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1 全てを殺すための力
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街が燃えて、家が崩れる。
「フルードだぁ!フルードがきてるぞ!」
「どうして魔王軍の四天王がこんなところに!?」
「逃げろぉぉ殺されるぞぉー!」
そう言いながら逃げ惑う村の人々の声を聞きながら俺は自分の家の子供部屋の隅で小さい身体をぶるぶる震えながら幼なじみのセレーネと手をつないでいた。
バタン!とドアが開けられ父親が入ってくる!その手にはおおきくて岩のような青い大剣が握られていた。
「早く出ろ!!逃げるぞ!ここももう危ない!」
「.......」
俺は怖くて声が出せない。その場から1歩も動けない。
「エルリック!行こう!ここにいたら死んじゃう!!」
不意に呼ばれた自分の名前に思わず顔をあげる。セレーネにそう言われ、震える足を無理やり動かし俺たちは逃げ出した。
しかし、家を出たすぐ先にやつがいたのだ。
「.....運が悪かったな、人間」
フルードはニヤリと笑いながらこちらにゆっくりと近ずいてくる。
「.....セレーネ。エルリックを、頼む」
父は振り返らずに、セレーネにそう言った。その言葉からセレーネも父の意図がわかったらしく彼女も表情を固くしながら返す。
「はい。この命に変えても、エルリックは私が守ります」
「無駄だな。どうせ全員私が殺す。逃げられると、思うなぁっ!」
フルードはそう言いながら父と同じくらいの大きく、血のように赤黒い大剣を振るい父に切りかかる。
父はその一撃を自らの大剣で防ぐ。そして、振り返らずに叫ぶ。
「行けぇっっ!!早く行け!!」
「エルリック、行きますよ」
セレーネは言って俺の手を引く。いつものセレーネからは想像のつかないような力強さだった。
セレーネは生まれつき魔力が桁外れに強かった。おそらく、フィジカルをあげる魔法を何個も重ねがけをして俺を引っ張っているんだ。
俺は引きずられるようにセレーネに連れられていく。
「ま、待って!離して、離せっ!父さん!父さん!!」
俺は必死に抵抗するが、振り解けない。それどころかセレーネの移動速度はどんどん早くなっていく。
「いいか、エルリック!」
不意に父の大きな声が耳に届く。
「力は自分のためではなく、他の誰かのために使え!」
父がこちらを一瞬みて、こう言う。
「力に溺れるな、本当の強さとは――」
ザクッッッッ!!!
父が言葉をいい切る前に、フルードによって父の首は切り落とされた。俺の目の前は真っ暗になる。
フルードはそんな俺にこう言い放つ。
「いいか坊主、覚えておけ!本当の強さとはこの世の全てを破壊する力のことだっ!全ての生物を殺す、そのための強さだ!」
「フルードォォォォ!!!!」
俺は奴の名前を叫びセレーネの手を振りほどく。
「ちょ、ちょっと、エルリック!!」
「いつか必ず、お前を殺してやるよ!強くなって、力を手に入れて、お前を殺してやるっっ!」
声を裏返らせながら俺はそう言う。フルードは笑いながら小馬鹿にするように俺を見てきた。
「いいだろう、お前は生かしておいてやる。その方が面白そうだ」
そこから先のことは覚えていない。セレーネに運ばれ、なんとか逃げられたようだが、村は全焼した。
そこから先は、ただ強くなるために努力した。
『いいか坊主、覚えておけ!本当の強さとはこの世の全てを破壊する力のことだっ!全ての生物を殺す、そのための強さだ!』
フルードに言われた、その言葉を頼りに。
「殺してやるよ.....お前のことを.....」
「フルードだぁ!フルードがきてるぞ!」
「どうして魔王軍の四天王がこんなところに!?」
「逃げろぉぉ殺されるぞぉー!」
そう言いながら逃げ惑う村の人々の声を聞きながら俺は自分の家の子供部屋の隅で小さい身体をぶるぶる震えながら幼なじみのセレーネと手をつないでいた。
バタン!とドアが開けられ父親が入ってくる!その手にはおおきくて岩のような青い大剣が握られていた。
「早く出ろ!!逃げるぞ!ここももう危ない!」
「.......」
俺は怖くて声が出せない。その場から1歩も動けない。
「エルリック!行こう!ここにいたら死んじゃう!!」
不意に呼ばれた自分の名前に思わず顔をあげる。セレーネにそう言われ、震える足を無理やり動かし俺たちは逃げ出した。
しかし、家を出たすぐ先にやつがいたのだ。
「.....運が悪かったな、人間」
フルードはニヤリと笑いながらこちらにゆっくりと近ずいてくる。
「.....セレーネ。エルリックを、頼む」
父は振り返らずに、セレーネにそう言った。その言葉からセレーネも父の意図がわかったらしく彼女も表情を固くしながら返す。
「はい。この命に変えても、エルリックは私が守ります」
「無駄だな。どうせ全員私が殺す。逃げられると、思うなぁっ!」
フルードはそう言いながら父と同じくらいの大きく、血のように赤黒い大剣を振るい父に切りかかる。
父はその一撃を自らの大剣で防ぐ。そして、振り返らずに叫ぶ。
「行けぇっっ!!早く行け!!」
「エルリック、行きますよ」
セレーネは言って俺の手を引く。いつものセレーネからは想像のつかないような力強さだった。
セレーネは生まれつき魔力が桁外れに強かった。おそらく、フィジカルをあげる魔法を何個も重ねがけをして俺を引っ張っているんだ。
俺は引きずられるようにセレーネに連れられていく。
「ま、待って!離して、離せっ!父さん!父さん!!」
俺は必死に抵抗するが、振り解けない。それどころかセレーネの移動速度はどんどん早くなっていく。
「いいか、エルリック!」
不意に父の大きな声が耳に届く。
「力は自分のためではなく、他の誰かのために使え!」
父がこちらを一瞬みて、こう言う。
「力に溺れるな、本当の強さとは――」
ザクッッッッ!!!
父が言葉をいい切る前に、フルードによって父の首は切り落とされた。俺の目の前は真っ暗になる。
フルードはそんな俺にこう言い放つ。
「いいか坊主、覚えておけ!本当の強さとはこの世の全てを破壊する力のことだっ!全ての生物を殺す、そのための強さだ!」
「フルードォォォォ!!!!」
俺は奴の名前を叫びセレーネの手を振りほどく。
「ちょ、ちょっと、エルリック!!」
「いつか必ず、お前を殺してやるよ!強くなって、力を手に入れて、お前を殺してやるっっ!」
声を裏返らせながら俺はそう言う。フルードは笑いながら小馬鹿にするように俺を見てきた。
「いいだろう、お前は生かしておいてやる。その方が面白そうだ」
そこから先のことは覚えていない。セレーネに運ばれ、なんとか逃げられたようだが、村は全焼した。
そこから先は、ただ強くなるために努力した。
『いいか坊主、覚えておけ!本当の強さとはこの世の全てを破壊する力のことだっ!全ての生物を殺す、そのための強さだ!』
フルードに言われた、その言葉を頼りに。
「殺してやるよ.....お前のことを.....」
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