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第四章 分岐点
レン兄
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村長の家からミリアの家に向かったけれど、ミリアはソフィの家に行ったそうなので僕はそのままソフィの家へと向っていた。
「てぃ!や!せぃやあああ!!」
そうしてソフィの家に近づいた時、聞き覚えのある大声が耳に入る。
これはレン兄の声、そして大声を出しているのはいつもの剣の訓練に疲れて休憩に入る前、全力で振っている時に出すものなのでこの後すぐ休憩に入ると思う。
「ふ、はあぁぁぁ」
「レン兄お疲れ」
「ん?ああロイか」
ソフィの家の裏、踏み固められた地面の上にレン兄が武器を手に座りこんでいた。
僕もその隣に腰掛けてから持っていた武器を見ると、その武器はいつもの鉄の片手剣ではなく何やら槍みたいな物だった。
「あれ?レン兄って剣を使ってなかったっけ?」
「お、気がついたか!これな、ほら昨日俺の部屋に泊まったフールがくれたんだよ。俺にはたぶん剣より長柄武器の方が向いてるってな」
「長柄……でもそれって普通の槍と少し違う気がするんだけど」
「そうなんだよ!俺もそう言われて槍かなって思ったんだけどよ、これは東国由来の武器で『薙刀』っていう、穂先を刀?とかいう武器に似せた突くんじゃなくて切る武器なんだと」
「へえぇ」
「なんかさ、試作して実用出来なくは無いけど売り物にするには不出来だからお試しにってくれたんだよ」
「調子はどう?」
「んーちっと難しいけどまあ時間かければ使えそうかな」
そう言ってレン兄が立ち上がり、軽く下から上へと切り上げてから横薙ぎに振り抜く。
「でも折角フールさんに色々見てもらったんだ、その内ものにしてベアルのおっさんを越えてやるぜ!」
「ぷふっ」
「あ!笑うんじゃねぇよ」
「だってレン兄が勝てるなんて思えなくて」
レン兄は日々体を鍛えていたけれど、僕と似たような細身だから勝つ想像が出来なかった。
「くっそー今に見てろよ!さっさとベアルを越えて旅に出るんだからな!」
その言葉に僕はビクッと体が跳ねる。
そういえばレン兄はいつも旅に出て本の中の冒険者みたいになりたいって言っていた気がする。
「そういえばレン兄、僕親に旅に出ないかって言われたんだけど……」
「はぁ?」
「その、ほらコンが居るから力があるし、揚げパンの事でお金もあるから一回旅に出てみないかって」
「うっそだろ!?まじかー、俺より先に行っちまうのかよー」
「ううん。旅に出るかって言われただけで、行くかどうか悩んでるんだ」
「んな勿体ねえ!行けるなら行っとけよ、旅行気分で楽しんで来たらいいじゃん」
レン兄はそう言って僕の背をポンと叩く。
「そんで土産話をたっぷり聞かせてくれよな。そーいうの全員喜ぶと思うぜ」
「そうかな?」
「そうだって!娯楽の類なんてほっとんどねぇんだからそういう話は皆好きだろ」
まあ確かに本当に極稀に行商と共に来る、音楽と共に各地の出来事を語る吟遊詩人が来たら老若男女関係無く集まって聞きに行くのが常だった。
「ありがとうレン兄」
「いつもの事だろ?ソフィにも話してこいよ」
「うん」
僕はレン兄に頷いてから立ち上がって家の正面へとソフィになんて相談しようかと考えながら歩いて行った。
《レンside》
「にしてもロイが旅かぁ」
昔から実の弟みたいに感じていたロイがまさかこうなるとは思いもしなかった。
性格は温厚そのものでいっつも笑っていて、あいつが怒ったりしたのなんて3歳かそこらからずっと見た事がない。
「って、なんか俺昔そんな事あいつに言った気がしなくもないような気がしなくもない気がするような……なんだったかなぁ」
ふと昔になんか笑っていればとか言ったような、そうでないような、誰かが言っていたのを2人で聞いたのか、何かあった気がしたけど思い出せない。
うんうん唸りながら必死に思い出そうとするも、もしかしたらただ笑っているとかロイが言うのを聞いただけな気がしてまあいいかと思い直す。
と、そこで俺はとある事を思いついた。
「そうだ!旅に出るならやったげた方がいいよな!そうと決まれば用意しないと」
もし上手く行けば俺は……段々と笑いが止まらなくなる。
よっしゃ絶対に成功させてやるぜー!
「てぃ!や!せぃやあああ!!」
そうしてソフィの家に近づいた時、聞き覚えのある大声が耳に入る。
これはレン兄の声、そして大声を出しているのはいつもの剣の訓練に疲れて休憩に入る前、全力で振っている時に出すものなのでこの後すぐ休憩に入ると思う。
「ふ、はあぁぁぁ」
「レン兄お疲れ」
「ん?ああロイか」
ソフィの家の裏、踏み固められた地面の上にレン兄が武器を手に座りこんでいた。
僕もその隣に腰掛けてから持っていた武器を見ると、その武器はいつもの鉄の片手剣ではなく何やら槍みたいな物だった。
「あれ?レン兄って剣を使ってなかったっけ?」
「お、気がついたか!これな、ほら昨日俺の部屋に泊まったフールがくれたんだよ。俺にはたぶん剣より長柄武器の方が向いてるってな」
「長柄……でもそれって普通の槍と少し違う気がするんだけど」
「そうなんだよ!俺もそう言われて槍かなって思ったんだけどよ、これは東国由来の武器で『薙刀』っていう、穂先を刀?とかいう武器に似せた突くんじゃなくて切る武器なんだと」
「へえぇ」
「なんかさ、試作して実用出来なくは無いけど売り物にするには不出来だからお試しにってくれたんだよ」
「調子はどう?」
「んーちっと難しいけどまあ時間かければ使えそうかな」
そう言ってレン兄が立ち上がり、軽く下から上へと切り上げてから横薙ぎに振り抜く。
「でも折角フールさんに色々見てもらったんだ、その内ものにしてベアルのおっさんを越えてやるぜ!」
「ぷふっ」
「あ!笑うんじゃねぇよ」
「だってレン兄が勝てるなんて思えなくて」
レン兄は日々体を鍛えていたけれど、僕と似たような細身だから勝つ想像が出来なかった。
「くっそー今に見てろよ!さっさとベアルを越えて旅に出るんだからな!」
その言葉に僕はビクッと体が跳ねる。
そういえばレン兄はいつも旅に出て本の中の冒険者みたいになりたいって言っていた気がする。
「そういえばレン兄、僕親に旅に出ないかって言われたんだけど……」
「はぁ?」
「その、ほらコンが居るから力があるし、揚げパンの事でお金もあるから一回旅に出てみないかって」
「うっそだろ!?まじかー、俺より先に行っちまうのかよー」
「ううん。旅に出るかって言われただけで、行くかどうか悩んでるんだ」
「んな勿体ねえ!行けるなら行っとけよ、旅行気分で楽しんで来たらいいじゃん」
レン兄はそう言って僕の背をポンと叩く。
「そんで土産話をたっぷり聞かせてくれよな。そーいうの全員喜ぶと思うぜ」
「そうかな?」
「そうだって!娯楽の類なんてほっとんどねぇんだからそういう話は皆好きだろ」
まあ確かに本当に極稀に行商と共に来る、音楽と共に各地の出来事を語る吟遊詩人が来たら老若男女関係無く集まって聞きに行くのが常だった。
「ありがとうレン兄」
「いつもの事だろ?ソフィにも話してこいよ」
「うん」
僕はレン兄に頷いてから立ち上がって家の正面へとソフィになんて相談しようかと考えながら歩いて行った。
《レンside》
「にしてもロイが旅かぁ」
昔から実の弟みたいに感じていたロイがまさかこうなるとは思いもしなかった。
性格は温厚そのものでいっつも笑っていて、あいつが怒ったりしたのなんて3歳かそこらからずっと見た事がない。
「って、なんか俺昔そんな事あいつに言った気がしなくもないような気がしなくもない気がするような……なんだったかなぁ」
ふと昔になんか笑っていればとか言ったような、そうでないような、誰かが言っていたのを2人で聞いたのか、何かあった気がしたけど思い出せない。
うんうん唸りながら必死に思い出そうとするも、もしかしたらただ笑っているとかロイが言うのを聞いただけな気がしてまあいいかと思い直す。
と、そこで俺はとある事を思いついた。
「そうだ!旅に出るならやったげた方がいいよな!そうと決まれば用意しないと」
もし上手く行けば俺は……段々と笑いが止まらなくなる。
よっしゃ絶対に成功させてやるぜー!
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