初恋ガチ勢

あおみなみ

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第37章 初めてのふたり【千弦と聡二 交際編】

緊張

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【千弦】

 聡二君が私の体から手を離し、ベッドに腰かけた。

「千弦さん――俺はあなたを抱きたいが、あなたが嫌がることはしたくない。実は俺と寝るのが嫌なんですか?」

 え?この期に及んでナニソレ?

「ここまでしておいて、バカなことを言わないでよ」
「じゃ、どうして俺と目を合わせようともしないんですか?」

「…ず…しいのよ」
「え?」
「恥ずかしいのよ。私はこういうこと、ほとんどしたことがないから」
「だって、結婚もしていて…」
「だ・か・ら!私は夫以外知らないの。彼が死んでから、男性とデートすらしたことないのよ。恥ずかしいことを何度も言わせないで!」

 ウケをねらったつもりもなく、ただの「事実の開陳」だったのに、聡二君が声を立てて笑い、再び私をベッドに押さえつけるように抱き締めた。

「千弦さん、『俺も童貞です』って言ったら安心してくれますか?」
「え、まさか」
「中3の途中までテニス漬けで、その後のことは千弦さんだって知っているでしょう?どこにほかの女の入り込むすきがあると思います?」
「だけど…」
「俺だって緊張してるし必死です。せめて千弦さんはもっとリラックスして」

 確かに理にかなった説明ではあるけれど、私は心と体が違うことを責める気はない。
 「そういう気」になったとき、ほかの女性と関係を持っていたとしても、別におかしくないと思っていた。
 相手はただでさえ花形部活のスター選手で、それだけでもモテ予想としては十分だろう(実際、彼のことを好きな女の子に「ババアがでしゃばるな」とシメられかけた経験もあるわけで)。

「言っておきますが、俺は体だけ満足すればOKではないんですよ」

 え、心を読まれた?

◇◇◇

【聡二】

 中3の冬休み前、学内で嫌なうわさを聞いたことがあった。
 「中学のうちに童貞を捨てたい」と考える連中が周囲に現れ、千弦さんが筆おろしの手伝いをしてくれるだの、「さくら」の2階はヤリ部屋になっているだのと、割と本気で信じている男子生徒がちらほらいたのだ。

 千弦さんはそんな女性ではないと、俺は中3の純情で信じ切っていたが、あのうわさが本当だったとしても、千弦さんを嫌いになれたどうかは分からない。
 多分だが、軽く失望はしたとしても諦め切れず、「やめさせよう」くらいは考えたかもしれない。

 その答えが目の前の「恥じらってこわばる彼女」だ。

 誰だ、「頼めばヤラせてくれる」だの、「かわいい顔して淫乱」だの、無責任に言ったやつは。
 世の中、何人の男の相手をしても、まるで初めてのごとく振る舞う女性もいるとは聞く。
 もしそういうことなら、俺は彼女になら騙されても本望だ。
 自然にこういう態度になってしまう下地がある――つまりは本当に「しばらく男と寝ていない」のなら、それはそれで、俺が何とかしよう。

 童貞だって、本気を出せばできるはずだ。
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