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第一部ルート5「つばさ」
奪還3
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俺の意識が周囲を真っ白へ変えていく。
そのまま後ろに倒れた感覚だけが伝わって来た。
遠くの方でアリルが言葉を発していることがわかる。
さすがに死ぬか…。
ふわっと記憶が遠のいていく。
テレビのモニターをOFFにする時のようなプツンと白から暗黒へ誘われた。
…。
ん?意識がはっきりとしている。
真っ暗闇の中、俺は突っ立ていた。
「霊体体験は絶対にありえない…だとしたらまだ生きているのか?」
そんな事を呟くと、後ろで声が聞こえる。
「無茶しすぎですよ。」
「誰だ!」
警戒しながら後ろを振り返った。
「警戒しなくても大丈夫ですよ。僕はあなたを攻撃しません。」
そこには誰もいなかったが、声だけが遠くの方から聞こえてくる。
なんとも不気味な声に普段はあまり感じることない恐怖から背筋が凍りついた。
「警戒を解いたら恐怖を感じてますね?」
なぜそこまで俺の心が読めるんだ…。
「心を読んでるのではありませんよ?僕はあなたの一部なのですから解るに決まってるじゃないですか。」
一部?何を変なことを言い出すんだ。
「そうですね…ヒントは昨日の昼頃から僕とあなたは同化しました。」
同化?そんな改造受けた覚えはないが…。
「心で話さなくても言葉でも通じますよ?」
「全部筒抜けというのも気味が悪いな…。」
私も心で直接喋れたりもするんですけどね…。
直接脳内に気味の悪い声が入ってくる。
「それはやめてくれ…。脳みそを詰られてる感覚が嫌だ。」
「ならばこちらで喋りましょう。」
真っ暗闇だった世界が急に色付き始める。
「真っ暗な中で話すのも嫌でしょうから、僕の思い出の場所を具現化させて頂きました。」
そこは森の中で中央にはとても綺麗で幻想的な泉があった。
更に具現化が進み、そこにテーブルと椅子が用意されている。
「座って頂いて大丈夫ですよ。」
遠慮なく椅子を引き腰をゆっくりと下ろした。
具現化が最終段階を迎えたのか、テーブルの目の前にふわっと人が具現化する。
「アサト?どうしてお前が…。」
目の前に居たのは紛れもなくアサト本人だった。
「同化の意味もこれで理解できたと思います。」
同化した時間が昼頃だと言っていた、そして俺がアサトに血を提供してもらった時と重なる…。
「ご名答。私はアサトの血です。」
「…想像するなと言われても想像してしまうものだな。」
「それは人間なら当たり前のことです。」
俺は思わず苦笑をして、アサトの血も笑顔で応対する。
考えている事はすべてアサトの血には筒抜けだなと改めて思った。
「それでこの世界の事と、何が起こって居るのか説明してもらえないか?」
俺はアサトの血に問いかける。
「ここはアサト本人の記憶で、フォレストの恋と言う文献に描かれていた場所なのですよ。」
そういう事を聞いているのではなく…
「これを聞きたかったんじゃなくて、なぜここにあなたが連れてこられた事と私が具現化していることが気になるのですか?」
心を読まれるとどうも調子が狂う…。
「あなたは今夢を見ているだけです。もう少ししたら現実に戻ります。」
「あれだけ致命傷を負ったのに、まだ生きられると?」
不思議でたまらない妙な自信のアサトの血は語りだした。
「あなたはもう経験しているはずだ。胸に銃弾を浴びながらも傷口が塞がっていたり…。血がいくら経っても腐っていかない事だったり…。それは何故だと思いますか?」
そんな摩訶不思議な事があってたまるか!そんな現実的じゃないような答えは…
「でも実際起きた現実は事実ですよ。」
すべてを考える前に先に口止めをされる。
「アサトはもともとエラー品だった。そのことをあなたが一番よく知っているはずですよね。」
「血の成分が他の故人とはまったく違った物だから、研究対象として保管していた…。まさか!?」
「そう…そのまさかが僕の説明してきた事象に当てはまるアサトの血の正体です。」
超回復や無腐敗の正体はアサトの血を輸血された事から始まった必然的事象だったのか。
全ての理解不能の点と点が線で結ばれて、清々しい気持ちになる。
これはアサトに感謝することと、どうしても研究をしたい探究心が湧き出てきた。
「色々考えるのもいいですが、一つ忠告があります。」
アサトの血は急に真剣に話し始めた。
「さすがに攻撃を受けたり無茶をしすぎたせいで、あなたへの僕の超回復力はこれ以上持ちません。この治療が最後だと思ってください。」
あれだけ無茶をすればこれも仕方ないことであろう。
「そろそろ現実に戻れるぐらい修復しました。」
「最後に質問があるんだが…。」
俺が何を質問するか考えるより先に質問の答えが予測されて返ってくる。
「血液を急激に加速させてアドレナリンやその他もろもろの成分を分泌させて、見るものすべてを超スローモーションに変えていたのは僕ですよ。意識を集中させればば後一回なら使えると思います…。」
その言葉を聞いたと同時に、目が覚めて現実へと戻されていた。
大粒の涙を浮かべながらアリルが泣き叫び、俺の顔はびちょびちょに濡らされていた。
そのまま後ろに倒れた感覚だけが伝わって来た。
遠くの方でアリルが言葉を発していることがわかる。
さすがに死ぬか…。
ふわっと記憶が遠のいていく。
テレビのモニターをOFFにする時のようなプツンと白から暗黒へ誘われた。
…。
ん?意識がはっきりとしている。
真っ暗闇の中、俺は突っ立ていた。
「霊体体験は絶対にありえない…だとしたらまだ生きているのか?」
そんな事を呟くと、後ろで声が聞こえる。
「無茶しすぎですよ。」
「誰だ!」
警戒しながら後ろを振り返った。
「警戒しなくても大丈夫ですよ。僕はあなたを攻撃しません。」
そこには誰もいなかったが、声だけが遠くの方から聞こえてくる。
なんとも不気味な声に普段はあまり感じることない恐怖から背筋が凍りついた。
「警戒を解いたら恐怖を感じてますね?」
なぜそこまで俺の心が読めるんだ…。
「心を読んでるのではありませんよ?僕はあなたの一部なのですから解るに決まってるじゃないですか。」
一部?何を変なことを言い出すんだ。
「そうですね…ヒントは昨日の昼頃から僕とあなたは同化しました。」
同化?そんな改造受けた覚えはないが…。
「心で話さなくても言葉でも通じますよ?」
「全部筒抜けというのも気味が悪いな…。」
私も心で直接喋れたりもするんですけどね…。
直接脳内に気味の悪い声が入ってくる。
「それはやめてくれ…。脳みそを詰られてる感覚が嫌だ。」
「ならばこちらで喋りましょう。」
真っ暗闇だった世界が急に色付き始める。
「真っ暗な中で話すのも嫌でしょうから、僕の思い出の場所を具現化させて頂きました。」
そこは森の中で中央にはとても綺麗で幻想的な泉があった。
更に具現化が進み、そこにテーブルと椅子が用意されている。
「座って頂いて大丈夫ですよ。」
遠慮なく椅子を引き腰をゆっくりと下ろした。
具現化が最終段階を迎えたのか、テーブルの目の前にふわっと人が具現化する。
「アサト?どうしてお前が…。」
目の前に居たのは紛れもなくアサト本人だった。
「同化の意味もこれで理解できたと思います。」
同化した時間が昼頃だと言っていた、そして俺がアサトに血を提供してもらった時と重なる…。
「ご名答。私はアサトの血です。」
「…想像するなと言われても想像してしまうものだな。」
「それは人間なら当たり前のことです。」
俺は思わず苦笑をして、アサトの血も笑顔で応対する。
考えている事はすべてアサトの血には筒抜けだなと改めて思った。
「それでこの世界の事と、何が起こって居るのか説明してもらえないか?」
俺はアサトの血に問いかける。
「ここはアサト本人の記憶で、フォレストの恋と言う文献に描かれていた場所なのですよ。」
そういう事を聞いているのではなく…
「これを聞きたかったんじゃなくて、なぜここにあなたが連れてこられた事と私が具現化していることが気になるのですか?」
心を読まれるとどうも調子が狂う…。
「あなたは今夢を見ているだけです。もう少ししたら現実に戻ります。」
「あれだけ致命傷を負ったのに、まだ生きられると?」
不思議でたまらない妙な自信のアサトの血は語りだした。
「あなたはもう経験しているはずだ。胸に銃弾を浴びながらも傷口が塞がっていたり…。血がいくら経っても腐っていかない事だったり…。それは何故だと思いますか?」
そんな摩訶不思議な事があってたまるか!そんな現実的じゃないような答えは…
「でも実際起きた現実は事実ですよ。」
すべてを考える前に先に口止めをされる。
「アサトはもともとエラー品だった。そのことをあなたが一番よく知っているはずですよね。」
「血の成分が他の故人とはまったく違った物だから、研究対象として保管していた…。まさか!?」
「そう…そのまさかが僕の説明してきた事象に当てはまるアサトの血の正体です。」
超回復や無腐敗の正体はアサトの血を輸血された事から始まった必然的事象だったのか。
全ての理解不能の点と点が線で結ばれて、清々しい気持ちになる。
これはアサトに感謝することと、どうしても研究をしたい探究心が湧き出てきた。
「色々考えるのもいいですが、一つ忠告があります。」
アサトの血は急に真剣に話し始めた。
「さすがに攻撃を受けたり無茶をしすぎたせいで、あなたへの僕の超回復力はこれ以上持ちません。この治療が最後だと思ってください。」
あれだけ無茶をすればこれも仕方ないことであろう。
「そろそろ現実に戻れるぐらい修復しました。」
「最後に質問があるんだが…。」
俺が何を質問するか考えるより先に質問の答えが予測されて返ってくる。
「血液を急激に加速させてアドレナリンやその他もろもろの成分を分泌させて、見るものすべてを超スローモーションに変えていたのは僕ですよ。意識を集中させればば後一回なら使えると思います…。」
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