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1話

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俺の名前は平塚ボン
どこにでもいる平凡な男だ。
両親が何の意味を込めてこの名前をつけたのか今じゃわからないが俺にぴったりな名前だ。
特に何の取り柄もない平凡な男だから

誰かが言っていた。
「実力とは才能×努力」
才能があっても努力を伴わなければ実力は大したことはない
しかし、それに努力が伴えば何倍もの実力になる。
したがって才能がなければ努力をしても限界が存在すると言われてるような気がしてしまった。
まぁこれは俺の意見だ。
俺はいくら努力をしても真ん中、、、平均にしかならないのだから
努力が足らないんだとか周りから言われるが、そんな奴らはみんな才能があった。

「つまらないな、、、、」

そんなある日あるゲームが全世界で同時に発売となった。
それは「ニューワールドオーダー」と言うゲームだった。
意識を異世界へと飛ばし新たな人生を始めるそんなゲームだった。
俺はそのゲームの発売をネットでみて好奇心が刺激された。
しかし、注意書きには現実世界には2度と戻れないことが条件となっていた。

「ゲームなのに現実世界には戻れない?どういう原理なんだ?」

俺はそれに関して半信半疑だった。
そんなことはあり得ないだろうと心の中では思っていた。

まぁ、もしあり得たとしてもこの世界で俺がいなくなって悲しむ人はいない。
だって俺は平凡で変わりなんて誰でもいるのだから、、、

それからしばらくして発売日を迎えた。
全世界で発売箇所は各国一箇所で行われた。
購入意欲のある者達が一箇所に集められたためまるで人がゴミの、、、
おっと変な口癖が出るところだった。

日本での販売会場は東京でLiveなどに使われている武道館だった。
何万人と収容のできる施設から溢れるほど人数が溢れていた。

「こんなにも人生をやり直したいと思う人がいたんだな」

中央ではバーチャル映像が流れていた。

恐らくそれはゲームの世界の映像だった。

「本当にファンタジー世界に行けるのか」

俺は画面に夢中になっていると映像が切り替わり顔を隠した女性が現れた。

「我の名はアーク・レストレイヤ」
「このゲームとやらの開発の手伝いをさせてもらった者だ」
「これから皆にはニューワールドの世界に転移してもらい生活をしてもらう」

「転移⁉︎」

それってアニメでよく聞く言葉じゃないか⁉︎
ゲームじゃないのか⁇

「ニューワールドはこの世界とは違い安全ではない」
「皆自分の力で戦い生きていかなければならない」
「そしてゲームとやらとは違い死んだら生き返ってもう一度などと存在しない」
「それを承知してもらいたい」

会場が彼女の言葉を聞いて一気にざわつきだした。

「だが君達はこの世界にウンザリしたのだろう」
「朝起きて仕事や学校に行き帰ってきて寝るそんな代わり映えのない日常に飽き飽きしたのだろう!」

彼女の言葉にざわつきが収まった。

「これから皆が行くニューワールドは自由だ‼︎‼︎君達を縛るルールもないやりたいことを選択できる!そんな世界でやり直したいと思わないか‼︎」

鳥肌がたった。
周りも息を呑む音が聞こえるほど静寂していた。

「私はニューワールドで生活するために君たちの中に眠る潜在能力を解放する!!」
「それが君達をニューワールドで生きる手助けをしてくれるだろう!!」

潜在能力、、、
それは僕にもあるのだろうか

「再度我は皆に問う!ニューワールドにくるものはいるか!!」

歓声が起こった。
俺は一瞬迷ったが決心した。
一つ心残りなのは妹を残してしまうことだ。
しかし、彼女は才能もあり兄の俺なんかいなくてももう1人で生きている。
しばらく顔も見てないしきっと心配なんてしないだろう、、、

「ここに残ったもの達は承諾したとみなす‼︎皆検討を祈る‼︎‼︎‼︎」

次の瞬間会場全体が光に包まれた。
その日各国で大きな施設と集まった人々がそのまま姿を消した。
そこに残ったのは更地だけだった。


「ボン様、、、、ボン様、、、ボン、、、いい加減目を覚ませ‼︎」

強い衝撃が身体を襲った。
俺は驚き飛び上がった。

「ここは、、、、」

会場で光に包まれたことを思い出した。

「もう異世界なのか?」

「違います」
「ここは異世界と繋ぐ丁度中間の狭間の世界です。」

「あなたは?」

「私はエリスあなたのナビゲーターです。」

エリスといった彼女は小さな妖精のような姿をしていた。
こんな姿でさっきあんな衝撃を与えてたのか、、、
成人男性に殴られたのかと思ったぐらいだぞ、、、

「時間がないので説明しますね」
「私はニューワールドであなたのサポートを任せられた妖精です!」
「先ずはあなたの潜在能力の解放をします。手を出して」

俺はエリスの言う通り手を差し出した。

彼女は小さな手を僕の手のひらに乗せて何かを唱えていた。
すると身体の内側が熱くなってくるのを感じた。

「うっ、、、、」

「少し我慢して」

しばらくすると彼女は手を離した。

「ステータスと唱えてみて」

「ステータス!」

俺の目の前に画面が表示された。

筋力5
防御5
魔力5
俊敏5
知恵5
幸運5
器用5
精神5
技術5

スキル 想像→創造

「もしかしてこれって平均」

「平均って感じね」
「ここまで全て平均のステータスの人は初めてかも」

「そうですよね、、、異世界に来てもこれは変わらないか、、、」

潜在能力を解放するっていってたけスキルのことなのかな?

「想像→創造」

「うーんこれは私も聞いたことがないスキルね」
「タップすると詳細が見れる筈よ」

俺は言われた通りスキルをタップした。

「想像を創造させる」

、、、、、、、⁇⁇⁇

「⁉︎」

エリスは苦笑いを浮かべていた。

「まぁ後で使ってみましょう!」
「それよりも後もう一つ確認することがあるんだけど、あなた容姿と名前はそのままでいい?」

「どういうこと?」

「一応転移する時に性別以外で好きな容姿と年齢も変更できるわ」

「うーん面倒だしこのままでいいよ」

「えーーイケメンになれるんだよ?」

「別に容姿がイケメンでも中身が平均じゃ期待はずれみたいになるし、、、年齢もまだ20で丁度いいし」

「確かにそうね!あなたがそう言うならいいわ」

でも、よく考えれば年齢も容姿も変えられるなら赤ちゃんから始める奴もいるのかな?
まぁそんなこと気にしてたらキリないか

「それじゃやること終わったしニューワールドに行くわよ!!」
「先ずははじまりの町グルムガルに!」

再び俺は光に包まれた。
期待と不安が入り混じっていたがきっと何とかなるだろう‼︎
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