ところで小説家になりたいんだがどうしたらいい?

帽子屋

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人生全ての時間を費やして小説を書いているわけじゃないだろう?
いったいどうやって世の中の小説家たちは書く時間を捻出してるんだろう……。


 慌ててキッチンへかけていき、朝の片付けからの、お菓子作り、晩飯の準備、合間に洗濯乾燥機せんかん大和ヤマト――ヤマトとは鳩作が共にに立ち向かうになってくれと想いを込めて洗濯乾燥機に付けた名前である――に向かい昨夜洗って乾かした洗濯物のチェックをする。乾燥機は時々生乾きで仕上がることがあるので、その場合、再度乾燥させるか、部屋干しに移行するか勘案しなければならない。生乾きでドラム内に放置することほど恐ろしいことはないと鳩作は思っている。

マメに排気フィルター掃除しないと、すぐ生乾きっぽくなるんだよ。あと、排水フィルターの掃除もしっかりしないと脱水が甘くなって生乾きを助長するだろ。乾燥の仕上がりを期待して生乾きだったときのショックってないよな。がんばれヤマト。お前がいなけりゃ俺は戦えないんだぞ。

 家電に対するひとかたならぬ主夫心を胸にその場を離れると撮影場所と時間、持ち物の再確認を行い出発の準備をしておく。もちろん温かい飲み物を水筒に入れるのも、この季節、ブランケット等防寒用具も忘れない。冷蔵庫の中のあまり物でトマトリゾットを作りながら、部屋に掃除機をかけておき、テーブルの上は、晩飯がすぐに食べられるようセットしておく。
 出来上がったリゾットは恐ろしく熱そうだったので、自家製のヨーグルトを入れて猫舌対策を行ったところ、お。なんか、おしゃれななんちゃってボルシチみたいなリゾットじゃないか。と思いつつ出来る限りの速さで食べた。時計はもう小学校へ向かえとせっついている。
 朝のおかしなスイッチ(本人的には熱き思いスイッチ)がONしたおかげで、昼飯の片付けまで手が回らなくなったので食べ終えた食器をシンクで軽く水ですすいで置くまでに留めて、火の元、電気消灯を指差し確認すると荷物を抱えて家を後にした。
 迎えに行った小学校で担任やら行き交う先生たちに挨拶すると、鷲治良を伴って足早に駅に向かい電車に乗った。



「どうした?」
「うん。今日の宿題、今、やっちゃおうと思って」

 電車で隅の空いた席に座った鷲治良はランドセルを開けてタブレットを取り出した。

ああそう。えらいね。お前は。

 ラッシュでもみくちゃになっていた頃からのクセか、運動不足解消のためかそれとも両方か。なんとなく電車では立っていることの多い鳩作は、吊り輪に手首を通して首を斜めにぼんやりと出来る息子を眺めていた。

はたとモジャ頭が直立した。

移動中?! そうか! 俺も今書けばいいのか!
なるほど! そういうことか! 世の中の小説家の皆さん! 移動時間の有効活用ですね!

鳩作はポケットからくたびれたストラップのついたガラケーを取り出した。

これだ!

スマホに比べたら何も出来ないに等しいガラケーお前かもしれないが、文字をしたためることはお前にだって出来るんだ!

はたから見たら時代を感じる風景である。
子どもはタブレットでそつなく作業をこなし、その向かいに立つモジャ頭の大人はガラケーに向かって必死の形相で小刻みに指を動かしている。時代というより若干の悲哀すら感じる風景である。
向かいに座る老夫婦は「時代だね」「そうね。時代ね」といいながらそれぞれスマホを取り出すと、電車が駅に停車するたび、街に現れるモンスターを孫のためにとハンティングを繰り返していた。
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