1 / 3
プロローグ
しおりを挟む
私が彼女のマンションを訪ねたのは、午後八時頃だった。ちなみに事前連絡はしてなくて、部屋の前でチャイムを鳴らす。「はーい」と彼女はドアを開けてくれた。不用心な所は変わってないなぁ。
「来ちゃった」
できるだけ、にこやかに彼女へ語り掛ける。ドアが閉まりかけて、予想はしていたので私は靴の先をねじ込むように入れて阻止した。何とか部屋の中に入ろうとして、彼女から押し返される。私も彼女も非力な女子なので、傍から見たら子猫のじゃれ合いみたいに見えたのでは。押し合いは互角で、なかなか決着が付きそうにない。
「帰って……帰ってよ!」
大声を出したら、ご近所迷惑になるので小声で彼女が言う。私としては、帰る訳には行かない。
「お願い、入れて! 財布を、財布を落としたの! 他に行く所が無いのよ!」
必死に訴えたら、彼女の抵抗が緩んだ。押し返されないよう、私は彼女の肩を両手で掴んでいる。私と同身長である彼女の顔が見えて、このままキスしたいなぁと思った。
「……本当に?」
彼女から言われて、こくこくと頷く。財布を失くしたのは事実だし、行く所が無いのも本当なのだ。携帯電話に知り合いは何人も登録されているが、それでも家を訪ねて行けるような人は彼女以外に居ない。上京してきた大学生である私は、都会で薄い人間関係しか築いてこなかった。
「それにしたって、事前に──」
「連絡してたら、貴女は私を入れてくれた?」
ぼやく彼女に、私が尋ねる。彼女は答えず、肩を掴んでいた私の手を振りほどいて、背中を向けた。
「入って……玄関先に立たれてたら迷惑だわ」
そう言って、部屋の奥へと彼女が移動していく。ほっとして私は部屋の中に入り、玄関のドアを閉めた。
「来ちゃった」
できるだけ、にこやかに彼女へ語り掛ける。ドアが閉まりかけて、予想はしていたので私は靴の先をねじ込むように入れて阻止した。何とか部屋の中に入ろうとして、彼女から押し返される。私も彼女も非力な女子なので、傍から見たら子猫のじゃれ合いみたいに見えたのでは。押し合いは互角で、なかなか決着が付きそうにない。
「帰って……帰ってよ!」
大声を出したら、ご近所迷惑になるので小声で彼女が言う。私としては、帰る訳には行かない。
「お願い、入れて! 財布を、財布を落としたの! 他に行く所が無いのよ!」
必死に訴えたら、彼女の抵抗が緩んだ。押し返されないよう、私は彼女の肩を両手で掴んでいる。私と同身長である彼女の顔が見えて、このままキスしたいなぁと思った。
「……本当に?」
彼女から言われて、こくこくと頷く。財布を失くしたのは事実だし、行く所が無いのも本当なのだ。携帯電話に知り合いは何人も登録されているが、それでも家を訪ねて行けるような人は彼女以外に居ない。上京してきた大学生である私は、都会で薄い人間関係しか築いてこなかった。
「それにしたって、事前に──」
「連絡してたら、貴女は私を入れてくれた?」
ぼやく彼女に、私が尋ねる。彼女は答えず、肩を掴んでいた私の手を振りほどいて、背中を向けた。
「入って……玄関先に立たれてたら迷惑だわ」
そう言って、部屋の奥へと彼女が移動していく。ほっとして私は部屋の中に入り、玄関のドアを閉めた。
0
あなたにおすすめの小説
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる