6 / 28
美人ライターとクールな中学生【千弦と聡二】
聡二、うろたえる
しおりを挟むこんな言い方は何だが、俺は大抵の大人よりも聡明である自信がある。
中学生特有のとがった態度ととられても構わない。聡明なので、思っても表には出さないように心がけている。
大抵の大人は、俺が中学生であることを前提に話すので、絶対同等には見ていないことが透けて見える。だから、見下す態度をとることにも罪悪感がなかった。
しかし、目の前のこの人は一体何なのだ?
中学生の俺を相手に丁寧な敬語を使い(声音もとても感じがいい)、自分の弱みを露悪的にではなくナチュラルに明らかにし、そして――まっすぐに大きな黒目を向けて語りかける。
◇◇◇
あらかじめ渡されたインタビューシートには「座右の銘」や「愛読書」「得意な科目と苦手な科目」「尊敬する人または「こんな人になりたい」というお手本はいるか?」「部活の後に最も飲みたくなるのは?(一般名詞・固有名詞どちらでも)」といった質問項目があったのだが、全部この人が設定したのだろうか。俺は逆に質問してしまった。
「あの、これは桜井さんが考えた質問ですか?」
「はい、そうですが」
「この『部活の後に最も飲みたくなる…』というのは」
「あー、そこはさらっと適当に流してもらえたら助かったんですが」
「というと?」
「実は私、カフェも経営していまして。部活帰りの子が飲みたくなるものって何かな?と、ちょっと職業的な興味で入れたんですよ。だから無回答でも…」
「いや、あの――レモンスカッシュ、とか…どうでしょう」
「レモンスカッシュ!」
「これは俺っていうより、チームメイトでそんなふうに答えそうなやつがいるなって思って。今思いついた答えです」
実は答えた俺自身が驚いていた。俺は平生、そんな場当たり的に質問に答える方ではない。
変な話だが、彼女が求めているのはこういう回答では? カフェで出すなら何だろう? と、そんなことを考えたら導き出されたのだ。
「清涼感があってクエン酸が摂れてってイメージですかね。いいかも」
「ついでに言うと、うちのメンバーではガムシロップを大量に消費しそうなやつもいまして…」
「まあ、甘党なんですね。ほかの皆さんは?」
「そういうのはそいつだけですけど。みんなが普段飲んでるものだと、何となく決まったものを学校の自販機やコンビニで買っているイメージです」
「中でも人気商品ってありますか?」
「そうですね、俺がよく見るところでは…」
彼女が乗ってきたのが分かり、俺まで調子が出てきた。
インタビューシートとその回答にのっとった話でも、それ以外のこぼれ話的なところでも、何を話しても話題が膨らむ。
約束の時間をとっくに過ぎていることに全く気付かなかったが、八鍬先生が「あのう、檜君、そろそろ…」と様子をうかがいに入ってきた。
「あ、ごめんなさい。私が矢継ぎ早に質問しちゃったから」
「いや、俺がつい話し過ぎてしまって…」
2人そろって八鍬先生にわび、「仲いいねえ」とからかわれてしまった。
この桜井という女性と話していると、そのイレギュラーさに調子が狂う。
だが、決して悪い気持ちではなかった。
0
あなたにおすすめの小説
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妹の仇 兄の復讐
MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。
僕、孝之は高校三年生、十七歳。妹の茜は十五歳、高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。
その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる