14 / 30
第二章 クロノス
14 選択
しおりを挟む
ここはポーション専門店〈みんなのポーション屋さん〉。
豊富な種類のポーションが棚に置かれており、店内は狭いがオシャレに装飾されていた。
その店内の小さな机で、三人の少年少年が紅茶と高級そうなお菓子に舌鼓をうっていた。
「そっかー。てっきり二人までフェンガーリに惚れちゃって、俺から離れていくのかと思っちゃったよ」
赤髪で童顔の少年、アーリスはお菓子を頬張りながら安心した顔をしている。
「そんなわけないでしょ。言ったじゃん。ずっとそばにいるって」
エルミスは呆れたようにアーリスを見ながら、紅茶を上品に飲む。
(アーリスが入れてくれた紅茶だ~!
幸せ~!)
そんな中、未だに気まずそうな少女が一人。
「ご、ごめんね。アフロディーティ、やっぱりなんか怒ってる?」
アフロディーティが慌てて首を振る。
「いや!違うんだが……」
アフロディーティがオロオロと目が泳がせる。
「アフロディーティはアーリスに嫌われてないか心配なんだよ。ねー」
エルミスがニヤニヤ笑いながらアフロディーティの頬をつっつく。
「ッ~~!」
アフロディーティは顔を真っ赤にしながら俯いていまう。
「俺がアフロディーティを嫌いになるなんてありえないよ!それより、君こそガッカリしたんじゃない?昔、最強の剣士になるって言ってた俺がこんなポーション屋さんを開いてて」
アーリスはそう言って悲しそうに笑う。
「そんなことはない!アーリスがどんな道を選んでも、私はずっとついて行くと心に決めている」
アフロディーティにそう言われたアーリスはホッとした顔をして紅茶を飲む。
庶民のはずのアーリスだが、上品に紅茶を飲むアーリスは、まるでどこかの王族のようだった。
エルミスとアフロディーティはアーリスのことを瞬きせずにジーっとその様子を見ていた。
(……アーリス、本当に庶民?なんか私の行ったことがある貴族のパーティにいる人達より、なんというか、地位の高い人って感じがするんだよな~)
(紅茶を飲んでいるだけでこれほどの破壊力……。僕は一生を添い遂げる人を別に見た目で選んだつもりはなかったのだが。フェンガーリも顔だけはなかなかだったが、彼を見た後だと、霞んでしまうな)
「どうしたの?なんか変だった?」
アーリスはそんな二人の様子に不思議そうに首を傾げる。
「なあ、アーリス」
アフロディーティはゆっくりとアーリスに近づき、体を密着させる。
「え、え?!」
アーリスは目をぐるぐるさせながら動揺する。
「僕はエルミスと違って仕事などない。一日中君と一緒にいることが――ではなく、常に君を守り続けることができる。君に損はさせない。常に君の利益を考えて、そのサポートをしよう。だから僕を君のそばに置いてはくれないだろうか」
「アフロディーティ、あんた……!」
エルミスもアーリスに体を密着させて、上目遣いにアーリス見つめる。
「ねぇ、確かに私は一日中アーリスと一緒にはいられない。でも、私には君を一生養えるだけの経済力と君を満足させられる程の家事能力がある!だから私を選んでくれない?君のしたいこと、やりたいことをなんでも手伝うし、その……させてあげるから!」
「べ、べ、別に、そんなに自己アピールしなくてもここに住みたいなら全然二人とも住んでいいよ!狭いけど部屋は二つあるから自由に使って!俺はここで寝るから」
アーリスは見当違いなことを言いながら、いつもと違う雰囲気の二人をなだめる。
二人は一瞬キョトンとして、しばらくして肩を震わせる。
「ど、どうしたの?」
アーリス恐る恐る二人に質問する。
「「そういう意味じゃない!!!」」
顔を真っ赤にしたしたりにアーリス怒鳴られる。
「ご、ごめん!じゃあ、どういういみだったの?」
「もういい。あ、ここには住まわせて貰うからよろしく頼む」
「私も」
二人ともかなり機嫌が悪そうな顔をしている。
「よ、よろしくね」
アーリス苦笑いをしながらそういう。
「さすがに俺もそこまで鈍くないよ……」
誰にも聞こえない声で、ボソッとアーリスはつぶやく。
「なんだい?聞こえなかったんだが」
アフロディーティの耳には少し届いてしまったようだ。
「……なんでもないよ!さあ、二人の部屋を案内するよ」
そう言って、アーリスは二人を部屋に案内した。
豊富な種類のポーションが棚に置かれており、店内は狭いがオシャレに装飾されていた。
その店内の小さな机で、三人の少年少年が紅茶と高級そうなお菓子に舌鼓をうっていた。
「そっかー。てっきり二人までフェンガーリに惚れちゃって、俺から離れていくのかと思っちゃったよ」
赤髪で童顔の少年、アーリスはお菓子を頬張りながら安心した顔をしている。
「そんなわけないでしょ。言ったじゃん。ずっとそばにいるって」
エルミスは呆れたようにアーリスを見ながら、紅茶を上品に飲む。
(アーリスが入れてくれた紅茶だ~!
幸せ~!)
そんな中、未だに気まずそうな少女が一人。
「ご、ごめんね。アフロディーティ、やっぱりなんか怒ってる?」
アフロディーティが慌てて首を振る。
「いや!違うんだが……」
アフロディーティがオロオロと目が泳がせる。
「アフロディーティはアーリスに嫌われてないか心配なんだよ。ねー」
エルミスがニヤニヤ笑いながらアフロディーティの頬をつっつく。
「ッ~~!」
アフロディーティは顔を真っ赤にしながら俯いていまう。
「俺がアフロディーティを嫌いになるなんてありえないよ!それより、君こそガッカリしたんじゃない?昔、最強の剣士になるって言ってた俺がこんなポーション屋さんを開いてて」
アーリスはそう言って悲しそうに笑う。
「そんなことはない!アーリスがどんな道を選んでも、私はずっとついて行くと心に決めている」
アフロディーティにそう言われたアーリスはホッとした顔をして紅茶を飲む。
庶民のはずのアーリスだが、上品に紅茶を飲むアーリスは、まるでどこかの王族のようだった。
エルミスとアフロディーティはアーリスのことを瞬きせずにジーっとその様子を見ていた。
(……アーリス、本当に庶民?なんか私の行ったことがある貴族のパーティにいる人達より、なんというか、地位の高い人って感じがするんだよな~)
(紅茶を飲んでいるだけでこれほどの破壊力……。僕は一生を添い遂げる人を別に見た目で選んだつもりはなかったのだが。フェンガーリも顔だけはなかなかだったが、彼を見た後だと、霞んでしまうな)
「どうしたの?なんか変だった?」
アーリスはそんな二人の様子に不思議そうに首を傾げる。
「なあ、アーリス」
アフロディーティはゆっくりとアーリスに近づき、体を密着させる。
「え、え?!」
アーリスは目をぐるぐるさせながら動揺する。
「僕はエルミスと違って仕事などない。一日中君と一緒にいることが――ではなく、常に君を守り続けることができる。君に損はさせない。常に君の利益を考えて、そのサポートをしよう。だから僕を君のそばに置いてはくれないだろうか」
「アフロディーティ、あんた……!」
エルミスもアーリスに体を密着させて、上目遣いにアーリス見つめる。
「ねぇ、確かに私は一日中アーリスと一緒にはいられない。でも、私には君を一生養えるだけの経済力と君を満足させられる程の家事能力がある!だから私を選んでくれない?君のしたいこと、やりたいことをなんでも手伝うし、その……させてあげるから!」
「べ、べ、別に、そんなに自己アピールしなくてもここに住みたいなら全然二人とも住んでいいよ!狭いけど部屋は二つあるから自由に使って!俺はここで寝るから」
アーリスは見当違いなことを言いながら、いつもと違う雰囲気の二人をなだめる。
二人は一瞬キョトンとして、しばらくして肩を震わせる。
「ど、どうしたの?」
アーリス恐る恐る二人に質問する。
「「そういう意味じゃない!!!」」
顔を真っ赤にしたしたりにアーリス怒鳴られる。
「ご、ごめん!じゃあ、どういういみだったの?」
「もういい。あ、ここには住まわせて貰うからよろしく頼む」
「私も」
二人ともかなり機嫌が悪そうな顔をしている。
「よ、よろしくね」
アーリス苦笑いをしながらそういう。
「さすがに俺もそこまで鈍くないよ……」
誰にも聞こえない声で、ボソッとアーリスはつぶやく。
「なんだい?聞こえなかったんだが」
アフロディーティの耳には少し届いてしまったようだ。
「……なんでもないよ!さあ、二人の部屋を案内するよ」
そう言って、アーリスは二人を部屋に案内した。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。
【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。
夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。
幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』
電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。
龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。
そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。
盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。
当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。
今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。
ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。
ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ
「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」
全員の目と口が弧を描いたのが見えた。
一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。
作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌()
15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる