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第24話 俊也の限界
表向き
しおりを挟む※今回は性描写であると認識できる程度の書き方をしている箇所があります。ご注意ください。
◇◇◇
さよりと俊也は傍目には、美男美女で幸せそうな、ほほえましいカップルだったろう。
例えば2人が並んで街を歩きながら談笑しているとき。
すれ違った人間が、「あんなかわいいカノジョがいたら、毎日楽しいだろうな」とか、「あんなカッコいい彼氏を捕まえるには、やっぱりかわいくないと駄目か…」などと、ぼんやりうらやむことはしばしばある。
余談ながら、カップル同士がすれ違うとき、男も女もそれぞれの「女」を見るとよく言われる。こんなときでも、俊也が「俺のカノジョの方が断然カワイイ」と悦に入ることはあるが、そもそもさよりがすれ違うカップルに注意を払うことはあまりない(相手カップルの心中は省略しておこう)。
例えば電車に乗ったとき。
俊也はさよりと交際するまでは、特に深く考えずに脚を大きく開いたり、荷物を自分の脇に置いたりすることもあったが、さよりは優先席に絶対に座らないし、「お前座れよ」と言っても「俊也さんの方が疲れているでしょう?」と逆に譲ったりする。
腰かけても、しっかり脚を閉じ、バッグを膝の上に控え目に載せたりしている姿が何ともいじらしく、俊也の乗車マナーも自ずと改善されていった。
そういう意味でも、本当に「感じのいいカップル」だったのだ。
だが言葉を選ばず言えば、それは「表向き」の姿だった。
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