ネオ・アース・テラフォーミング〜MRMMOで釣り好きドワーフの生産奮闘記〜

コアラ太

文字の大きさ
40 / 111
ボロ竿だろうが釣竿に変わりなし

ポンコツ竿

しおりを挟む
 竹林から戻った翌日。

 ついにこの時がやってきた。
 収納カバンから竹を取り出して眺める。

 綺麗な緑の竹。
【竹】
 竹か……。
 何の竹だ?

「もう作ってるか?」

「オトシンさん! ちょうど作ろうかと思ったんですけど……見てください」

「竹か」

「そうです。竹なんです」

「どか問題あるか?」

「いや、だから【竹】なんですって!」

 このままだと無駄な話が長くなりそうなので、詳しく説明する。
 表記が【竹】しかなく、何の竹かわからない。作成するだけなら問題ないが、種類を特定したほうが、後々作成するときにレシピを残しやすいんだ。
 道具の柄を作る時も、どの木にするか選んでいる。まぁ、技術が低いから杉一択なんだけどね。

「俺も竹は詳しくないけど、孟宗竹《もうそうちく》とか麻竹《まちく》ってありますよね?」

 これは俺がメンマが好きで調べたので覚えている。

「聞いたことはあるな」

「その竹ごとに特徴があると思うので、それを知りたいわけです」

「面倒臭いこと考えるなぁ。そのまま作っちゃダメなのか?」

 別に作っても良いけど……。
 いや、一度作ってからアルデンさんに見てもらった方が良いか。

「そうですね。一度作りましょうか」

 俺の身長だと短いから、オトシンさんに合わせるか。
 オトシンさんの身長と同じ長さに切り落として、その部分を研磨する。
 形はそれっぽくなったけど、表記も【竹】のままだ。これからどうするか。

「ガイド(輪っか)を付けないのか?」

「それも悩みどころですね。オトシンさんは、ガイドが必要なほど長い糸を作れますか?」

「作れないな……」

「まずはそこなんですけど、糸があったとして、竹竿なら竿の中を通すやり方もあったと思うんです」

「中通し竿だな」

 針が作れるようになれば輪っかも出来るけど、今は作れる技術がない。
 中通しは、確か重くなるんだっけ。
 使ったことは無いんだよね。
 そこで気づいたのが、どうやって穴を開けるか。節部分に穴を開ける必要があるけど、そんなに長い穴あけ機は持ってない。

「どっちも、今は出来ませんね。とりあえず先端に糸を付けてみましょう」

 オトシンさんが作ったタコ糸を結びつけると、表記が変わった。
【ポンコツ竹竿--】

「これで何が釣れるんだ?」

「ハッチ。もう一本作って試しに行こう」

「そうですね。まだ竹はありますし」

 ポンコツ竹竿をもう一本作って、村の中心を流れる小川へ行く。
 そこには小魚がチョロチョロ動く影が見える。それを眺めつつ、2人で川辺を陣取り、骨針に餌をつける。

「アタシがバッタな」

「俺はパンですね」

 投げる程の距離も無く、ただ垂らしている表現のほうが合っているか。
 それでも、久しぶりの釣りが楽しい。
 水面を眺めつつ釣りをしていると会話が弾む。

「オトシンさんは、最近どこかに釣り行きました?」

「いんや。仕事と『ネテラ』ばっかりだな」

「俺も似たようなもんですね」

「そういえば、ウチの会社が『ネテラ』の許可降りたって言ってたぞ」

 まさか!
 思わず立ってしまった。

「オトシンさんの会社って、確か釣具の『TOUNO』でしたよね!」

「そうだな。ついでに『SHOUWA』も許可降りたらしいぞ」

「まさかそっちまで進出してくるとは……。釣竿作ってくれるんじゃ?」

「確かに作成部門は作られるけど、技術はアタシ達の方が相当先にいるぞ」

 企業進出でもゼロスタートなのかよ!
 やっぱり自分で作るしか無いのか。

「おそらくだけど、日本地区で最初の竿がこいつだ」

 くそぉ。
 これが最先端なのか!
 このポンコツが!
 ポンコツ……。

「オトシンさんの竿。揺れてませんか?」

「え? 本当だ! 結構引くぞ!」

「釣れるぞ! 慎重に慎重に!」

「わかって……あぁ!」

 ふっ。と糸がたるみ、かかった獲物が逃げたとわかってしまった。

「お前がうるせえからだ!」

「いやいや! 今のは関係ないでしょ!」

「そんなことは……。お前のも揺れてないか?」

「え?」

 穂先がピクピクと小刻みに揺れている。
 来た!

「おおおおおおちちついて」

「落ち着け! ゆーっくりだ」

「そうですね。ふぅ」

 ふっ。

「ああああああ」

「残念だったな!」

 次こそは釣ってやる。
 小川で騒ぐ者達2人。
 横を通りかかる者達が、目を逸らすようにしている気がする。
 それから3時間粘り続け、ようやく俺たちは成果を手に入れた!

「やりましたね。オトシンさん!」

「どんなもんよ! 今度はハッチだな」

 さらに2時間粘り、次の成果を上げることができた。

「やったじゃねーか!」

「ふふふ。これでお互いイーブンですね。っと、そろそろ戻りましょうか」

 空が暗くなり始めたので、すぐに戻らないとリリーさんのご飯に間に合わなくなる。
 雑貨屋に駆け込むように入ると、ぶち猫さんが納品したところに出会した。

「2人で木工やってたんですか?」

「いいや! 釣りに行ったんだ!」

 ポンコツ竿を見せながら自慢する。
 オトシンさんも自慢げに腕組み。

「おぉ! とうとう釣竿が! それで、何か釣れました?」

「もちろんさぁ! 見てくれ!」

 俺とオトシンさんの釣果を取り出す。

「えっと。それだけ?」

「ぶち! よく見ろよ! すごいだろ?」

「え? ただのザリガニが1匹ずつ?」

 俺たちの釣果がただの……だと?

「あぁ。ごめんなさい! 悪く言うつもりじゃなかったんです。魚ですら……あ」

「今。魚ですらって言ったよね? 言ったよね?」

「いいえ? 聞き間違えでは?」

 我ら2人の敗北か。
 そこでオトシンさんが立ち上がった。

「ぶち! 今回は魚が考える時間を与えてくれたんだ!」

 ぶち猫さんは首を傾げるばかり。
 オトシンさん。素直に負けを認めよう。
 そして、木工工房へ向かうのだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

【完結】異世界先生 〜異世界で死んだ和風皇子は日本で先生となり平和へと導きます〜

雪村
ファンタジー
ある日カムイ王都の皇子、シンリンは宮殿に入った賊によって殺されてしまう。しかし彼が次に目覚めたのは故郷である国ではなく機械化が進んでいる国『日本』だった。初めて見る物体に胸を躍らせながらも人が全く居ないことに気付くシンリン。 そんな時、あたりに悲鳴が響き渡り黒く体を染められたような人間が人を襲おうとしていた。そこに登場したのは『討伐アカデミーA部隊』と名乗る3人。 しかし黒い人間を倒す3人は1体だけ取り逃してしまう。そんな3人をカバーするようにシンリンは持っていた刀で黒い人間を討伐して見せた。 シンリンの力を見た3人は自分達が所属する『討伐アカデミー』の本拠地へと強制的に連行する。わけのわからないシンリンだったが、アカデミーで言われた言葉は意外なものだった……。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

処理中です...