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【後日談】どうぞお幸せに
いざ!
しおりを挟むそうして5月某日、私とレイは東京へと向かった。
東京には去年の修学旅行で来た。
2年から3年のクラスは持ち上がりだったから、「ゆうゆうじてき部」のメンツともう1人、喜多川君と割と仲のいい女の子と6人で班を作って、職業体験できるテーマパークに行ったっけ。
レイが中心になってまとめたレポートは、保護者も参加した学年集会で発表されて大好評だったけれど、既に家を出ていたレイのお母さんは、それを見ていない。
お父さんもお仕事で来られなかったけれど、後からニコニコしながら私たちの話を聞いてくれた。
片山からは新幹線だと1時間少々で東京に着いてしまう。
ネットでよく話題になっている「カッチカチのアイスクリーム(**下記注)」が、乗っている間にちゃんと全部食べられるか、心配になるほどあっという間だ。
**
2013年時点のお話です
**
◇◇◇
レイのお母さんのご親戚は、新宿から私鉄に乗り換えて、各駅停車で20分ほどの街に住んでいるそうだ。
私でも知っているような高級住宅地じゃん…。やっぱりお金持ちなのかな?
「実際行ってみると、割と普通の住宅地だよ。緑が多いから雰囲気はいいけど」
近所に雑誌に載るような感じのいいカフェとかケーキ屋さんがたくさんあって、今回はそういうところで落ち合うらしい。私としても、その方がまだ気楽だと思った。
「ね、今日の服、かわいいね」
「そう、かな。お姉ちゃんのお下がりなんだけど」
お姉ちゃんが高校時代、一生懸命バイトして買った服だけど、もう「子供っぽいからあんたにあげるよ」と言った、ブラックウォッチのワンピースだった。
「すごく似合ってる。まつりちゃんはそういうチェック系のイメージだよ。といっても、何着てもかわいいけどね」
レイは私に対してはジャッジが甘いのであんまり信用できないけれど、一応、東京のおしゃれタウンで、レイの隣で、恥ずかしくない程度には仕上がってくれているとうれしい。
ただ、それを電車内で(声は絞っているにしても)言うのはやめてくれ~。
私リアルで初めて見ちゃったよ。「ねえ、あの人、めっちゃかっこよくない?」「でもカノジョ連れか~」ってうわさしている女の子たちというのを。
中学時代、レイと一緒に行動しているだけで、結構なことをすれ違いざまに言われていたので、電車内でヒソヒソ話している子たちなんか、ものすごく上品に見えるけれど(そもそも話している子たち自身がおしゃれでかわいい)。
◇◇◇
レイのお母さんが指定したのは、チーズケーキ通でここ知らないのはモグリ!みたいなお店らしい。
おしゃれだけど、カントリー調の親しみやすい雰囲気で、私が着てきたような服も何となくマッチしている――と思う。
私の学校は私服校なので、いわゆるなんちゃって制服みたいなのを着ている子も多いけれど、私は手持ちを適当に着まわして通学し、その格好のまま寄り道もする。
だから片山では、「この店ならこういう服で」なんてあまり考えたこともないけれど、東京っていうだけでちょっと構えちゃうのは、田舎者の悲しい習性かな。
指定されたお店には、約束の10分ほど前に着いてしまった。
店内を見回しても、レイのお母さんらしき人はいなかったので、レイが「待ち合わせです」と言い、4人掛けの席に、入口から顔が見えやすいようにして並んで腰かけた。
それから5分ほどして。
「怜…やっぱりまつりちゃんと一緒だったのね?」
「母さん…元気そうだね」
お腹の大きなレイのお母さんの隣には、背が高くて涼し気な顔立ちの男性がいた。
こんなときに絶対口には出せないけれど――心なしかレイのお父さんに少し似ている。
「怜君、初めまして。藤本と言います」
「あ――斉木です。初めまして」
レイが席を立って会釈したので、私もつられて立った。
レイはたしか今、身長181って言っていたから、この藤本って人も同じくらいなのかな。
「君がまつりちゃん、だね。話は理恵さんから聞いているよ」
「は、初めまして。桐野です」
藤本さんは知的な雰囲気で感じのいい男性だと思った。
30代半ばくらいかな。弁護士さんだと言っていた。
レイのお母さんと並ぶと、すごくお似合いの美男美女って感じになる。
(まあそれ言ったら、レイのお父さんと一緒のときだってそうだったけどさ…)
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