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第56章 アパートの鍵差し上げます A【千弦と聡二 交際編】
合い鍵【聡二】
しおりを挟む俺は千弦さんをソファにやんわりと押し付け、少し長めのキスを、時々唇を離して息継ぎをしながら繰り返した。
顔全体の面積は小さいのに広い、賢そうな額、黒目が優勢のアーモンドアイ、まっすぐ筋の通った鼻柱、愛らしい小鼻、唇、どこもかしこも愛おしくて仕方ない。
(千弦さんほどでないにせよ)見た目がきれいな女性はほかにもいるし、もっと若い女性となるときりがない。
それでも俺は、千弦さん以外要らないとはっきり言える。15の初恋から変わらない気持ちだった。
◇◇◇
彼女がほどいた髪のまま、シャツワンピースのボタンをはめ始めた。
声を抑えようとした手を外させ、「もっと声を出して」と耳元でささやいたので、千弦さんは本能のまま鳴いてくれた。
隣室にも丸聞こえだったかもしれないし、10代の娘さんには刺激が強すぎたか?
しかし、ねらってそうしたので問題ない。
(かわいそうなので、今後は少し控えるが)
「あ、そうだ。忘れないうちこれを」
俺は気持ちがたかぶり、全裸のまま彼女に鍵を手渡した。
「あ……この部屋の?」
「はい。別荘みたいに使ってくれていいんですよ」
「うれしい。合い鍵って初めてもらったわ」
表情を緩め、心から喜んでくれているのが分かる。
俺は若く、堪え性がなく、千弦さんに夢中な男である。
その表情を見て「かわいいなあ」とデレッとした次の瞬間、再び彼女を組み敷いていた。
「困った子ね…」
どうやら応じてくれたようだ。
(お隣さん、ごめんなさい。今度は声は少し抑えます)
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