50 / 93
第一部ルート4「動き出す歯車」
追跡者8
しおりを挟む
さすがにここまで弱ったポルテを責める事は出来ない…。
ここは作戦があると言ったアサトに託そう。
私はアサトの方向に目を向けると、信じられない光景が飛び込んでくる。
一気にロボットの足元へ突っ込んで円を描くように周りを回り始めた。
その軌道線上を左右のアームが次々と振り下ろされて、アサトが通った箇所の地面をえぐりかえした。
その時点で私の最大スピードを遥かに上回っている。
アサトはしばらく回った後にタイミングを見計らい、ロボットの懐に入り込むと地面に落ちているキラリと光る鋭利な物を拾い上げた。
それをぐっと力いっぱい握り締めて、ロボットの足元を一筆書きの如く横に振り抜いた。
アサトの手からは大量の出血が出ているようで、血しぶきが同時に草木に飛び散り真赤に染め上げる。
ロボットは一旦よろめいたが体制を立て直し攻撃を再開する。
アサトを狙い続けてひたすらアームを動かして攻撃しているが、それを素早くかわしながらカウンターを数回に渡り確実に当て続けていた。
最後はバックステップでロボットとの距離を取り、一呼吸置きながら様子を見つつこっちに振り返った。
「もう、大丈夫だよ。」
「大丈夫じゃないでしょ!まだ動きそうだよ!」
と叫んだ瞬間にロボットは地面にへばり付くように崩れ落ちた。
「なにをしたの?それよりその出血は大丈夫?」
アサトの手からは大量の出血が見受けられる。
ポルテの事も気になるが、止血が先だろうとアサトの元へ駆け寄った。
近くに行き握り締めた物を見ると折られたポルテの爪が握り込まれている。
これでロボットを攻撃して無力化したのだろう。
戦闘用獣人の鋭利な爪は、普通のナイフの切れ味よりもとてもよく切れる。
そして使いたい時に伸ばし、いらない時には収納する事ができてとても便利である。
争いがない今では主に木材の伐採や料理で具材を切り刻む包丁替わりに使うことが主流となっている。
「とにかく!早く止血しないと!」
私は焦り口調でアサトに言葉を発した。
アサトは至って冷静に落ち着いた様子で。
「出血はすぐ止まるから大丈夫だよ。」
どう見ても第二関節から骨までざっくりと切れているのにすぐ止まるはずがない…。
「すぐに止まるわけ無いでしょ!早く手を見せて!」
握っていた爪を痛々しく開けると、さらに血が滲みでてきた。
酷い怪我に目を少し逸らしてしまう。
もう一度傷口を見た。
なんとも不思議な光景が目に飛び込んでくる。
血液が凝固して傷口がみるみるうちに治っていった。
「ほら、すぐに止まったでしょ?」
誇らしげにアサトが言った。
驚きの回復力…。
普通の人間にはありえない神秘的な光景である。
「なんで直ぐに治っちゃうの?」
「自分でもなんでかはわからないんだけど…この事に初めて気づいたのはハクシを助けた時なんだ。自分の血液を輸血するために指を切ってハクシに注入してたら、すぐに凝固しちゃってなかなか上手くハクシに血液を送る事ができなかったんだよね。」
理由はアサト本人もあまり理解はしていないみたいだった。
それとハクシを助けるためにそんな事までやっていた事にも驚いたて開いた口がふさがらない…。
思い立ったようにアサトは次の行動をしだした。
「ポルテの爪を今後武器として使わせてもらって大丈夫?」
「う、うん、いいよ。しばらく折れた爪は生えてこないから、存分に使ってほしい。」
気が付くと腕を抱えたまま、よちよちとポルテがあゆみ寄ってきている。
「あんた立って大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないよ!…もう僕は情けないけどこの場から逃げるよ!どこかに隠れられる場所探して隠れるから、二人で養殖場でもどこでも行ってくれ!もう僕は戦わない!」
私は今回ばかりは反論できずに下を向き黙り込んでしまった。
「僕だって一人で行動するのは怖いけど…この先死ぬ思いをして養殖場に行くぐらいなら危険かもしれないけど、安全かもしれない別の場所に行って隠れながらやり過ごすよ!」
ポルテはそう言い残し足を引き吊りながら、私達に背を向けて歩きだした。
私は申し訳なくなり深々と頭を下げる。
「ごめんね…こんな事に巻き込んで…。」
「謝らなくてもいいよ…。どうせ僕はなにも出来ない弱虫だ…。シエルの事は心配だけど死なないで帰ってきてね…。」
その言葉を最後に残して森の奥の茂みへと消えていった。
アサトが唐突に言葉を発した。
「よし!完成。」
なにやら私達が会話している時に、ポルテの爪を木の棒とツルなどをかけ合わせて簡易的なナイフを作っていたらしい。
試し振りや切りを軽くやってから、森の奥へ消えていったポルテに大声で言葉をかける。
「僕がシエルを守るから、ポルテは安心して逃げ隠れてくれ!」
とても頼もしい言葉だった。
反応や姿はなかったけど、ポルテにもきっと伝わったと思う。
「それじゃぁポルテの分まで守って貰うから覚悟してね。」
「わかった。さぁ…ハクシやアリル達がもう待ってるかもしれないし先を急ごう。」
少し邪魔が入ったり一人脱落したり色々あったけど、私達は気を取り直して前へ歩き出した。
ここは作戦があると言ったアサトに託そう。
私はアサトの方向に目を向けると、信じられない光景が飛び込んでくる。
一気にロボットの足元へ突っ込んで円を描くように周りを回り始めた。
その軌道線上を左右のアームが次々と振り下ろされて、アサトが通った箇所の地面をえぐりかえした。
その時点で私の最大スピードを遥かに上回っている。
アサトはしばらく回った後にタイミングを見計らい、ロボットの懐に入り込むと地面に落ちているキラリと光る鋭利な物を拾い上げた。
それをぐっと力いっぱい握り締めて、ロボットの足元を一筆書きの如く横に振り抜いた。
アサトの手からは大量の出血が出ているようで、血しぶきが同時に草木に飛び散り真赤に染め上げる。
ロボットは一旦よろめいたが体制を立て直し攻撃を再開する。
アサトを狙い続けてひたすらアームを動かして攻撃しているが、それを素早くかわしながらカウンターを数回に渡り確実に当て続けていた。
最後はバックステップでロボットとの距離を取り、一呼吸置きながら様子を見つつこっちに振り返った。
「もう、大丈夫だよ。」
「大丈夫じゃないでしょ!まだ動きそうだよ!」
と叫んだ瞬間にロボットは地面にへばり付くように崩れ落ちた。
「なにをしたの?それよりその出血は大丈夫?」
アサトの手からは大量の出血が見受けられる。
ポルテの事も気になるが、止血が先だろうとアサトの元へ駆け寄った。
近くに行き握り締めた物を見ると折られたポルテの爪が握り込まれている。
これでロボットを攻撃して無力化したのだろう。
戦闘用獣人の鋭利な爪は、普通のナイフの切れ味よりもとてもよく切れる。
そして使いたい時に伸ばし、いらない時には収納する事ができてとても便利である。
争いがない今では主に木材の伐採や料理で具材を切り刻む包丁替わりに使うことが主流となっている。
「とにかく!早く止血しないと!」
私は焦り口調でアサトに言葉を発した。
アサトは至って冷静に落ち着いた様子で。
「出血はすぐ止まるから大丈夫だよ。」
どう見ても第二関節から骨までざっくりと切れているのにすぐ止まるはずがない…。
「すぐに止まるわけ無いでしょ!早く手を見せて!」
握っていた爪を痛々しく開けると、さらに血が滲みでてきた。
酷い怪我に目を少し逸らしてしまう。
もう一度傷口を見た。
なんとも不思議な光景が目に飛び込んでくる。
血液が凝固して傷口がみるみるうちに治っていった。
「ほら、すぐに止まったでしょ?」
誇らしげにアサトが言った。
驚きの回復力…。
普通の人間にはありえない神秘的な光景である。
「なんで直ぐに治っちゃうの?」
「自分でもなんでかはわからないんだけど…この事に初めて気づいたのはハクシを助けた時なんだ。自分の血液を輸血するために指を切ってハクシに注入してたら、すぐに凝固しちゃってなかなか上手くハクシに血液を送る事ができなかったんだよね。」
理由はアサト本人もあまり理解はしていないみたいだった。
それとハクシを助けるためにそんな事までやっていた事にも驚いたて開いた口がふさがらない…。
思い立ったようにアサトは次の行動をしだした。
「ポルテの爪を今後武器として使わせてもらって大丈夫?」
「う、うん、いいよ。しばらく折れた爪は生えてこないから、存分に使ってほしい。」
気が付くと腕を抱えたまま、よちよちとポルテがあゆみ寄ってきている。
「あんた立って大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないよ!…もう僕は情けないけどこの場から逃げるよ!どこかに隠れられる場所探して隠れるから、二人で養殖場でもどこでも行ってくれ!もう僕は戦わない!」
私は今回ばかりは反論できずに下を向き黙り込んでしまった。
「僕だって一人で行動するのは怖いけど…この先死ぬ思いをして養殖場に行くぐらいなら危険かもしれないけど、安全かもしれない別の場所に行って隠れながらやり過ごすよ!」
ポルテはそう言い残し足を引き吊りながら、私達に背を向けて歩きだした。
私は申し訳なくなり深々と頭を下げる。
「ごめんね…こんな事に巻き込んで…。」
「謝らなくてもいいよ…。どうせ僕はなにも出来ない弱虫だ…。シエルの事は心配だけど死なないで帰ってきてね…。」
その言葉を最後に残して森の奥の茂みへと消えていった。
アサトが唐突に言葉を発した。
「よし!完成。」
なにやら私達が会話している時に、ポルテの爪を木の棒とツルなどをかけ合わせて簡易的なナイフを作っていたらしい。
試し振りや切りを軽くやってから、森の奥へ消えていったポルテに大声で言葉をかける。
「僕がシエルを守るから、ポルテは安心して逃げ隠れてくれ!」
とても頼もしい言葉だった。
反応や姿はなかったけど、ポルテにもきっと伝わったと思う。
「それじゃぁポルテの分まで守って貰うから覚悟してね。」
「わかった。さぁ…ハクシやアリル達がもう待ってるかもしれないし先を急ごう。」
少し邪魔が入ったり一人脱落したり色々あったけど、私達は気を取り直して前へ歩き出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる