花香る人

佐治尚実

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服は汚す物、脱がすための物※

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 綺麗に着ていた衣服を脱ぎだし始めたカイを見上げた。視界に入った綺麗な人は欲に塗れた眼差しで、愛しき極上の獲物に歓喜している。どう調理しようか愉しんでいた。


「俺を夜ひとりにした罰だよ、気絶しないでと言ったよね、駄目だよ快楽に慣れないと」


 これがその結果だ、服は汚す物、脱がすための物。何も解決の意味を持たなかった。蜘蛛の糸で自分一人では正常な思考を保てずに雁字搦めにされ、カイがいないと生きていけない体にされた。同棲を始めて直ぐに、優しく綺麗なカイという仮面が割れ曝け出された。本性は、ユイトに溺れる欲と愛で狂っていたただの男だ。その一方、ユイトの機嫌を伺う姿は、まるで別人だ。


「駄目だよカイ、あっ、気持ちの・・・・・・いい事ばかりしてると」


 浴室で裸に剥かれた。今日は大学に行けるだろうか、外に出られるか雲行きが怪しい。


 シャワーの湯で濡れた結合部から、漏れる精液と混じり卑猥な水音を浴室に反響させる。ユイトの訴えも無情にもかき消えた。何度目かの精を胎内に放たれた。


「んっ・・・・・・考えただけで外なのに出ちゃう・・・・・・だめ、だめ、ひっ、あああ」


 優しくするという約束は、台所までの話。そこ以外は死ぬほどの快楽をユイトにぶつけて来る。飢餓感に苦しんでいた高校生の時から、溜まりに貯まったカイの欲望が今解放される。


「はぁ、ぅ・・・・・・いやらしい子だ、本当にどうしちゃったんだろうね、ユイト」


「ぅ、ぃ、ああ」


「前をこんなに濡らして、ああ、中が締め付けた、そんなに気持ちいいの?」


 ユイトですら、カイの暴走を止める術を知らない。今まで我慢させていたのだ、自由にさせようと思っていた。欲情した上擦る声音でユイトの羞恥心を煽る。「気持ちがよくない、怖い」もしも売り言葉に買い言葉をぶつけたら、カイは泣き叫び取り乱す。

 その時は、流石にユイトでさえ手を付けられない。だからこそユイトは、己が淫らな身体に作り替えられた事を喜び、興奮したカイの揶揄いにも健気に感じないといけない。


「う、うん、カイが僕を愛してくれる、そう考えただけでお腹の中が熱いんだ・・・・・・」


 演じているわけではない、実際ユイトは男の味を知ってしまった。自慰すら滅多にしない、淡泊な身体は当然性体験も無かった。神様の悪戯か、うぶなユイトを絶倫のカイが征服した。


 冷たいタイルの壁に背中を預け、力の入らない両手をカイの首に回した。強く掴まれた腰を持ち上げられる。怖い、次に迎える衝撃に喉が詰まり、声が出ない。カイが望んでいるであろう淫乱な恋人として、口をついた台詞はユイト自身の本心であった。


「熱いんだ・・・・・・それならば、落ち着かせないといけないね、そうしないと外出も出来ない」


「っ、ぅうう、あっぁっうう」


 挿入が深くなる。カイの筋肉で盛り上がった形の良い広い肩に、刺激によって反射的につま先が伸びた前足が支えられている。背中は浴室の壁、前方はカイの筋肉隆々の肉体に阻まれている。結合部は限界まで強靱な雄を迎え入れようと、尻の肉が左右に割り開かれている。


「・・・・・・その目で俺以外を見たら駄目、許さない」


 逃げ場のない状況にユイトは、咥え込んでいる雄が増大する質量に、どっと涙が溢れる。強い刺激が押し寄せては、腹の奥深くまで暴れる雄に悲鳴を上げる。何度も突き上げられた。


「ひい、いいっ、ああ・・・・・・奥、お、くがすき、もっと、グリグリして」


 串刺しにされる。全身を襲う淫靡な背徳感、愛する男に狂った様に犯されている。このまま死んでしまうのではないか。束縛と執着を一身に浴びる息苦しさ、体中を絞め殺される程の快楽。極楽だ、ご馳走だ。壊れた人形の様に声が嗄れるまで叫び、カイを翻弄させる泣き声を上げる。


「ああ、俺を欲しそうな顔をしているね・・・・・・」


 ユイトの挑発する言葉に、カイは簡単に狂った。濃厚な口づけは、角度を変えて流し込んだ愛が漏れない様に、唾液を味わい舌を絡ませる。

 そしてご要望にお応えし、カイは凶器を奥深くに捻じ込む。


「あぁっ、あ――・・・・・・っ、ん、ん」


「これが欲しいんだろ、っ、そうだ、俺の方が酷い、もっと、もっとだ、足りないよ」


 喘ぎ声も封じられたユイトは、目を大きく開くと視界が熱い液体で滲んだ。技巧を駆使してカイは腰をグラインドさせた、貪欲に快楽を吸収するユイトに喜んで欲しい。

 柔らかい唇を離すと、ユイトの嬌声が上がる。耳が溶けてしまう、その音色にカイは全身を電流が駆け巡る。理性さえも砕け散った。目の前の光景に感動する、思う存分貪り食いたい。


「やっ・・・・・・ああっ! ああ、ああ、あっ、 やっ、こわいこわいよ、カイ、駄目、いっちゃう」


「怖がることない、いいよ、幾らでもイッて! ユイト、ユイト・・・・・・っ!」


 雄を受け入れている胎内がドロドロに溶ける。涙で溢れた瞳にカイの舌が何度も這う、滅茶苦茶に胎内を拡張する熱い塊を貪欲に飲み込み、涙声で気が狂う程気持ちがいいと叫ぶ。


「っぁああ・・・・・・あっ、でちゃう、っぁ――っ!」


「出すよ、沢山出すから受け止めて・・・・・・っぅ」


 お互いに精を放つ。呼吸が定まらない強い刺激に、ユイトは今も雄を突き上げられている錯覚を覚える。呂律の回らない口で、泣きじゃくるユイトはもう大丈夫だと自身に訴え掛ける。


「っう、ぁ」


 カイの首にしがみ付き、汗で濡れた厚い胸に頬を預けた。ユイトを強く抱きしめる、荒い息のカイの鼓動が聞こえる。早く高鳴る音に、ユイトはたまらなく愛しいと切なさで目を細めた。


 胎内で精を溜めた腹の重さに、カイによって指の先から髪の毛一本まで作り替えられている錯覚する。鳥肌が立っている。


 本当に怖かった、ユイトは自分が口走ってしまった言葉を後悔していた。
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