21 / 111
何をするにも道具から
叩きます!
しおりを挟む
明日が俺の成人の儀式、という段階になって鉈が完成した。
【劣化鉄の鉈-】この劣化がなかなか取れない。
親方の話だとスキルを上げていくと純度が上がっていくらしい。現状でも純度が徐々に上がっていて、そろそろマイナスが取れそうだ。
そして、例のアーツについて残念なお知らせだ。
親方の『ランク1鍛造』は、鍛冶の行程全てを盛り込んでいたが、俺が使えたのは叩く行程のみ。
そしてそのアーツを使う時に叫ばないといけないという残念さ。
みんなにも見せてあげよう。
「毎回これを言うのか…」
「まぁ、早くなるんですから良いと思いますよ?恥ずかしさを耐えれば」
「やるか…。『ランク1鍛造:叩きます』おらぁ!」
赤熱したインゴットが一打でナイフに変わった。
だけど、『叩きます』って何だよ!せめて『叩く』じゃないのか?
運営どうなってるんだ?えぇ?
とりあえずログアウトしたら報告とクレーム投げておこう。さすがにずっと言うのは恥ずかしいわ。
「『叩きます』『叩きます』『叩きます』『叩きます』」
「ハッチさん。煩いから止めてもらえます?」
涙が出そう。
インベントリに大量のナイフをぶち込んで、アルデンさんのところにお邪魔している。
「今回はたくさん持ってきたねぇ。こっちも弟子が増えたから助かるんだけどね」
何度も予備で渡していたナイフも、弟子が増えてから不足気味になっていた。
俺だけじゃなく、ぶち猫さんも搬入していたが、なかなかストック出来なかった。今回の搬入で多少は余裕が出来るだろう。
ちなみに、武具のナイフとはレシピが違うみたいで、個別に必要となっている。
「ハッチ君もかなり慣れてきたね。そろそろスキルレベルも5位になったかな?」
「ピッタリ5です。やっぱりわかりますかね?」
「そりゃあ弟子をとるくらいだからね。まぁ、ほとんどドワーフ以外なんだけどね」
アルデンさんのところには、ポックル族の人達が多くきている。雑貨屋と武具にも来ているが、アルデンさんの人柄と…イケメンに釣られたんだろうな。
後ろから蒸し暑い視線がギラギラと刺さってくる。
(やっぱり最高だわ。)
(長身で爽やか。)
(さらに優しくて仕事も出来て完璧!)
(ここがユートピアよ。)
ちなみに彼女達は、エルフ達の集落に入ろうとして追い出された実績がある。それから、1年間出禁の呪いを受けたのでこちらにやってきた。
そんな彼女達だが、かなり優秀な木工士に成長している。
アルデンさんの指先の動き1つ見逃さない集中力、それをイメージして模倣する能力、全ての感覚を総動員してアルデンさんを脳に焼き付ける力。
ここまで来ると尊敬しちゃうよね。
俺が最初に教えてもらったということで『アルデンふぁんくらぶ』の木札をいただいた。
使い道のない木札は、今のところ屋根裏部屋の肥やしになっている。
むしろ使うことが無いことを祈っている。
「それで、鉈も出来たからアーツの試しに大量生産してみました」
「良いんじゃ無いかな。ただ、やっぱり性能落ちるからね」
アルデンさんが柄を取り付けたナイフを眺めながら難しい顔をしている。
「明日成人だったよね?」
「そうですよ」
「それなら、その後に売れば良いか」
「ん?どういうことですか?」
「あぁ、明日になればわかるよ。今は言えないとだけ」
(アルデン様の秘密!)
(鼻血出そう)
(耐えるのよ!)
(あなたはヨダレ出てるわよ!)
「ふぅ。明日を楽しみにしておきます」
「そうすると良いよ」
俺は耐え切ったぞ。
木工工房から出てくると、謎の達成感と汗が出てくる。
下手なことを言うと、怖い視線が四方八方から飛んで来る。今では木工工房に入る前に、1度気合いを入れないと足が進まなくなってしまった。
「魔窟になってしまったな。恐ろしや」
雑貨屋に戻ると、見慣れた光景で安心する。
3陣が来てからリリーさんも裁縫を教えてて忙しそうにしている。その甲斐《かい》もあって、雑貨屋の棚に靴下が並んだ。
【くず鉄の劣化ナイフ】【くず鉄の劣化ツルハシ】【毛糸のミトン-】
ぶち猫さんの制作過程を見ると、そろそろ手斧とトンカチも並べられそうなので、充実するまであと少し。
今では見慣れた鍛冶の様子だが、人が増えて賑やかになってきたな。
「鉱山行ってこーい」
「「「「「ドワ活行ってきまーす」」」」」
後輩達を見送り中に入る。
「戻ったか。さっそくだが、武具工房から替えのトンカチを頼まれた」
「いくつですか?」
「20本。弟子用に劣化で良いらしい。今日中に納品だ」
「実家に帰らせていただきます」
「阿呆が!ハーフドワーフもここが実家だろうに!インゴットはあるから早くやれ」
その日、工房から奇怪な叫び声が鳴り響いていた。
「はぁ、『叩きます』『叩きます』『叩きます』『叩きます』『叩きます』運営に苦情入れてやる」
【劣化鉄の鉈-】この劣化がなかなか取れない。
親方の話だとスキルを上げていくと純度が上がっていくらしい。現状でも純度が徐々に上がっていて、そろそろマイナスが取れそうだ。
そして、例のアーツについて残念なお知らせだ。
親方の『ランク1鍛造』は、鍛冶の行程全てを盛り込んでいたが、俺が使えたのは叩く行程のみ。
そしてそのアーツを使う時に叫ばないといけないという残念さ。
みんなにも見せてあげよう。
「毎回これを言うのか…」
「まぁ、早くなるんですから良いと思いますよ?恥ずかしさを耐えれば」
「やるか…。『ランク1鍛造:叩きます』おらぁ!」
赤熱したインゴットが一打でナイフに変わった。
だけど、『叩きます』って何だよ!せめて『叩く』じゃないのか?
運営どうなってるんだ?えぇ?
とりあえずログアウトしたら報告とクレーム投げておこう。さすがにずっと言うのは恥ずかしいわ。
「『叩きます』『叩きます』『叩きます』『叩きます』」
「ハッチさん。煩いから止めてもらえます?」
涙が出そう。
インベントリに大量のナイフをぶち込んで、アルデンさんのところにお邪魔している。
「今回はたくさん持ってきたねぇ。こっちも弟子が増えたから助かるんだけどね」
何度も予備で渡していたナイフも、弟子が増えてから不足気味になっていた。
俺だけじゃなく、ぶち猫さんも搬入していたが、なかなかストック出来なかった。今回の搬入で多少は余裕が出来るだろう。
ちなみに、武具のナイフとはレシピが違うみたいで、個別に必要となっている。
「ハッチ君もかなり慣れてきたね。そろそろスキルレベルも5位になったかな?」
「ピッタリ5です。やっぱりわかりますかね?」
「そりゃあ弟子をとるくらいだからね。まぁ、ほとんどドワーフ以外なんだけどね」
アルデンさんのところには、ポックル族の人達が多くきている。雑貨屋と武具にも来ているが、アルデンさんの人柄と…イケメンに釣られたんだろうな。
後ろから蒸し暑い視線がギラギラと刺さってくる。
(やっぱり最高だわ。)
(長身で爽やか。)
(さらに優しくて仕事も出来て完璧!)
(ここがユートピアよ。)
ちなみに彼女達は、エルフ達の集落に入ろうとして追い出された実績がある。それから、1年間出禁の呪いを受けたのでこちらにやってきた。
そんな彼女達だが、かなり優秀な木工士に成長している。
アルデンさんの指先の動き1つ見逃さない集中力、それをイメージして模倣する能力、全ての感覚を総動員してアルデンさんを脳に焼き付ける力。
ここまで来ると尊敬しちゃうよね。
俺が最初に教えてもらったということで『アルデンふぁんくらぶ』の木札をいただいた。
使い道のない木札は、今のところ屋根裏部屋の肥やしになっている。
むしろ使うことが無いことを祈っている。
「それで、鉈も出来たからアーツの試しに大量生産してみました」
「良いんじゃ無いかな。ただ、やっぱり性能落ちるからね」
アルデンさんが柄を取り付けたナイフを眺めながら難しい顔をしている。
「明日成人だったよね?」
「そうですよ」
「それなら、その後に売れば良いか」
「ん?どういうことですか?」
「あぁ、明日になればわかるよ。今は言えないとだけ」
(アルデン様の秘密!)
(鼻血出そう)
(耐えるのよ!)
(あなたはヨダレ出てるわよ!)
「ふぅ。明日を楽しみにしておきます」
「そうすると良いよ」
俺は耐え切ったぞ。
木工工房から出てくると、謎の達成感と汗が出てくる。
下手なことを言うと、怖い視線が四方八方から飛んで来る。今では木工工房に入る前に、1度気合いを入れないと足が進まなくなってしまった。
「魔窟になってしまったな。恐ろしや」
雑貨屋に戻ると、見慣れた光景で安心する。
3陣が来てからリリーさんも裁縫を教えてて忙しそうにしている。その甲斐《かい》もあって、雑貨屋の棚に靴下が並んだ。
【くず鉄の劣化ナイフ】【くず鉄の劣化ツルハシ】【毛糸のミトン-】
ぶち猫さんの制作過程を見ると、そろそろ手斧とトンカチも並べられそうなので、充実するまであと少し。
今では見慣れた鍛冶の様子だが、人が増えて賑やかになってきたな。
「鉱山行ってこーい」
「「「「「ドワ活行ってきまーす」」」」」
後輩達を見送り中に入る。
「戻ったか。さっそくだが、武具工房から替えのトンカチを頼まれた」
「いくつですか?」
「20本。弟子用に劣化で良いらしい。今日中に納品だ」
「実家に帰らせていただきます」
「阿呆が!ハーフドワーフもここが実家だろうに!インゴットはあるから早くやれ」
その日、工房から奇怪な叫び声が鳴り響いていた。
「はぁ、『叩きます』『叩きます』『叩きます』『叩きます』『叩きます』運営に苦情入れてやる」
1
あなたにおすすめの小説
ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー
びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。
理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。
今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。
ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』
計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る!
この物語はフィクションです。
※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。
【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~
Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。
それでも、組織の理不尽には勝てなかった。
——そして、使い潰されて死んだ。
目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。
強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、
因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。
武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。
だが、邪魔する上司も腐った組織もない。
今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。
石炭と化学による国力強化。
情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。
準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。
これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、
「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、
滅びの未来を書き換えようとする建国譚。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました
まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。
その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。
理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。
……笑えない。
人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。
だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!?
気づけば――
記憶喪失の魔王の娘
迫害された獣人一家
古代魔法を使うエルフの美少女
天然ドジな女神
理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ
などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕!
ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに……
魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。
「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」
これは、追放された“地味なおっさん”が、
異種族たちとスローライフしながら、
世界を救ってしまう(予定)のお話である。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
【完結】異世界先生 〜異世界で死んだ和風皇子は日本で先生となり平和へと導きます〜
雪村
ファンタジー
ある日カムイ王都の皇子、シンリンは宮殿に入った賊によって殺されてしまう。しかし彼が次に目覚めたのは故郷である国ではなく機械化が進んでいる国『日本』だった。初めて見る物体に胸を躍らせながらも人が全く居ないことに気付くシンリン。
そんな時、あたりに悲鳴が響き渡り黒く体を染められたような人間が人を襲おうとしていた。そこに登場したのは『討伐アカデミーA部隊』と名乗る3人。
しかし黒い人間を倒す3人は1体だけ取り逃してしまう。そんな3人をカバーするようにシンリンは持っていた刀で黒い人間を討伐して見せた。
シンリンの力を見た3人は自分達が所属する『討伐アカデミー』の本拠地へと強制的に連行する。わけのわからないシンリンだったが、アカデミーで言われた言葉は意外なものだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる