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第一部ルート6「終焉」~それぞれの道~
終焉10 ~ハクシの意思~
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『全くだらしが無い体だな…。』
だ、だれだ!
『一回話した事があると思うが…。』
アサトの血?
『ご名答…。』
そうか…俺は、耐えきれなくなって気を喪ってしまったのか…。
『気絶するなんて、本当にだらしないよ。』
そうか…もう俺の体はダメになってしまったのだな…。
『ダメになった?何を訳の分からない事を言っているっんだ?』
俺はおまえの血の力に耐え切れなくなって、崩壊したのであろう?
意識の遠くの方で大きな笑い声がこだまする。
『すまん…あまりにもマイナス思考っぷりが面白くて笑ってしまった。」
どういう事だ?
『自分の目で確かめれば、すぐにわかる事だよ。』
俺の視界が明るい方向へと、加速を始める。
『最後に言っとくけど、もうお前は機人としては生きれないから覚悟しとけよ。』
アサトの血は意味深な言葉を最後に残し、俺は現実へと目を覚ます。
「はっ!」
机の上で寝そべっていた上半身を勢いよく起こして、汗でびっしょりの体から水滴が散らばった。
腕で顔の汗を拭って、周りの状況を確認する。
アサトに輸血をしてもらった部屋の中だ…アサトは不在だった。
割れた窓越しを覗くと、アリル達天人が慌てた様子で故人達を誘導しているのが見えた。
記憶違いで無ければ、天人の人数が増えている気がするが…。
もうあの故人達は俺の管理下じゃ無いので、気にする事は無いと机から足を投げ出し、その上に腰掛ける形をとる。
違和感を感じる。
一連の動作は、いつもやっている他愛もない動作だ。
なにがおかしいのか…。
そこへ壊れたドアの間から、ふらっとアサトが入ってきた。
「具合はどう?」
「大丈夫そうだ。今は特に何もない…良好だ。」
アサトは安心した様子で語り出す。
「それなら良かった。僕も慌ててて何もする事が出来なかったから…。」
続けさまにアサトは耳を疑う様な発言をする。
「まさか、手足が生えてくるなんて思っても見なかったから…。」
手足が…生える?
俺は腕を恐る恐る顔の前まで持ってくる。
そこには機械的なゴツゴツとした腕ではなく、生身のゴリっとした筋肉質の腕が堂々と健在していた。
血の気が引く。
「なんだ!これは!」
今まであった物が無くなり、別物になる感覚は想像を絶するほど訳が分からない…。
ふと夢で出て来たアサトの血の言葉を思い出した。
『最後に言っとくけど、もうお前は機人としては生きれないから覚悟しとけよ。』
こう言う事だったのか…。
俺は機人から故人へとなってしまったのである。
全部が全部変った訳でもなく、体内に埋め込まれている元々あった部品は残されており、機能は残されたままだ。
体のデータチェック機能は健在しており、すぐさま動作させてみた。
アサトが不思議そうな顔でこちらをみている。
「すまない…。少し気が動転しただけだ…。」
「僕もそんな事が起きたら、同じ想いをすると思うから大丈夫。」
少しのやり取りが過ぎた頃に、データチェックの結果が出た。
内部構造が著しく変わっており、半分以上が生身の状態である。
一番驚いた事は手足が生えた事よりも、脊髄が生成されていて血液を自分で作り出す機関が構築されていた。
さらに脳も活性化されており、判断能力以外にも記憶領域が生成されている。
もちろん、内部にある記憶装置も作動しており、今までの記憶はそのままの形で残っている。
俺は呆気に取られる顔を浮かべて、もう一度手足の感触を確かめる。
地上へ生えた足を踏みしめると、以外にもすんなりと立つ事ができた。
「大地の感触はどうかしら?」
割れた窓越しにアリルがフワフワとこちらに向かって話しかけてきていた。
「神経が通っているのだろうか、重さが直接伝わってくる感じだ。」
アリルには手足の事は伝わっているらしい。
「隊長!早く行かないと怒られますよぉ!」
アリルの仲間達が催促をしていた。
どうやら直ぐにここを立つらしい…。
「急いで出るつもりは無かったんだけど、たまたま他の偵察部隊と合流出来た関係で早急になっちゃったのよ。」
だから天人が増えて居たのか…。
「私的にはアサトもきて欲しいんだけど、断られちゃったからね…。」
アリルはアサトを恋しそうな目で見つめる。
「僕は自由に旅をする事にしたんだ。また天人の街にもお邪魔する機会もあると思うから、その時によろしくね。」
決意のこもったアサトの声に、寂しそうな表情でアリルが答える。
「絶対に私を見つけてね!」
その言葉を残してアリルはその場を、立ち去っていく。
もう一度振り返り、器用に空中を綺麗に一回転して手を振り仲間達の元へ飛び去った。
「それじゃ、俺も病み上がりだが…しばらくしたら出発する。こうしている間にもバベルの暴走がどうなってるか気になる。」
俺は歩ける事を確認すると、アサトに問い掛ける。
「シエルに挨拶がしたいのだが何処にいるか知っているか?」
「シエルは…昨日の夜から何処にいるか分からないんだ…。」
まだ色々と引きずっているのか。
「でも言伝を頼んであるからシエルは大丈夫だと思う。」
自信満々にアサトは答えた。
「そうか…。」
「僕も会いづらい部分もあるから、シエルには悪けど当ても無くここを出ようと思います。」
出発準備を整えて俺とアサトは建物の外へと出た。
「生きている限りまた何処かで会うかもしれない…お互いそれまで生きていようぜ。」
俺は手を前に差し出す。
アサトはオドオドとしながら、手の汗を服で拭き手を握り返してくる。
「その時はまたお世話して下さい。」
俺達はお互いの明日を見据えて、反対の方向へと歩みだしたのだった。
だ、だれだ!
『一回話した事があると思うが…。』
アサトの血?
『ご名答…。』
そうか…俺は、耐えきれなくなって気を喪ってしまったのか…。
『気絶するなんて、本当にだらしないよ。』
そうか…もう俺の体はダメになってしまったのだな…。
『ダメになった?何を訳の分からない事を言っているっんだ?』
俺はおまえの血の力に耐え切れなくなって、崩壊したのであろう?
意識の遠くの方で大きな笑い声がこだまする。
『すまん…あまりにもマイナス思考っぷりが面白くて笑ってしまった。」
どういう事だ?
『自分の目で確かめれば、すぐにわかる事だよ。』
俺の視界が明るい方向へと、加速を始める。
『最後に言っとくけど、もうお前は機人としては生きれないから覚悟しとけよ。』
アサトの血は意味深な言葉を最後に残し、俺は現実へと目を覚ます。
「はっ!」
机の上で寝そべっていた上半身を勢いよく起こして、汗でびっしょりの体から水滴が散らばった。
腕で顔の汗を拭って、周りの状況を確認する。
アサトに輸血をしてもらった部屋の中だ…アサトは不在だった。
割れた窓越しを覗くと、アリル達天人が慌てた様子で故人達を誘導しているのが見えた。
記憶違いで無ければ、天人の人数が増えている気がするが…。
もうあの故人達は俺の管理下じゃ無いので、気にする事は無いと机から足を投げ出し、その上に腰掛ける形をとる。
違和感を感じる。
一連の動作は、いつもやっている他愛もない動作だ。
なにがおかしいのか…。
そこへ壊れたドアの間から、ふらっとアサトが入ってきた。
「具合はどう?」
「大丈夫そうだ。今は特に何もない…良好だ。」
アサトは安心した様子で語り出す。
「それなら良かった。僕も慌ててて何もする事が出来なかったから…。」
続けさまにアサトは耳を疑う様な発言をする。
「まさか、手足が生えてくるなんて思っても見なかったから…。」
手足が…生える?
俺は腕を恐る恐る顔の前まで持ってくる。
そこには機械的なゴツゴツとした腕ではなく、生身のゴリっとした筋肉質の腕が堂々と健在していた。
血の気が引く。
「なんだ!これは!」
今まであった物が無くなり、別物になる感覚は想像を絶するほど訳が分からない…。
ふと夢で出て来たアサトの血の言葉を思い出した。
『最後に言っとくけど、もうお前は機人としては生きれないから覚悟しとけよ。』
こう言う事だったのか…。
俺は機人から故人へとなってしまったのである。
全部が全部変った訳でもなく、体内に埋め込まれている元々あった部品は残されており、機能は残されたままだ。
体のデータチェック機能は健在しており、すぐさま動作させてみた。
アサトが不思議そうな顔でこちらをみている。
「すまない…。少し気が動転しただけだ…。」
「僕もそんな事が起きたら、同じ想いをすると思うから大丈夫。」
少しのやり取りが過ぎた頃に、データチェックの結果が出た。
内部構造が著しく変わっており、半分以上が生身の状態である。
一番驚いた事は手足が生えた事よりも、脊髄が生成されていて血液を自分で作り出す機関が構築されていた。
さらに脳も活性化されており、判断能力以外にも記憶領域が生成されている。
もちろん、内部にある記憶装置も作動しており、今までの記憶はそのままの形で残っている。
俺は呆気に取られる顔を浮かべて、もう一度手足の感触を確かめる。
地上へ生えた足を踏みしめると、以外にもすんなりと立つ事ができた。
「大地の感触はどうかしら?」
割れた窓越しにアリルがフワフワとこちらに向かって話しかけてきていた。
「神経が通っているのだろうか、重さが直接伝わってくる感じだ。」
アリルには手足の事は伝わっているらしい。
「隊長!早く行かないと怒られますよぉ!」
アリルの仲間達が催促をしていた。
どうやら直ぐにここを立つらしい…。
「急いで出るつもりは無かったんだけど、たまたま他の偵察部隊と合流出来た関係で早急になっちゃったのよ。」
だから天人が増えて居たのか…。
「私的にはアサトもきて欲しいんだけど、断られちゃったからね…。」
アリルはアサトを恋しそうな目で見つめる。
「僕は自由に旅をする事にしたんだ。また天人の街にもお邪魔する機会もあると思うから、その時によろしくね。」
決意のこもったアサトの声に、寂しそうな表情でアリルが答える。
「絶対に私を見つけてね!」
その言葉を残してアリルはその場を、立ち去っていく。
もう一度振り返り、器用に空中を綺麗に一回転して手を振り仲間達の元へ飛び去った。
「それじゃ、俺も病み上がりだが…しばらくしたら出発する。こうしている間にもバベルの暴走がどうなってるか気になる。」
俺は歩ける事を確認すると、アサトに問い掛ける。
「シエルに挨拶がしたいのだが何処にいるか知っているか?」
「シエルは…昨日の夜から何処にいるか分からないんだ…。」
まだ色々と引きずっているのか。
「でも言伝を頼んであるからシエルは大丈夫だと思う。」
自信満々にアサトは答えた。
「そうか…。」
「僕も会いづらい部分もあるから、シエルには悪けど当ても無くここを出ようと思います。」
出発準備を整えて俺とアサトは建物の外へと出た。
「生きている限りまた何処かで会うかもしれない…お互いそれまで生きていようぜ。」
俺は手を前に差し出す。
アサトはオドオドとしながら、手の汗を服で拭き手を握り返してくる。
「その時はまたお世話して下さい。」
俺達はお互いの明日を見据えて、反対の方向へと歩みだしたのだった。
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