翳した。
そして、古代語の呪文を唱え始めた。
「何を・・・言ってるの?アーロン・・・」
アーロンは魔術の才に長けていたが、ロザリアも負けてはいなかった。
実践出来るのは回復魔術のみとはいえ、彼女の持つ魔術に関する知識の量は誰にも負けないと言って良かった。
それゆえに、彼女にはアーロンが今唱えている呪文の意味が理解できてしまった。
そして、それが何を成そうという魔術なのかも。
「駄目よ、アーロン!止めて!!」
拡がっていた黒い靄が急速に収縮し、アーロンの中に吸い込まれていく。
彼は自身の中に災厄の魔物を取り込んだのだった。
奇しくも、彼はここに来て自らの父と同じ選択をした。
否、彼は彼女と再会し、この片道の旅への随伴を望んだ時、既にその覚悟を決めていたのだった。
自身の命を捨ててでも、ロザリアのことは必ず守り切ってみせるのだと。
その為には、こうするのが最善の策に違いないのだと。
それこそが、無駄に生き長らえてしまった自分の命に与えられた、最も意味のある使い道に違いないのだと。
そして、そうすることで自分は全ての罪を贖うことが出来るのだと。
彼はそう確信していた。
彼は自分の命を捨てることに何の躊躇いも無かった。
だが、彼女を救うためとはいえ、また自分勝手に彼女を置き去りにして、一人きりにしてしまうことだけが、今のアーロンにとっては酷く心残りのように思えた。
39
あなたにおすすめの小説
安らかにお眠りください
くびのほきょう
恋愛
父母兄を馬車の事故で亡くし6歳で天涯孤独になった侯爵令嬢と、その婚約者で、母を愛しているために側室を娶らない自分の父に憧れて自分も父王のように誠実に生きたいと思っていた王子の話。
※突然残酷な描写が入ります。
※視点がコロコロ変わり分かりづらい構成です。
※小説家になろう様へも投稿しています。
リアンの白い雪
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
その日の朝、リアンは婚約者のフィンリーと言い合いをした。
いつもの日常の、些細な出来事。
仲直りしていつもの二人に戻れるはずだった。
だがその後、二人の関係は一変してしまう。
辺境の地の砦に立ち魔物の棲む森を見張り、魔物から人を守る兵士リアン。
記憶を失くし一人でいたところをリアンに助けられたフィンリー。
二人の未来は?
※全15話
※本作は私の頭のストレッチ第二弾のため感想欄は開けておりません。
(全話投稿完了後、開ける予定です)
※1/29 完結しました。
感想欄を開けさせていただきます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
いただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
誰にも言えないあなたへ
天海月
恋愛
子爵令嬢のクリスティーナは心に決めた思い人がいたが、彼が平民だという理由で結ばれることを諦め、彼女の事を見初めたという騎士で伯爵のマリオンと婚姻を結ぶ。
マリオンは家格も高いうえに、優しく美しい男であったが、常に他人と一線を引き、妻であるクリスティーナにさえ、どこか壁があるようだった。
年齢が離れている彼にとって自分は子供にしか見えないのかもしれない、と落ち込む彼女だったが・・・マリオンには誰にも言えない秘密があって・・・。
あなたのためなら
天海月
恋愛
エルランド国の王であるセルヴィスは、禁忌魔術を使って偽の番を騙った女レクシアと婚約したが、嘘は露見し婚約破棄後に彼女は処刑となった。
その後、セルヴィスの真の番だという侯爵令嬢アメリアが現れ、二人は婚姻を結んだ。
アメリアは心からセルヴィスを愛し、彼からの愛を求めた。
しかし、今のセルヴィスは彼女に愛を返すことが出来なくなっていた。
理由も分からないアメリアは、セルヴィスが愛してくれないのは自分の行いが悪いからに違いないと自らを責めはじめ、次第に歯車が狂っていく。
全ては偽の番に過度のショックを受けたセルヴィスが、衝動的に行ってしまった或ることが原因だった・・・。
踏み台令嬢はへこたれない
三屋城衣智子
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
表紙絵:三屋城衣智子
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる