ネオ・アース・テラフォーミング〜MRMMOで釣り好きドワーフの生産奮闘記〜

コアラ太

文字の大きさ
20 / 111
何をするにも道具から

第3陣

しおりを挟む
 重量制限パンパンまで鉄鉱石を入れると笑みが溢れるね。
 テッケンさんに取引出して良かった。
 ウキウキで雑貨屋に戻ると多くの人が居た。

「ぶち猫さんが3陣来るって言ってたっけ。どうせ武器屋に行くでしょ。通りまーす。」

 人混みをかき分け中に入っていくと、中も人でごった返していた。

「うわ。今回は特にすごいな。」

 外も合わせると50人くらい居そうだよ。

「ハッチさんお帰りなさい。こっち!」

 パッと見わからなかったけど、カウンター奥にいるみたい。
 ぶち猫さんまで近づいて聞いてみる。

「今回もすごいね。あと知らない種族もいるみたいだけど?」
「私達より少し小さいのがポックルですよ。あと多いのは…」

 なんか言いづらそう。

「言いたく無いなら、別に言わなくても良いけど?」
「そうじゃなくて、みんな親方とリリーさん目当てなんです」
「ん?弟子入りってこと?」
「はい。昨日の配信で呼び寄せちゃったみたいです」

 昨日のことを思い出しても、ポッキリ折った記憶しかない。
 思い出しただけでも歯軋りしそうだ。

「失敗しか思い出せん」
「思い出さなくて良いですよ。それより鍛冶やるのでは?」
「そうだった!じゃあね!」

 今日は多めにあるから、早めに手をつけないとな。
 スキルを変更して鍛冶仕様にする。
『鍛冶+』『熱耐性』『打耐性』『自然回復』『器用』
 欲を言えば『力』も入れたかったけれど、仕方ないよな。

 インゴット6本分だから、頼まれ品が失敗しなかったら工具もアップデート出来そうかな?
 インゴットは問題ない。
 ナイフも慣れてきたし、時間かけて作れば良い。
【解体ナイフ-(柄無し)】
 十分な出来だな。

 柄は後で作るとして、次はペグ。
 インゴットを4分割するために、火入れして柔らかくすると目印が出てきた。

「これって分割の場所?ここを叩けば良いのかな?」

 鉄杭を打ち付けていくと3回叩いただけで割れてしまった。

「えぇ!?こんな早いの?」

 他のところも目印が出て、すぐに終わった。
 ペグの形を整えるのも早く出来、ペグだけなら10分も掛かってないかもしれない。

「これはスキルの影響か?そういえばLV10超えてたっけ。」
「生産系スキルはLV10になってようやくスタート地点だ。」

 声の方を向くと親方がゾロゾロ人を連れている。

「こいつらは新しい弟子だ!」
「親方。投げたりしないですよね?」
「んなことやるかよ!」
「それでLV10でスタートというのは?」
「急に話戻しやがる。LV10になると、ようやくマイナス補正が無くなるんだ。今まで下手になる呪いが掛かってたんだよ。」

 マジかよ。
 どうりで作りづらいわけだ。

(おい。LV10って言ってたぞ)
(トップ戦闘職でもLV9が最高だったはず)
(LV10アナウンスってもしかして生産系?)
(ハーフドワーフ当たりだったかもしれないな。)
(これが親方TIPsか)

「えぇ?ハッチさんLV10持ってたんですか?」
「あ、ごめん。言うの忘れてた」
「そんなさらっと」

 俺たちの会話を遮る様に親方が説明を続ける。

「ちなみにLV9から10になる為の必要経験はかなり増える。」

 9以降が長かったから、それはなんとなくわかってた。

「それとアーツが使えるようになる。」
「なにそれ?」
「一番簡単なのを見せてやる。一個貰うぞ。」

 俺のインゴットを受け取ると、炉の前でハンマーを振り上げる。

「見てろよ。『ランク1鍛造《たんぞう》』」

 親方の手が光るとハンマーを一度だけ振り下ろす。
 ゆっくりと退けたハンマーの下には、完成品のナイフの刃があった。
 俺も含めて全員が呆けている。

「これがアーツの鍛造だ。アーツを使うと手作りより劣化してしまう。鋳造《ちゅうぞう》もあるが、鋳型《いがた》を作る技術がまだ足りてないのと、更に劣化してしまうのが難点だ。」
「すげー。俺も出来るんですか?」
「出来るが、今も劣化なのに更に性能落とすのか?」
「ぐっ。それは困る。」
「まぁ、そのペグ位ならやっても良いかもしれないな。そうだな、後で劣化鉄鉱石をインゴットにしてみろ。」

 それを言うと、親方はまた新弟子の案内を始めた。

「やってみたいが、新しい道具が先か。」

【くず鉄の劣化トンカチ-】→【劣化鉄のトンカチ-】
【くず鉄の劣化ツルハシ】→【劣化鉄のツルハシ-】
【銅の劣化手斧】→【劣化鉄の手斧-】
 これで良いな。
 あと、親方が言ってた劣化鉄鉱石やってみるか。
 最近取ってなかったから2回分しか無いな。

 バケツに突っ込んで溶かす。
 あとは型に流し込んで入れるだけだが、数字が出てきた。8?減ってきてる。5、4これってタイミングか?2、1、0ここだ!そのまま型へ流し込む。
 赤熱する液体の色がいつもより綺麗。
【劣化鉄のインゴット-】

「ウソだろ!?せっかく1層でがんばったのに!劣化鉄鉱石じゃこんなん出なかったのにー!?」

 なんとなくわかった。
 難易度が高いと補正かからなくなるの奴だ。
 俺のスキルが上がればいずれ出来るようになりそう。
 だけど悔しいな。
 数日前にLV10なってたから、ずっと無駄に1層で潜ってたんだろ?

「くそぉぉぉぉ!」

「今日からあれが日常なので、早めに慣れてください。」

 ぶち猫さんの声が聞こえたような気がする。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。 Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。 最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!? ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。 はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切) 1話約1000文字です 01章――バトル無し・下準備回 02章――冒険の始まり・死に続ける 03章――『超越者』・騎士の国へ 04章――森の守護獣・イベント参加 05章――ダンジョン・未知との遭遇 06章──仙人の街・帝国の進撃 07章──強さを求めて・錬金の王 08章──魔族の侵略・魔王との邂逅 09章──匠天の証明・眠る機械龍 10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女 11章──アンヤク・封じられし人形 12章──獣人の都・蔓延る闘争 13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者 14章──天の集い・北の果て 15章──刀の王様・眠れる妖精 16章──腕輪祭り・悪鬼騒動 17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕 18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王 19章──剋服の試練・ギルド問題 20章──五州騒動・迷宮イベント 21章──VS戦乙女・就職活動 22章──休日開放・家族冒険 23章──千■万■・■■の主(予定) タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

モブは転生ヒロインを許さない

成行任世
恋愛
死亡ルートを辿った攻略対象者の妹(モブ)が転生ヒロインを断罪します。 .

処理中です...