短編集『朝のお茶会』

あおみなみ

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第5話 怖いものは怖い その2

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 2011年12月11日

 毎月第2日曜日の「朝のお茶会」が知る人ぞ知る名物である「くぬぎ屋」でも、前月からクリスマスケーキの予約受付が始まっていた。
 このお茶会は、50年の伝統を持つ行事でありながら、知名度はあまり高くなく、どこか秘密結社めいた雰囲気があった。
 そんな会の常連参加者となると、そもそもが店の常連でもある。当然のようにクリスマスケーキは毎年くぬぎ屋と決めている者も多いので、予約申し込み用紙を持って帰る者もいた。
 比較的小さめの3号(直径9センチ)から作ってくれるため、単身者や少人数にも人気である。

「4人家族で6号って大きすぎない?」
「うち甘党しかいないから。ごちそうは要らないけどまずケーキなのよぉ」

「3号ぐらいなら、1人でペロッといきそう」
「いや、3号って意外と食いであるよ~」
「…さては、やったことあるんだね?」

 その日は小さくカットされたイチゴショートも出されたため、やはりクリスマスケーキが話題になっている。

「咲良ちゃん、ケーキの申込書持って帰るの?」
「はい、母に頼まれてて」
 この前々月に初参加し、もともと常連だった柏木あざみと仲良くなった工藤咲良は、自分の家のクリスマスパーティーにあざみを誘いたいが、話しあぐねていた。
 大学生だし、お友達とか彼氏と約束しているかもしれないし、知り合って日も浅いのに失礼かも…など、引っ込み思案で人付き合いに慎重な少女特有の想像力が悪い方に出て、声をかけられずにいるのだ。
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