クロスロード

つよけん

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第一部ルート4「動き出す歯車」

追跡者8

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さすがにここまで弱ったポルテを責める事は出来ない…。
ここは作戦があると言ったアサトに託そう。
私はアサトの方向に目を向けると、信じられない光景が飛び込んでくる。

一気にロボットの足元へ突っ込んで円を描くように周りを回り始めた。
その軌道線上を左右のアームが次々と振り下ろされて、アサトが通った箇所の地面をえぐりかえした。
その時点で私の最大スピードを遥かに上回っている。
アサトはしばらく回った後にタイミングを見計らい、ロボットの懐に入り込むと地面に落ちているキラリと光る鋭利な物を拾い上げた。
それをぐっと力いっぱい握り締めて、ロボットの足元を一筆書きの如く横に振り抜いた。
アサトの手からは大量の出血が出ているようで、血しぶきが同時に草木に飛び散り真赤に染め上げる。
ロボットは一旦よろめいたが体制を立て直し攻撃を再開する。
アサトを狙い続けてひたすらアームを動かして攻撃しているが、それを素早くかわしながらカウンターを数回に渡り確実に当て続けていた。
最後はバックステップでロボットとの距離を取り、一呼吸置きながら様子を見つつこっちに振り返った。

「もう、大丈夫だよ。」
「大丈夫じゃないでしょ!まだ動きそうだよ!」

と叫んだ瞬間にロボットは地面にへばり付くように崩れ落ちた。

「なにをしたの?それよりその出血は大丈夫?」

アサトの手からは大量の出血が見受けられる。
ポルテの事も気になるが、止血が先だろうとアサトの元へ駆け寄った。
近くに行き握り締めた物を見ると折られたポルテの爪が握り込まれている。
これでロボットを攻撃して無力化したのだろう。

戦闘用獣人の鋭利な爪は、普通のナイフの切れ味よりもとてもよく切れる。
そして使いたい時に伸ばし、いらない時には収納する事ができてとても便利である。
争いがない今では主に木材の伐採や料理で具材を切り刻む包丁替わりに使うことが主流となっている。

「とにかく!早く止血しないと!」

私は焦り口調でアサトに言葉を発した。
アサトは至って冷静に落ち着いた様子で。

「出血はすぐ止まるから大丈夫だよ。」

どう見ても第二関節から骨までざっくりと切れているのにすぐ止まるはずがない…。

「すぐに止まるわけ無いでしょ!早く手を見せて!」

握っていた爪を痛々しく開けると、さらに血が滲みでてきた。
酷い怪我に目を少し逸らしてしまう。
もう一度傷口を見た。
なんとも不思議な光景が目に飛び込んでくる。
血液が凝固して傷口がみるみるうちに治っていった。

「ほら、すぐに止まったでしょ?」

誇らしげにアサトが言った。
驚きの回復力…。
普通の人間にはありえない神秘的な光景である。

「なんで直ぐに治っちゃうの?」
「自分でもなんでかはわからないんだけど…この事に初めて気づいたのはハクシを助けた時なんだ。自分の血液を輸血するために指を切ってハクシに注入してたら、すぐに凝固しちゃってなかなか上手くハクシに血液を送る事ができなかったんだよね。」

理由はアサト本人もあまり理解はしていないみたいだった。
それとハクシを助けるためにそんな事までやっていた事にも驚いたて開いた口がふさがらない…。

思い立ったようにアサトは次の行動をしだした。

「ポルテの爪を今後武器として使わせてもらって大丈夫?」
「う、うん、いいよ。しばらく折れた爪は生えてこないから、存分に使ってほしい。」

気が付くと腕を抱えたまま、よちよちとポルテがあゆみ寄ってきている。

「あんた立って大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないよ!…もう僕は情けないけどこの場から逃げるよ!どこかに隠れられる場所探して隠れるから、二人で養殖場でもどこでも行ってくれ!もう僕は戦わない!」

私は今回ばかりは反論できずに下を向き黙り込んでしまった。

「僕だって一人で行動するのは怖いけど…この先死ぬ思いをして養殖場に行くぐらいなら危険かもしれないけど、安全かもしれない別の場所に行って隠れながらやり過ごすよ!」

ポルテはそう言い残し足を引き吊りながら、私達に背を向けて歩きだした。
私は申し訳なくなり深々と頭を下げる。

「ごめんね…こんな事に巻き込んで…。」
「謝らなくてもいいよ…。どうせ僕はなにも出来ない弱虫だ…。シエルの事は心配だけど死なないで帰ってきてね…。」

その言葉を最後に残して森の奥の茂みへと消えていった。

アサトが唐突に言葉を発した。

「よし!完成。」

なにやら私達が会話している時に、ポルテの爪を木の棒とツルなどをかけ合わせて簡易的なナイフを作っていたらしい。
試し振りや切りを軽くやってから、森の奥へ消えていったポルテに大声で言葉をかける。

「僕がシエルを守るから、ポルテは安心して逃げ隠れてくれ!」

とても頼もしい言葉だった。
反応や姿はなかったけど、ポルテにもきっと伝わったと思う。

「それじゃぁポルテの分まで守って貰うから覚悟してね。」
「わかった。さぁ…ハクシやアリル達がもう待ってるかもしれないし先を急ごう。」

少し邪魔が入ったり一人脱落したり色々あったけど、私達は気を取り直して前へ歩き出した。
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