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蔵のなかで
25.
しおりを挟む(どういうことなの?)
たしか。
のちに栄える新選組も、はじめの頃はひどい貧乏だったときく。
新選組の沖田総司が『この程度の刀しか持てない』と言っている時期といえば、その貧乏だった時期しかありえないではないか。
(つまり、私は今・・・)
「文久三年」
冬乃は呟いていた。
「・・・?」
沖田が冬乃の呟きに視線を寄こしたとき、
「あ、芹沢さんだ」
不意に藤堂が、向こうを歩んでくる数人を見つけて、声をあげた。
「あーあ、手になんか抱えてるよ。またどっかから強奪してきたのかな」
(あの人が芹沢様・・)
沖田が自分を観察しているのも知らず。冬乃は、ぼんやりと藤堂の視線の先を追った。
組の筆頭局長である芹沢が暗殺されるのは文久三年、九月十六日。
つまり、
今はそれ以前。
(私がいま居る時期は、)
新選組、創生期・・・・
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