11 / 16
4
桜散る カイside
しおりを挟む暗闇が空を覆う静かな夜を未来永劫繰り返す。待ってくれとカイが願っても、一日は残酷にも終わる。待ち望んでいた以上の幸福に、狂うカイを笑っているのか。月明かりは、愛しい人の青白い肌を照らす。見て見ろ、これがお前の求めていた未来だと。
月はさようならと眠りにつく。次に会う日まで、どうぞ愛しい存在を生かしておくのだ。ずっと続けばいいのにと、願うカイを置いて。
柔らかいシーツのベッドで、深く眠るユイトの肌を、カイは優しく撫でた。手でなぞるその白い肌は、鬱血の跡で痛々しい。泣き晴らした綺麗なアーモンドアイは閉じられ、夢を見ているのか、時折動く瞼は少し赤みが差していた。唇は噛んだのか薄い皮膚が切れていた。眠り続けている顔はあどけない。そのユイトの体を執拗に触り、柔らかい感触に唾液を嚥下する。
「何故いつも俺を置いていくの、何の夢を見ている、そこに俺はいる?」
桜が散る四月の街は、ピンクの絨毯で賑わう。ユイトとカイは、仲良く同じ大学に進学した。カイの目指す大学へは、当初のユイトの成績では無理であった。
それを日頃からカイは、自分と同じ道へ進ませようと目論んでいた。受験という試練に頭を悩ませていたユイトに、付きっ切りで教え込む。その辛い選択にユイトは、文句の一つも言わなかった。大切な人が求める道に寄り添うよう努力して、カイの目指す二人の道だけに挑んだ。
「ああユイト、夢みたいだ、毎日ユイトと同じベッドで眠れる、朝も一緒に迎えるんだ」
そしてカイたっての願いでもある、ユイトが守らなければいけない重要事項がある。約束を交わした同棲だ。自身の荷物とユイトの私物で埋め尽くされた、一階一邸のマンションの最上階に住まう。「賃料などは心配はいらない」困惑するユイトとその両親を、カイは必死に説き伏せた。
親の持ち家だと説明をした。それならば生活費だけでも、少しでもカイに恩返しをしたい。アルバイトを始めようとしたユイトに、その必要はない、家にいてくれるだけでいいと説得した。
「おかしいねユイト、こんなに幸せなのに、俺は何で寂しいのかな、夜が怖いよ」
いつも傍に寄り添うユイトの視線が、自分以外の人間に動いていた。
以前にも増してほんの些細なユイトの言動に、焦燥感を抱く。今日もカイの激情のまま激しく抱いてしまい、ユイトは寝息も立てずに深い眠りに落ちている。
病的な束縛も愛しい人への不信感も、そう全て自分の弱さの所為だと分かり切っている。ユイトが与えてくれる幸福を、日々繰り返される事が当然だと甘受していい物か当惑する。
ユイトという純粋で何物にも染まらない存在は、何度汚しても綺麗なままだ。崇高な精神を強いと尊敬をし愛する。だが時に憎いとさえ思える。カイの醜い欲望に溺れるが染まらない、翌日には綺麗に笑う。カイは焦りから胸が引き裂かれる、深く焦がれる人が手に入らないと苦しむ。
「愛してるよ、ユイト、どうか明日も俺を愛して・・・・・・おやすみ、夢で逢おう」
32
あなたにおすすめの小説
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した
あと
BL
「また物が置かれてる!」
最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…?
⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。
攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。
ちょっと怖い場面が含まれています。
ミステリー要素があります。
一応ハピエンです。
主人公:七瀬明
幼馴染:月城颯
ストーカー:不明
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である
隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する
知世
BL
大輝は悩んでいた。
完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。
自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは?
自分は聖の邪魔なのでは?
ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。
幼なじみ離れをしよう、と。
一方で、聖もまた、悩んでいた。
彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。
自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。
心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。
大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。
だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。
それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。
小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました)
受けと攻め、交互に視点が変わります。
受けは現在、攻めは過去から現在の話です。
拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
宜しくお願い致します。
ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!
ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!?
「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??
親に虐げられてきたβが、Ωと偽ってαと婚約してしまった話
さるやま
BL
◆瑞希(受け)語り
□アキ(攻め)語り
攻め→→→→←←受け
眞鍋秋人(攻め)
優秀なα。真鍋家の次期当主。本質は狡くて狡猾だが、それを上手く隠して好青年を演じている。瑞希にはアキさんと呼ばれている。
高宮瑞希(受け)
Ωと偽っている平凡なβ。幼少期の経験からか自己肯定感が低く、自分に自信がない。自己犠牲的。
有栖蕾
花の精のように美しいと名高い美少年のΩ。アキさんの元婚約者(と言っても、正式な婚約関係になく、幼少期の口約束程度)であり、アキさんのことをまだ好いている。瑞希のことを秋人の婚約者として紹介され、許せない相手になった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる