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第四章 分岐点
開拓者の村
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コールの家で団子をご馳走になったあと、ここまで来たらと村長の家に行くことにした。
村を大まかに4つに分けると僕とソフィの家は南西の端、コールの家は南東、ブロウと村長の家は北東、ミリアの家は北西にある。
だからこのまま村長、ミリア、ソフィの順に聞いてまわろうと思い、緩く弧を描く柵に沿って歩いていくことにした。
ちなみにクルク村はもちろんたいていの村や街を囲う柵や防壁は丸くなるように造られており、それは四角くするより警備する際見通しがよくなるかららしい。
そうして村の外周を周って村長の家に行くと、丁度村長とテウさんが何か話しているみたいだった。
「おはようございます」
「ん、ああ、ロイ君おはよう」
「何か用かの?」
「村長、あれではないですか?ほら、旅がどうこうと」
「ああ、ああ、そうかの?」
「はい。その事で少し悩んでて、村長に相談してみようかなぁと」
「そうかそうか、だが儂もあまり時間は割けないがそれでもよいか」
「はい!」
やっぱり村長は忙しいみたいだけど、それでも時間を割いてくれることはとてもありがいことだった。
「その、僕なんかが旅に出てもいいのでしょうか?」
僕が旅に出てもよいということ、それは村長が許可を出しているのは知っている。
でも僕は自分が外で上手くやっていける自信があまりなく、それ以前に家の跡継ぎで村の稼ぎ手の一人にならなくてはいけないはずなのに、それでこの村を出て旅をして、最後に進みたい道を決めていいっていうのがよくわからない。
「僕なんか、とは儂ら親の世代の言葉じゃよ」
「え?」
「ロイ、クルク村が何の村か覚えておるか?」
「えっと、開拓者の村?」
「そうじゃ。そして開拓者の村とは儂らのような他に行き場が無くなったり、困った者が集まる村である事は知っておるな?」
「はい」
公には人が住むための新しい土地を開拓して人の住める所を増やす、物の生産量を増やす、それによって人口を増やしていくみたいな事を言っているけど、でも実態は村長の言ったようなもの。
僕の家も理由はこの前知ったけど、お父さんがおじいさん達が嫌いで、それに両親が結婚するのに親が反対するから逃げて来ていた。
他にはコールの家の父は貧乏で食い扶持に困って引っ越して来ていて、母は孤児で成人した時に何の職にも就けなくて泣く泣く開拓者として村に来た。
ソフィの家は細かい事は知らないけれど、元々住んでいた所で周りと上手くいかずに引っ越して来たらしい。
もちろん全員がそうであるわけでもなく、年を取って街で働くより小さな村でゆっくりと過ごしたいと移住してくる人も居なくはないけど、それは本当に稀な例。
「それがロイを旅に出しても良い理由じゃよ。誰も好き好んで集まった訳では無いのだから、そんな村に外でやっていける力がある子を縛り付けるのは心苦しくて仕方がないんじゃ」
僕はそれを聞いて、何も答えることが出来なかった。
「じゃから村長としては居てくれた方がよいのは確かだが、儂個人としては世界を知らぬままこんな所で一生を終えて欲しくはないの」
「こんな所って……」
「そうそう。俺はいい所だと思うけどな、確かに一度は外に出てから決めるべきだと思う」
「そう、ですか」
僕は歯切れの悪い返事をする。
「ああ、ロイ君そろそろ」
「あ、お話ありがとうございました」
僕はそう言って頭を下げると仕事の邪魔にならないようにちょっと急ぎ足でその場を離れた。
クルク村に来るきっかけは皆あまり良いものではない。
でも昔それを聞いたあと何人かに話を聞いてみたら、皆だいたい同じことを言っていた。
確かにここに来たのは不本意だけど、今はここに来れて良かったよって。
村を大まかに4つに分けると僕とソフィの家は南西の端、コールの家は南東、ブロウと村長の家は北東、ミリアの家は北西にある。
だからこのまま村長、ミリア、ソフィの順に聞いてまわろうと思い、緩く弧を描く柵に沿って歩いていくことにした。
ちなみにクルク村はもちろんたいていの村や街を囲う柵や防壁は丸くなるように造られており、それは四角くするより警備する際見通しがよくなるかららしい。
そうして村の外周を周って村長の家に行くと、丁度村長とテウさんが何か話しているみたいだった。
「おはようございます」
「ん、ああ、ロイ君おはよう」
「何か用かの?」
「村長、あれではないですか?ほら、旅がどうこうと」
「ああ、ああ、そうかの?」
「はい。その事で少し悩んでて、村長に相談してみようかなぁと」
「そうかそうか、だが儂もあまり時間は割けないがそれでもよいか」
「はい!」
やっぱり村長は忙しいみたいだけど、それでも時間を割いてくれることはとてもありがいことだった。
「その、僕なんかが旅に出てもいいのでしょうか?」
僕が旅に出てもよいということ、それは村長が許可を出しているのは知っている。
でも僕は自分が外で上手くやっていける自信があまりなく、それ以前に家の跡継ぎで村の稼ぎ手の一人にならなくてはいけないはずなのに、それでこの村を出て旅をして、最後に進みたい道を決めていいっていうのがよくわからない。
「僕なんか、とは儂ら親の世代の言葉じゃよ」
「え?」
「ロイ、クルク村が何の村か覚えておるか?」
「えっと、開拓者の村?」
「そうじゃ。そして開拓者の村とは儂らのような他に行き場が無くなったり、困った者が集まる村である事は知っておるな?」
「はい」
公には人が住むための新しい土地を開拓して人の住める所を増やす、物の生産量を増やす、それによって人口を増やしていくみたいな事を言っているけど、でも実態は村長の言ったようなもの。
僕の家も理由はこの前知ったけど、お父さんがおじいさん達が嫌いで、それに両親が結婚するのに親が反対するから逃げて来ていた。
他にはコールの家の父は貧乏で食い扶持に困って引っ越して来ていて、母は孤児で成人した時に何の職にも就けなくて泣く泣く開拓者として村に来た。
ソフィの家は細かい事は知らないけれど、元々住んでいた所で周りと上手くいかずに引っ越して来たらしい。
もちろん全員がそうであるわけでもなく、年を取って街で働くより小さな村でゆっくりと過ごしたいと移住してくる人も居なくはないけど、それは本当に稀な例。
「それがロイを旅に出しても良い理由じゃよ。誰も好き好んで集まった訳では無いのだから、そんな村に外でやっていける力がある子を縛り付けるのは心苦しくて仕方がないんじゃ」
僕はそれを聞いて、何も答えることが出来なかった。
「じゃから村長としては居てくれた方がよいのは確かだが、儂個人としては世界を知らぬままこんな所で一生を終えて欲しくはないの」
「こんな所って……」
「そうそう。俺はいい所だと思うけどな、確かに一度は外に出てから決めるべきだと思う」
「そう、ですか」
僕は歯切れの悪い返事をする。
「ああ、ロイ君そろそろ」
「あ、お話ありがとうございました」
僕はそう言って頭を下げると仕事の邪魔にならないようにちょっと急ぎ足でその場を離れた。
クルク村に来るきっかけは皆あまり良いものではない。
でも昔それを聞いたあと何人かに話を聞いてみたら、皆だいたい同じことを言っていた。
確かにここに来たのは不本意だけど、今はここに来れて良かったよって。
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