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第12章 伏兵
通じ合う
しおりを挟むみゆきは門扉の向こうでくるっと振り向いて、私に向かって元気よくサムアップしてくれた。
正直嫌いだった。
というより、自分を嫌っている人に良い感情は持ちようがなかった。
そんな彼女の親指の頼もしさに、何だか不安になるほどうれしさがこみ上げてくる。
「ねえ、ゆきちゃん。みゆきお姉ちゃん、ママの友達になってくれるのかな?」
腕の中の幸奈に笑いかけたら、一瞬きょとんとした後、キャッキャと声をたてて笑った。
赤ん坊というのは感性の固まりだ。表情を読む達人なのだ。
たとえ大人の話が分からなくても、話している人が機嫌がよさそうなら笑うし、そうでないなら不安げな顔を浮かべる。表情と会話している感じ。
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