おにぎりレシピ

帽子屋

文字の大きさ
14 / 74

不安な世界

しおりを挟む
――引き続き4月。都内某会社内。

潜入捜査初日、つまり社会人初日をすんなりと迎えられないどころか、あわや緊急事態を発動しそうになり、なんとかそれを耐えたはずの僕だったが不安は募る一方だった。
会社は開いてないし、変な人間はやってくるし、ようやく出会えた意思疎通の出来る人間梅先氏からは、どうやら同じグループで仕事をする人間なんだろうけど、会う前からあまり良くない人宣言、つまり厄介な人! として紹介された紫野という人。なにこの会社。変な人間しかいないの? あれ? そう言えば、何か忘れているような……。
「あのっ」
僕は大切なことを忘れていることに気付いた。まさか……。
「ん?」
「その、あまり良くないと仰られた紫野さんと言う方は……男性ですよね?」
「うん。おとこ。」
よし。姫じゃない。そう僕は、姫を探しに来てるんです。もう色々あったから大切なものをこぼれ落とすところでした。厄介な方、紫野さんは、男。そこは大丈夫。でも、そうすると姫は……どこに?
「ほかにその、同じグループで女性の方は……」
「残念ながらうちのグループに女性はいないよ。うちのグループって言うか……」
??? 女性がいらっしゃらない?
「ええ!?」
僕は思わず声を上げていた。だって……。
「そんなに驚いた? ウチみたいな小さなシステム会社じゃありがちかなって思うけど。うちのグループも、さっきの八武さんがいる三戸(みと)さんのとこにもいない。うちの会社、ほとんど男ばっかりだよ。女性は総務に1人と、あと別のグループで外でオペレーターをやってる人たちぐらいかなあ。社内でエンジニアの女性って鳴海さんだけだよ」
僕、だけ? 僕だけ女性? ちょっと待って梅先氏。僕はですね、姫を探しにやってきたんですよ。遠いところから。僕は呆然とした。これって、緊急事態? 今度こそ緊急事態では?!
「……鳴海さん。大丈夫?」
気付けば、梅先氏が僕の顔をのぞきこんでいた。
「え……ええっと……ええ?」
落ち着かなきゃ。僕は動揺をなんとか押さえ込もうとして失敗したような声を出していた。総務には女性がいらっしゃるんでしたっけ? じゃ姫は総務なのかな? ちょっと待って。外でオペレーターってなんだろう?
「総務の方は女性……?」
「そう。面接に来たとき会ってないかな? 茶山さんが受付してくれたと思うんだけど」
お会いしましたとも! その切はお世話になりました。とっても優しそうなおばあさんでした。
え? でも、姫じゃないですよね?

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

皆に優しい幸崎さんは、今日も「じゃない方」の私に優しい

99
ライト文芸
奥手で引っ込み思案な新入社員 × 教育係のエリート社員 佐倉美和(23)は、新入社員研修時に元読者モデルの同期・橘さくらと比較され、「じゃない方の佐倉」という不名誉なあだ名をつけられてしまい、以来人付き合いが消極的になってしまっている。 そんな彼女の教育係で営業部のエリート・幸崎優吾(28)は「皆に平等に優しい人格者」としてもっぱらな評判。 美和にも当然優しく接してくれているのだが、「それが逆に申し訳なくて辛い」と思ってしまう。 ある日、美和は学生時代からの友人で同期の城山雪の誘いでデパートのコスメ売り場に出かけ、美容部員の手によって別人のように変身する。 少しだけ自分に自信を持てたことで、美和と幸崎との間で、新しい関係が始まろうとしていた・・・ 素敵な表紙はミカスケ様のフリーイラストをお借りしています。 http://misoko.net/ 他サイト様でも投稿しています。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...