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11年前の「その日の朝」を思い出そうとする(2022年3月11日)
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毎年毎年、この日の14時46分より前の時間帯、「n年前の今日の今頃は、何も考えていなかったはず」ということです。
午前中に震度4ぐらいの地震があって、「最近結構多いなあ…(3、4クラス)」と思ったことは覚えています。
あの日、旦那氏は午前中で学校が終わりだった次女を連れ、実家の墓参りに行っていたので、天気は悪くなかったはずです。
私はいつものように入力の仕事をしていて、長女はアルバイトの返事待ちでした。
引っ越し屋さんだったのですが、面接で調子のいいことを言いながら、2週間返事をよこさない状態だったので、「落ちたと思った方がいいのでは…」という段階でした。
もし長女のバイトが2月中に決まっていたら、3月は結構忙しかったのでは。
そして――この3月11日がバイトだったら、どこか遠方に行っていた可能性も…。
オーナーは好人物だけれど時給が全く上がらないコンビニに見切りをつけ、お金本位で選んだバイトでした。
白い靴下の替えと、念のための酔い止めドリンクをたっぷり用意して、やる気まんまんだったのに。
◇◇◇
私は残り作業5分ぶん。真面目にやれば15~20分で終わる分量でした。
2時半頃、突然眠気の襲われて、「10分、10分だけ」と言いつつ仮眠をとり、長女は自分のノーパソで動画を見ていたと思います。
私と長女は全く同じ機種で色違いのフィーチャーフォンを使っていました。
私が作業に戻ったぐらいのタイミングで、その2台が気持ちの悪い重奏状態であの禍々しい音をたてていたのです。
少しずつ勢いを増していき、マックスになった揺れは、体感で20分くらい?続いたでしょうか。
不思議――というかヤバい話ですが、私も長女も机の下にもぐってやり過ごそうとし、外に出ようという発想がまるでありませんでした。
机の頭上部分に渡してあった三角棚からは、古い書類がドサドサ落ちてきましたが、家具が倒れることはなく、物損も皿1枚だけ。
少し揺れが落ち着いてからテレビをつけ、私たちの住む地域は「6弱」だったことを知りました。
マグニチュードは最初の発表では「7.9」でしたが(これだって関東大震災クラスの驚愕の数字…)、後々修正され、結果的に「9.0」として記録されることになりました。
携帯も家電も不通になったようで、外出した2人の様子が分からず不安でしたが、4時過ぎにようやく帰ってきた覚えがあります。
国道4号線を走っていて、目に見えて被害の分かる建物を何棟も見たので、旦那氏は最悪家が倒壊していることも想像したそうですが、帰ってみると、倒れてしまった靴箱で玄関がふさがれ、中には私たちがいる気配が…
当然外に出ていると思った私たちが家の中にいたので、旦那氏にしてみると、密室ミステリーのごとき不可解さだったようですが、少し冷静になってから、「こういうときは、せめて表出ろよ…」と力なく突っ込みました。
とにもかくにも、家族が無事全員合流したということで、私は何となく、エプロンのポケットに入っていた「カクダイのラムネ菓子」を1包みずつ3人に渡しました。
カクダイのラムネは私のモスト・フェイバリットおやつです。
糖とクエン酸が摂れ、リフレッシュにはぴったり。
3包みしかなかったので、私の分がなくなってしまったけれど、何でしょうね、あのときの酔狂な気持ち。
すぐさま口に含んで「うめっ」「おいし」と言っている家族の顔を見たら何となく救われました。
…にもかかわらず、少し経ってから、「あのときのラムネ菓子…」と話題を振っても、「覚えてない」「だっけ?」と言われてしまい、私の貴重なラムネ返せーっ!と内心叫びました。
まあ、ラムネの味が嫌な記憶と連動しなくてよかったとも言えます。
◇◇◇
被害の大きかった地域の人間にとっては、翌日3月12日からが本番でした。
3月12日は、前日全く眠れなかったこともあり、仕事にならないほどの眠気と倦怠感に悩まされました。
3月13日、少し大きめのスーパーに行くと、入場制限がかかっていました。
やむなく列に並んだものの、一向に動かないので途中で離脱。
ちょうどその隣にあった酒の量販店に行って、トマト缶、チーズ、小麦粉、そしてビールを買いました。
ビールのアルコールを飛ばし、小麦粉、卵と一緒に混ぜてこね、ピザ皮っぽいものやナン的なものを焼いて、レトルトカレーやトマトソースで食べました。
お米も水も手に入りにくかったので、米食は1日一回だけ。
それでもイベント色の強いご飯は意外と家族に受け、食べ物以外に対する反応はクールと定評のあった長女をして、「震災直後、食べるのが楽しかったから、意外と辛くなかった」と言わせたのが、結構な心のハイライトです。
◇◇◇
3月14日以降も、「牛乳買えた!」「パンあった!」「灯油ギリギリで買えた!」と、些細なことを声に出して喜んでいたので、歯を食いしばって我慢する暇さえありませんでした。
…でも、記憶が正しければ、3月15日深夜、商売を畳もうとしていたお弁当屋さんが、地震きっかけで炊き出しをしたニュースをラジオで聞き、夜中に台所で文字通り号泣してしまいました。
「ゆるんだ」「はじけた」「やぶれた」、いろんな表現ができる感情でした。
◇◇◇
地震被害でしばらく使えなくなった施設や店舗はあったものの、物流さえ戻れば、私の生活は以前とそう変わらないものに思えました。
しかし東電原発事故の影響で、ネット掲示板では「汚染地帯」と面白半分にいじられました。
日本全国が最も冷静になるべきときに、とにかく危険をあおられていた印象です。
そんなとき笑ってしまったのが、どこかで見かけた次の一言でした。
「被曝は甘え」
多分「~は甘え」という言い回しがはやっていたか定番化していたかでしょう。
なぜか分からないのですが、妙に腑に落ちる表現だったのです。
そもそも人間、この世に生きているだけで、そこそこ被曝しているはずですしね。
◇◇◇
外出時、最初はマスクをつけていましたが、1週間もすると「ま、いいや」になりました。
まちBBSみたいなところで、「外の様子とか知りたいけど、マスクしてまで外出するの面倒で」という書き込みに対する反応で、「その一言で、本当に引きこもってるのが分かる。マスクなんてみんなもうつけてないよ」と、謎のマウントを取っている書き込みがあったりして、そんなやりとりにさえ、「私たちは1人じゃない。何とかやってけるさ」みたいな空気を感じたものです。
◇◇◇
度重なる余震のたび、「年齢の若い順に外に出る」というルールをつくっていたので、しょっちゅう外に追い立てられた次女は、「もう嫌!地震飽きた!」とキレました。
当時はアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』が大人気で、家族そろって更新を楽しみにしていました。
電話(ネット)が復旧した後は、長女がネット動画を見ながら、作中登場する「シャルロッテ」のマスコットをつくりました。
フェルトは近所の100均でも手に入るけれど、微妙なニュアンスカラーのがどうしても欲しいと言い、少し遠くのトーカイ(手芸用品店)まで自転車を走らせたこともありました。
相当暇だったようで、エクセルに毎日の風向、風力、環境放射能測定地などを入力し、表とにらめっこしつつ、「よし、今日は外出してみよう」という感じですが、「何のこっちゃ…」と思って見ていました。
多分、そんなことすらも、あの環境下では「娯楽」だったのでしょう。
でき上がったマスコットはなかなかのクオリティーで、新学期が始まった以降は、次女がランドセルにつるしていました。
◇◇◇
食料品や生活物資を探して徘徊するけれど、そもそも開いている店が少なく、コンビニでさえ、初めて見るシャッターを下ろしていたこともありました。
あの「めでたくない正月」みたいな光景を思い出すと、いまだに嫌な気持ちになりますが、電気・ガスはありがたいことに安定的に供給されており、電話も水道も6日目ぐらいには復旧していたので、長い目で見れば「わずかな辛抱」で済んでいました。
何より、家族全員生きていたことに感謝します。
あの頃のことを思い出すと、どうしても口数が多くなりますが、これでも書きたいことの10分の1も書けていません。
このブログをとりあえず締めようとしている今は、9時16分。
11年前は長女に「そろそろ起きてご飯食べなさい」などと声をかけていたはずです。
午前中に震度4ぐらいの地震があって、「最近結構多いなあ…(3、4クラス)」と思ったことは覚えています。
あの日、旦那氏は午前中で学校が終わりだった次女を連れ、実家の墓参りに行っていたので、天気は悪くなかったはずです。
私はいつものように入力の仕事をしていて、長女はアルバイトの返事待ちでした。
引っ越し屋さんだったのですが、面接で調子のいいことを言いながら、2週間返事をよこさない状態だったので、「落ちたと思った方がいいのでは…」という段階でした。
もし長女のバイトが2月中に決まっていたら、3月は結構忙しかったのでは。
そして――この3月11日がバイトだったら、どこか遠方に行っていた可能性も…。
オーナーは好人物だけれど時給が全く上がらないコンビニに見切りをつけ、お金本位で選んだバイトでした。
白い靴下の替えと、念のための酔い止めドリンクをたっぷり用意して、やる気まんまんだったのに。
◇◇◇
私は残り作業5分ぶん。真面目にやれば15~20分で終わる分量でした。
2時半頃、突然眠気の襲われて、「10分、10分だけ」と言いつつ仮眠をとり、長女は自分のノーパソで動画を見ていたと思います。
私と長女は全く同じ機種で色違いのフィーチャーフォンを使っていました。
私が作業に戻ったぐらいのタイミングで、その2台が気持ちの悪い重奏状態であの禍々しい音をたてていたのです。
少しずつ勢いを増していき、マックスになった揺れは、体感で20分くらい?続いたでしょうか。
不思議――というかヤバい話ですが、私も長女も机の下にもぐってやり過ごそうとし、外に出ようという発想がまるでありませんでした。
机の頭上部分に渡してあった三角棚からは、古い書類がドサドサ落ちてきましたが、家具が倒れることはなく、物損も皿1枚だけ。
少し揺れが落ち着いてからテレビをつけ、私たちの住む地域は「6弱」だったことを知りました。
マグニチュードは最初の発表では「7.9」でしたが(これだって関東大震災クラスの驚愕の数字…)、後々修正され、結果的に「9.0」として記録されることになりました。
携帯も家電も不通になったようで、外出した2人の様子が分からず不安でしたが、4時過ぎにようやく帰ってきた覚えがあります。
国道4号線を走っていて、目に見えて被害の分かる建物を何棟も見たので、旦那氏は最悪家が倒壊していることも想像したそうですが、帰ってみると、倒れてしまった靴箱で玄関がふさがれ、中には私たちがいる気配が…
当然外に出ていると思った私たちが家の中にいたので、旦那氏にしてみると、密室ミステリーのごとき不可解さだったようですが、少し冷静になってから、「こういうときは、せめて表出ろよ…」と力なく突っ込みました。
とにもかくにも、家族が無事全員合流したということで、私は何となく、エプロンのポケットに入っていた「カクダイのラムネ菓子」を1包みずつ3人に渡しました。
カクダイのラムネは私のモスト・フェイバリットおやつです。
糖とクエン酸が摂れ、リフレッシュにはぴったり。
3包みしかなかったので、私の分がなくなってしまったけれど、何でしょうね、あのときの酔狂な気持ち。
すぐさま口に含んで「うめっ」「おいし」と言っている家族の顔を見たら何となく救われました。
…にもかかわらず、少し経ってから、「あのときのラムネ菓子…」と話題を振っても、「覚えてない」「だっけ?」と言われてしまい、私の貴重なラムネ返せーっ!と内心叫びました。
まあ、ラムネの味が嫌な記憶と連動しなくてよかったとも言えます。
◇◇◇
被害の大きかった地域の人間にとっては、翌日3月12日からが本番でした。
3月12日は、前日全く眠れなかったこともあり、仕事にならないほどの眠気と倦怠感に悩まされました。
3月13日、少し大きめのスーパーに行くと、入場制限がかかっていました。
やむなく列に並んだものの、一向に動かないので途中で離脱。
ちょうどその隣にあった酒の量販店に行って、トマト缶、チーズ、小麦粉、そしてビールを買いました。
ビールのアルコールを飛ばし、小麦粉、卵と一緒に混ぜてこね、ピザ皮っぽいものやナン的なものを焼いて、レトルトカレーやトマトソースで食べました。
お米も水も手に入りにくかったので、米食は1日一回だけ。
それでもイベント色の強いご飯は意外と家族に受け、食べ物以外に対する反応はクールと定評のあった長女をして、「震災直後、食べるのが楽しかったから、意外と辛くなかった」と言わせたのが、結構な心のハイライトです。
◇◇◇
3月14日以降も、「牛乳買えた!」「パンあった!」「灯油ギリギリで買えた!」と、些細なことを声に出して喜んでいたので、歯を食いしばって我慢する暇さえありませんでした。
…でも、記憶が正しければ、3月15日深夜、商売を畳もうとしていたお弁当屋さんが、地震きっかけで炊き出しをしたニュースをラジオで聞き、夜中に台所で文字通り号泣してしまいました。
「ゆるんだ」「はじけた」「やぶれた」、いろんな表現ができる感情でした。
◇◇◇
地震被害でしばらく使えなくなった施設や店舗はあったものの、物流さえ戻れば、私の生活は以前とそう変わらないものに思えました。
しかし東電原発事故の影響で、ネット掲示板では「汚染地帯」と面白半分にいじられました。
日本全国が最も冷静になるべきときに、とにかく危険をあおられていた印象です。
そんなとき笑ってしまったのが、どこかで見かけた次の一言でした。
「被曝は甘え」
多分「~は甘え」という言い回しがはやっていたか定番化していたかでしょう。
なぜか分からないのですが、妙に腑に落ちる表現だったのです。
そもそも人間、この世に生きているだけで、そこそこ被曝しているはずですしね。
◇◇◇
外出時、最初はマスクをつけていましたが、1週間もすると「ま、いいや」になりました。
まちBBSみたいなところで、「外の様子とか知りたいけど、マスクしてまで外出するの面倒で」という書き込みに対する反応で、「その一言で、本当に引きこもってるのが分かる。マスクなんてみんなもうつけてないよ」と、謎のマウントを取っている書き込みがあったりして、そんなやりとりにさえ、「私たちは1人じゃない。何とかやってけるさ」みたいな空気を感じたものです。
◇◇◇
度重なる余震のたび、「年齢の若い順に外に出る」というルールをつくっていたので、しょっちゅう外に追い立てられた次女は、「もう嫌!地震飽きた!」とキレました。
当時はアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』が大人気で、家族そろって更新を楽しみにしていました。
電話(ネット)が復旧した後は、長女がネット動画を見ながら、作中登場する「シャルロッテ」のマスコットをつくりました。
フェルトは近所の100均でも手に入るけれど、微妙なニュアンスカラーのがどうしても欲しいと言い、少し遠くのトーカイ(手芸用品店)まで自転車を走らせたこともありました。
相当暇だったようで、エクセルに毎日の風向、風力、環境放射能測定地などを入力し、表とにらめっこしつつ、「よし、今日は外出してみよう」という感じですが、「何のこっちゃ…」と思って見ていました。
多分、そんなことすらも、あの環境下では「娯楽」だったのでしょう。
でき上がったマスコットはなかなかのクオリティーで、新学期が始まった以降は、次女がランドセルにつるしていました。
◇◇◇
食料品や生活物資を探して徘徊するけれど、そもそも開いている店が少なく、コンビニでさえ、初めて見るシャッターを下ろしていたこともありました。
あの「めでたくない正月」みたいな光景を思い出すと、いまだに嫌な気持ちになりますが、電気・ガスはありがたいことに安定的に供給されており、電話も水道も6日目ぐらいには復旧していたので、長い目で見れば「わずかな辛抱」で済んでいました。
何より、家族全員生きていたことに感謝します。
あの頃のことを思い出すと、どうしても口数が多くなりますが、これでも書きたいことの10分の1も書けていません。
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