最強美少女達に愛されている無能サポーター 〜周りの人から馬鹿にされ続けてもう嫌なのパーティメンバーの天才たちが離してくれない〜

妄想屋さん

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「ああ、お荷物のアルフだ」

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 俺、アルフの所属するパーティは現在Sランクでこの国ではぶっちぎりでナンバーワンの実力を持っている。

 元々は幼なじみと四人で組んだパーティだが俺以外のみんなは次々と才能を開花させていき、あっという間にSランクに昇格した。

 一方、俺はと言うと戦闘系以外ならそこそこ何でもこなせるが、剣術も体術もダメダメ、魔法を使おうにも魔力がそもそもない、とことん戦闘系の才能に恵まれなかった。

 そんな俺のパーティメンバーだが、先日なんと!異世界から召喚された勇者様の編成パーティに勇者様直々のご指名で俺以外のパーティメンバー全員が選ばれたのだ!

 騎士さんからそれを伝えられた時の喜びは今でも忘れられない。

「すごいじゃないか、みんな!あの勇者様からのご指名だぞ!?今夜は腕によりをかけてとっておきのごちそうを作らなきゃな」

「アルフが喜んでくれて僕も嬉しいよ!」

 白髪のショートヘアに赤い目をした魔術士、ミリスは嬉しそうにこちらを見てくる。

「ええ、アルフさん、最近元気が無い様でしたから安心しました」

 黄緑色のロングヘアで弓使いのハーフエルフの少女、シスタも嬉しそうに微笑んでいる。

「ま、当然よね」

 赤髪のセミロングの少女、剣士のグレイアは冷めた様子で髪をいじっている。

 あ、でもみんなが選ばれたってことは俺一人になるじゃん。これからどうしよっかなー。
 いや、今はみんなを祝うことを優先させよう。後のことはなるようになる!

「まあ、申し出はありがたいけど、お断りするよ」

 ミリスが騎士さんと話す声が聞こえてくる。

「おめでと――お断り!?」

 ミリスから発せられた言葉に俺と、兵士さんは耳を疑う。

「こ、断るだと!?」

 兵隊は口をあんぐりと開けている。

「ちょっと待って!ど、どういうこと!?」

 俺はミリスの肩をブンブン揺さぶる。

「わああああ!どういうことって、どういうこと!?――って!アルフ、顔、近い……」

 ミリスは顔を赤くしながら俺から目をそらす。
 しまった。同様しすぎて取り乱してしまった。
 
「まさかアルフさん、私達が勇者パーティの方へ行くとでも思ったんですか?」

 シスタがこちらを見てクスクスと笑う。
 いや、思うだろ。勇者パーティ一択だろ!

「何も出来ない無能で役立たずなあんたがアタシ達なしでやって行けるわけないでしょ!……だから、その、ずっと一緒にいてあげるわよ」

 グレイアに言われた言葉を聞いて衝撃が走った。
 俺のせいだ……!
 俺がみんなの足枷になっている。
 それから後のことはぼんやりとしか覚えていない。

✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿

side ミリス

「はぁ」

 またアルフがため息をついてる。
 僕、ミリスは最近あまり元気がなさそうなアルフが心配だ。

「ね、ねぇ。アルフ、いつも言ってるけど何かを悩み事があるなら相談乗るよ?」

「そ、そうですよ。私たちで良ければ、いつでもお話を聞きますよ?」

 僕と一緒にシスタもアルフの話を聞こうとする。
 グレイアは、一見興味がなさそうにしているが、心配そうにチラチラとアルフの方を見ている。

「大丈夫だよ。心配させてごめんな。そんなことより――」

 アルフは苦しそうに笑いながら、話をそらそうとしてしまう。

 今のアルフを見ているのが辛いよ。君の悩みを教えてくれたら、僕は……いや、僕達はなんでも、君のためにしてあげるのに。

 そんな中、一人の騎士が、僕たちのギルドハウスを訪ねてきた。

「おめでとう!ミリス殿、グレイア殿、シスタ殿!君たち三人は、栄えある勇者様のパーティのメンバーとして選ばれた!しかも、勇者様からのご指名だ」

 ふ~ん。また勇者が召喚されたのか。
 選ばれたのは三人だけか。まあ、アルフがいないパーティなんて興味ないや。
 あ、でも誰か勇者パーティに移ってくれたらその分ライバルが減るんだけど……。

 あ、ダメだ。みんなの顔を見るに、僕と同じこと考えてる。

「すごいじゃないか、みんな!あの勇者様からのご指名だぞ!?今夜は腕によりをかけてとっておきのごちそうを作らなきゃな」

 久しぶりにアルフの明るい声を聞いて、僕たち三人は勢いよくアルフの方をみる。

 ア、アルフが嬉しそうにしてる……!
 可愛い!!
 まずい、口が緩んでる!
 こんな顔アフルに見せられないよ!
 あ、でもみんな顔が緩みきってる。
 もういいや。今のアフルの顔をこの目に焼き付けよう。

「アルフが喜んでくれて僕も嬉しいよ!」

「ええ、アルフさん、最近元気が無い様でしたから安心しました」

「ま、当然よね」

 理由はよく分からないけど、アルフが喜んでいる姿を見られたのはラッキーだったな。

「まあ、申し出はありがたいけど、お断りするよ」

 僕は騎士さんに向かってにこやかにそう言う。

「おめでと――お断り!?」

 するとアルフが口をあんぐりと空けて叫び声を上げる。
 いや、そりゃ断るでしょ。そんなに驚く?

「こ、断るだと!?」

 騎士さんも口をあんぐりと開けててそう叫ぶ。

「ちょっと待って!ど、どういうこと!?」

 アルフは僕の肩をブンブン揺さぶる。

「わああああ!どういうことって、どういうこと!?――って!アルフ、顔、近い……」

 アルフの顔が目の前に……。
 かっこいいー!!近くで見ると尚いいよ!
 あれ、気まずそうに離れていく……。
 ああ、行かないで!……行っちゃった。
 
「まさかアルフさん、私達が勇者パーティの方へ行くとでも思ったんですか?」

 シスタがアルフを見てクスクスと笑う。
 ポイントを稼ごうとしないでよ!このあざとエルフ!
 
「何も出来ない無能で役立たずなあんたがアタシ達なしでやって行けるわけないでしょ!……だから、その、ずっと一緒にいてあげるわよ」

 あ、グレイアはいつも通りだ。ってそれくらいじゃアルフは気づかないよ。
 グレイアが素直になれないうちはまだ僕の敵じゃないかな。

 あれ?アルフが外に出て行こうとしてる。またすごく暗い顔をしてるな。

「ア、アルフ。どこかお出かけ?」

 僕は恐る恐るアルフに尋ねる。

「ちょっとね」

「ついて行ってもいい?」

「……ごめん」

 アルフはそう言うと、外に出て言ってしまう。

「アルフさん。何かを思い詰めた顔をしていましたね」

 シスタは心配そうに僕に話しかけてくる。

「うん。でも、こっちが何かを聞いても、心配させてごめんって言われるだけだし、今はそっとしておこう」

 悔しいけど、今はそれしか出来ない。
 いつか僕たちにアルフが心を開いて暮れるといいんだけど。

「それより!断るとはどういう意味だ!あの勇者パーティのお誘いだったんだぞ!それなのに――」

 あー。まだいたんだ騎士さん。今それどころじゃないんだけどな。

 僕がやんわりと出ていけよと促そうとしたその時。

「うるさいわね!アルフがせっかく元気になったのにまた一瞬で元に戻っちゃったじゃない!多分アンタのせいよね。今ここで真っ二つにしてあげるわよ」

「ひ、ひい!」

 騎士さんは涙目になりながら慌てて出ていく。可哀想に、グレイアの八つ当たりに巻き込まれちゃって。あれ、もしかして追いかけようとしてる!?
 それはさすがにまずいかな。あの騎士さんじゃ逃げきれないよね。
 僕は杖をグレイアに向けて囁く。

「スリープ」

 グレイアはその場に倒れ込むようにして眠った。
 全く。グレイアはすぐ、を暴走させちゃうんだから。



✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿



 何となく、みんなのいるところに戻りたくなくて、俺は夜道を歩いていた。

「おい、あいつ……」
 
「ああ、お荷物のアルフだ」

「アイツのせいで勇者パーティにミリスちゃん達行けなかったってよ」

「あの噂本当なのか?迷惑しかかけてないじゃないか。あいつ」

 どこに行ってもみんなが俺を見てこういうのだ。
 俺のせいだと。
 いや、事実だから何も言い返せないんだけどね。
 でも、もう限界かもしれない。

「もう……疲れたわ」

 自分の中で今まであった何かが消えていくのを感じた。

✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
 
 俺は自分たちのギルドハウスの前まで着く。

 何も言わずに飛び出してきてしまったので入るのが少し気まずい。
 俺は覚悟を決めて扉を開ける。

「ッ!おかえりなさい。帰ってきてくれたんだね」

 ギルドハウスの中からミリスが飛び出してくる。

「う、うん。だだいま」

「あら、帰ってきて来たのね。どこかで死んでるのかと思ったわ」

 グレイアが冷たい目をこちらを睨んでくる。

「ちょっとグレイアさん!」

「うるさいわね!……こっちだって言いたくて言ってる訳じゃないわよ」

 シスタに怒られたグレイアは、ゴニョゴニョと何かを言っている。

「さて、ご飯にしよう!今日はアルフが好きなハンバーグだよ!」

 普段は俺が作っているのだが、今日は俺がいなかったからミリスが作ってくれたのだろう。

 
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