深夜、彼女に、おこった話

転生新語

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深夜、彼女に、おこった話

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彼女「あれは三月三日の夜だったわ、その日は今年と同じく金曜日でね。確か五年前だったかな、私と貴女あなたが付き合う以前いぜんの話ね」

私「…………うん」

彼女「その日は今みたいに、深夜の時間帯でね。私は犬の散歩をしていたのよ。で、犬が寒そうにふるえてて言うの。『ご主人さま、ずかしいです……』って」

私「え、犬が?」

彼女「それで私が犬に、『コートを一枚、せてあげてるでしょう? 文句を言うと、その一枚だけの服をがせちゃうわよ?』って、そう言ったのね」

私「……ん、かりたくないけどかったわ」

彼女「犬はずかしそうだったけど、首輪のひもを私が持ってるからね。そのまま散歩を続けてたのよ。するとおどろくべき事が起こったの、犬と私の前に現れたのが──」

私「ストップ。話の途中で悪いけど、みっつ、貴女に指摘してきしたい事があるわ。まず、ひと。五年じゃなくて、六年前じゃないかしら。三月三日が金曜日なのは今年と、ちょっきんでは二〇一七年だから」

彼女「え?……言われれば、そうかもね」

私「そしてふた。私と貴女が付き合い始めたのは、七年前からなのよ。おぼえてる?」

彼女「ああ……そうだっけ? いいじゃない、こまかい事は」

私「へー、こまかい事ねぇ。貴女、最初に言ってたわよね。『五年前だったかな、私と貴女が付き合う以前の話ね』って。正確には七年前から付き合ってるのよ、私達。五年と七年じゃ大違おおちがいじゃない?」

彼女「いや、ほら。私の恋人は貴女だけど、ペットは別のあつかいだから」

私「深夜にコート一枚を羽織はおらせて散歩するペットでしょ! そしてみっ! 三月三日が何の日かおぼえてる?」

彼女「……ひなまつりでしょ? ほかにはゴミの収集日?」

私「私の誕生日よ! 貴女って人は、いつも大切な事を忘れて! 私を放置ほうちして、深夜にペットの散歩!?」

彼女「いや、今は深夜だから。あんまり大声おおごえは出さないでこうね」



 これが深夜、私が彼女に、おこった話。
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