初恋ガチ勢 if設定編 こんな出会いもまた一興

あおみなみ

文字の大きさ
25 / 28
玉成編【メグと大輔】

思い切って【メグ】

しおりを挟む
 実は大倉大輔君は、入学したときからちょっと気になる存在だったんだけど、ラッキーなことに、2学期最初の席替えで隣の席になれた。

 ちょっと目つきは悪いんだけど、すっきりとした整った顔立ちで、私と違って数学がよくできて、私と違って運動神経がよくて、私と違って…(以下略)。
 まあとにかく、自分にないものをいっぱい持っていそうなところに単純に興味を引かれるし、どんなことにも真剣に取り組む姿もいいなと思う。テニス部の部活も頑張っているみたいだ。
 家庭科の授業の刺し子だって、最初はあからさまに嫌々やっている感じだったけれど、一生懸命やっているうちに、徐々に手の動きがスムーズになっていった。
(ちらちら盗み見していたこと、バレていないといいけれど)

 今日一番うれしかったのは、大倉君がママのお店を知ってくれていたことだ。
 思わず「うちに来ない?」なんて誘っちゃった。
 お弁当はシブい感じの曲げわっぱに、煮物とか卵焼き(だし巻き?)とかお魚とか詰めてくるし、学食で食べるときも、和定食が多い。
 だからコーヒーより日本茶の人じゃないかと踏んで質問したら、案の定だった。
 ここまで言って気付いたけど、私、ちょっとストーカーじみてる?

 お弁当は隣の席だから目に入っちゃうし、学食は2人ともあまり使わないので、「たまたま2人とも行った日」がレアだから印象に残るだけ。
 日本茶のことも、ママのカフェの話から自然に「そういえばコーヒー好き?」って聞いた結果の答えだったし、私にしてはよくやったと自画自賛したいところだ。
 さすがに「突然どうした」って言われたちゃったけど、「どうした?」っていう言い方は、いつもの特徴のある意地悪さ(実はそんなところも好き)が薄くて、ちょっとふんわり優しい感じだった。
 不意打ちには弱いのかな?
 声をかけてくるときは大体、「おい、桜井」ってちょっと高圧的なんだけど、こちらから声をかけたときの反応は、若干挙動不審気味だったり、勢いが弱かったりするから、多分こっちが「素」なんだろうと踏んでいる。

◇◇◇

 刺し子の完成品に「A+」の評価が付いて戻ってきた日、大倉君がいつもの調子で「おい、桜井」って話しかけてきた。

「なあに?」
「今日は部活の休息日だ。お前、都合はどうだ?」
「都合?」
「ママさんの店、来いって言ってたろう?お前は部活とかあるのか?」
 私は1学期の割と最初の方で手芸部をやめていたし、図書委員の当番でもなかった。
「ううん、帰るだけだけど…」
「じゃ、案内しろ。今日なら行けるから」
「え、来てくれるの?」
「お前から誘ったんだろう?変なやつだな」
「だよね…」

 マジか!
 こんなにラッキーが続いて、私、近々死んだりしないよね?

◇◇◇

 学校から最寄り駅の玉成学園前駅までは、歩いて6、7分ってところだ。
 その駅前の小さな雑居ビルの1階でカフェを経営するママと2人で暮らしている。
 ビルの2階が私たちの家で、ほかにもお隣のエスニック雑貨屋さんとか、小さな会社オフィスとか入っているんだけど、その管理はおじいちゃん(ママのお父さん)がしているから、私はよく分からない。
 雑貨屋さんは時々行って、お小遣いでトンボ玉とかココナッツボタンとか買ったりする。
 そういう小さなものを買ったときは、象の神様の絵がプリントされた茶色い封筒みたいな袋に入れてくれるんだけど、これもお気に入り。ママが「ガネーシャだね」って教えてくれた。商売繁盛の神様らしい。

「お前は中等部から入ったんだよな?」
「そうだよ。大倉君は初等部からだっけ」
「ああ。中等部からの枠は少ないのに、お前優秀なんだな」
「運がよかっただけだよ。勉強は一応頑張ったけど」
 ママのお店まで、大倉君にいろいろ質問されながら行った。

「初等部から受けようとは思わなかったのか?」
「うちパパがいないから、受験でちょっと不利になるかもって」
「…そうか、ごめん」

 というよりも、パパが生きていたとしても、小学校から私立という選択肢があったかどうかは分からない。
 パパは私が5歳のときに死んだけれど、普通のサラリーマンで、玉成から駅にして3つ離れた街でアパート暮らしをしていた。時々お出かけぐらいは連れていってもらったけれど、当然そんなにお金持ちだった思い出はない。
 玉成に入るときは、ママの方のおじいちゃんに協力してもらった。おじいちゃんは結構お金持ちだし、子供はママ1人だから甘やかしてるみたいに思われがちだけど、ママはお店の家賃もちゃんと払ってるし、入学するときにかかったお金とかも、少しずつ返しているんだよ(偉いっ)。
 死んだパパのおじいちゃんとおばあちゃんも、私のことをとてもかわいがってくれるので、何か申し出てくれたらしいけど、さすがにこれはママは断った。「お父さん(おじいちゃん)と違って、返せって言わなそうだから」という理由だけど。

 それはさておき。
 大倉君が急に黙り込んでしまったので、私は少し慌てた。
「あ、死んだのはもう8年も前だし、ママと2人で楽しくやってるから」
 ん?こんなこと言う必要あったか?
「そうか。お前は見かけによらず強いんだな」
 何となく会話がちぐはぐな気もするけれど、まあいいや。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妹の仇 兄の復讐

MisakiNonagase
青春
神奈川県の海に近い住宅街。夏の終わりが、夕焼けに溶けていく季節だった。 僕、孝之は高校三年生、十七歳。妹の茜は十五歳、高校一年生。父と母との四人暮らし。ごく普通の家庭で、僕と茜は、ブラコンやシスコンと騒がれるほどではないが、それなりに仲の良い兄妹だった。茜は少し内気で、真面目な顔をしているが、家族の前ではよく笑う。特に、幼馴染で僕の交際相手でもある佑香が来ると、姉のように慕って明るくなる。 その平穏が、ほんの些細な噂によって、静かに、しかし深く切り裂かれようとは、その時はまだ知らなかった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

処理中です...