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2章 不老者、浮浪者になりました。
第15話 閑話 ケープ村人族対策会議1
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遭難当日
「さて、各族長は集まったな?」
「「「「はい」」」」
「これより、第1回人族対策会議を行う。進行は村長である私がやろう」
「記録は、タヌキ族のポンゴが行います」
「猫族の捕らえた人族だが、共通語は通じず、精霊語のみ反応があった。まだ知らぬフリをしている可能性もあるが、なんらかの災害に巻き込まれ、外の大陸から転移も考えられる」
会議室内がザワつく……。
「静かに、まだ続きがある。その理由として、この大陸で使用されている精霊語とは発音が異なっていたり、普段使いの言葉を理解出来ていなかったのだ。加えて、小精霊が見えることも確認出来た」
「もしや精霊使い様なのか」
「短耳が出来た試しは無いはずっす」
「見えるだけってことは無いのかにゃ」
「それこそ、使える才能があるってことじゃろ。毛無しの癖に」
村長が柏手を打つ。パンパン!
「今話した内容は、今後調べていく。今回の話は、今の対応を話そう。彼を開放するのか……。保護するのか」
「開放はありえん! やつが仲間を呼んでくるかもしれないだろう」ウサギ族
「では、保護するのか? 村に入れるまでは信用出来ないんじゃが」ヤギ族
「うちらは良いにゃよ? あの人族から敵意は感じなかったにゃ」猫族
そこから結論が出るまで何時間もかかった。
ヤギ族とウサギ族は、街で人族から差別されていたこともあり、特に拒絶が強かった。ただ精霊が見える人を、何の被害も無しに殺すことは出来なかった。
「では、あの人族は村の外で監視付きで過ごしてもらうとしよう。良いな?」
「「「「「はい」」」」」
「熊族のベアを私の共にして、時折色んな言語で話しかけさせるように。言語が混じれば、いくらスパイでも反応はあるはずだ」
「伝えておく、奴ならばうまく対応するだろう」
1年後
「これより第2回人族対策会議を行う。担当は前回と同様にな」
「私の聞いたことは逐次伝えてあるので省く。それぞれの印象やわかったことを教えてくれ」
「まずはかかわりの多い熊族から。ベアの話だと共通語での反応は、わかってないようだ。グルマン語には少し反応し始めている。これは最近教え始めたためだろう。友好的でも差別的でも無いように見える。街で暮らしていれば、必ず反応してしまう。ベアが見逃すなら他に見切れるやついないだろうがな。以上だ」
「次は監視班の猫族とウサギ族から」
「ウサギ族が監視しても大丈夫だったのか? 殺気が出たらバレるだろう」
「選別はしっかりやったにゃ。ウサギ族の担当は街に居なかった若者を選んだにゃ。それで、奴の生態にゃんだが、普通の人族とは考えない方が良いにゃ」
「どういうことだ?」
「まず、体力と脚力が異常にあるにゃ。森の植物にも詳しく、毒耐性があることもわかったにゃ」
「暗殺者の類では無いのか!?」
「それは無さそうだ。ウサギ族が保証しよう。我らが城で見てきたどの暗殺者とも空気感が違う。奴は気配断ちはうまいが、どうしようも無く阿呆なのだ。魔狼に近づいて野菜で餌付けしようとしていたぞ」
そこかしこから「ありえない」と言う声が上がり、一時騒然とした。
「本当にゃ。ワチが直接見ていたにゃ。戦うこともせず、石じゃなく土を投げてたにゃははは」
「監視班は以上だ」
「次はタヌキ族ですね。あの人はちょくちょく村の外でウチの店を利用しています。これは許可を得てやっています」
膨れ掛けていた怒りがおさまる。
「続けます。最近商店の品揃えが増えているのはご存知でしょうか?」
「ああ。山菜と魚が増えたよな」
「あとハチミツもだ!」
「あの人族が持ってきました。ウチの商店と物々交換をしています。先ほど声に上がった物がほとんどですが、一番大事なのは、我々でもほとんど見つけられない薬草を持ってきます。たまにですけどね。代わりに金属を使わない商品、加工した木箱や生活用品を渡しています。ただの取引相手といった様子ですが、悪意は感じていません。時折ニンニークという野菜は無いかと聞かれます。以上です」
「狐族っす。うちらもニンニークは聞いたっす。何でもかなり強い臭いがある野菜だとか。球根部分が食用で、食べると元気になるようっす」
「強い臭いってー言うと、山に生えてるあれじゃないかにゃ?」
「あれは毒草だろ。昔食った奴が口の中腹した上に、腹抱えて数日寝込んだろ」
「じゃあ違うにゃ」
「狐族が続けるっす。あいつは手先が器用っす。小狐たちが川で絡んでたら、人数分の釣竿をパパっと作ってしまったんす。以上っす」
「ヤギ族はかかわっておらん。ゆえに何とも言えん。だが、タヌキ商店に並んだ薬草は見た。あれは、薬を作る奴じゃないとわからんはずだ。機会があれば薬関係も聞いてみるが良かろう。以上」
「良し。あれも森を荒らさず共存している。監視班はこれより観察班に名称を変更する。危険度は下げても良いだろう。ただし、油断はしないように。出来るようなら、村外で各自の積極的な接触を許可する」
あの人間の気配は同族と言うより、昔見たハイエルフに近いような……。
「さて、各族長は集まったな?」
「「「「はい」」」」
「これより、第1回人族対策会議を行う。進行は村長である私がやろう」
「記録は、タヌキ族のポンゴが行います」
「猫族の捕らえた人族だが、共通語は通じず、精霊語のみ反応があった。まだ知らぬフリをしている可能性もあるが、なんらかの災害に巻き込まれ、外の大陸から転移も考えられる」
会議室内がザワつく……。
「静かに、まだ続きがある。その理由として、この大陸で使用されている精霊語とは発音が異なっていたり、普段使いの言葉を理解出来ていなかったのだ。加えて、小精霊が見えることも確認出来た」
「もしや精霊使い様なのか」
「短耳が出来た試しは無いはずっす」
「見えるだけってことは無いのかにゃ」
「それこそ、使える才能があるってことじゃろ。毛無しの癖に」
村長が柏手を打つ。パンパン!
「今話した内容は、今後調べていく。今回の話は、今の対応を話そう。彼を開放するのか……。保護するのか」
「開放はありえん! やつが仲間を呼んでくるかもしれないだろう」ウサギ族
「では、保護するのか? 村に入れるまでは信用出来ないんじゃが」ヤギ族
「うちらは良いにゃよ? あの人族から敵意は感じなかったにゃ」猫族
そこから結論が出るまで何時間もかかった。
ヤギ族とウサギ族は、街で人族から差別されていたこともあり、特に拒絶が強かった。ただ精霊が見える人を、何の被害も無しに殺すことは出来なかった。
「では、あの人族は村の外で監視付きで過ごしてもらうとしよう。良いな?」
「「「「「はい」」」」」
「熊族のベアを私の共にして、時折色んな言語で話しかけさせるように。言語が混じれば、いくらスパイでも反応はあるはずだ」
「伝えておく、奴ならばうまく対応するだろう」
1年後
「これより第2回人族対策会議を行う。担当は前回と同様にな」
「私の聞いたことは逐次伝えてあるので省く。それぞれの印象やわかったことを教えてくれ」
「まずはかかわりの多い熊族から。ベアの話だと共通語での反応は、わかってないようだ。グルマン語には少し反応し始めている。これは最近教え始めたためだろう。友好的でも差別的でも無いように見える。街で暮らしていれば、必ず反応してしまう。ベアが見逃すなら他に見切れるやついないだろうがな。以上だ」
「次は監視班の猫族とウサギ族から」
「ウサギ族が監視しても大丈夫だったのか? 殺気が出たらバレるだろう」
「選別はしっかりやったにゃ。ウサギ族の担当は街に居なかった若者を選んだにゃ。それで、奴の生態にゃんだが、普通の人族とは考えない方が良いにゃ」
「どういうことだ?」
「まず、体力と脚力が異常にあるにゃ。森の植物にも詳しく、毒耐性があることもわかったにゃ」
「暗殺者の類では無いのか!?」
「それは無さそうだ。ウサギ族が保証しよう。我らが城で見てきたどの暗殺者とも空気感が違う。奴は気配断ちはうまいが、どうしようも無く阿呆なのだ。魔狼に近づいて野菜で餌付けしようとしていたぞ」
そこかしこから「ありえない」と言う声が上がり、一時騒然とした。
「本当にゃ。ワチが直接見ていたにゃ。戦うこともせず、石じゃなく土を投げてたにゃははは」
「監視班は以上だ」
「次はタヌキ族ですね。あの人はちょくちょく村の外でウチの店を利用しています。これは許可を得てやっています」
膨れ掛けていた怒りがおさまる。
「続けます。最近商店の品揃えが増えているのはご存知でしょうか?」
「ああ。山菜と魚が増えたよな」
「あとハチミツもだ!」
「あの人族が持ってきました。ウチの商店と物々交換をしています。先ほど声に上がった物がほとんどですが、一番大事なのは、我々でもほとんど見つけられない薬草を持ってきます。たまにですけどね。代わりに金属を使わない商品、加工した木箱や生活用品を渡しています。ただの取引相手といった様子ですが、悪意は感じていません。時折ニンニークという野菜は無いかと聞かれます。以上です」
「狐族っす。うちらもニンニークは聞いたっす。何でもかなり強い臭いがある野菜だとか。球根部分が食用で、食べると元気になるようっす」
「強い臭いってー言うと、山に生えてるあれじゃないかにゃ?」
「あれは毒草だろ。昔食った奴が口の中腹した上に、腹抱えて数日寝込んだろ」
「じゃあ違うにゃ」
「狐族が続けるっす。あいつは手先が器用っす。小狐たちが川で絡んでたら、人数分の釣竿をパパっと作ってしまったんす。以上っす」
「ヤギ族はかかわっておらん。ゆえに何とも言えん。だが、タヌキ商店に並んだ薬草は見た。あれは、薬を作る奴じゃないとわからんはずだ。機会があれば薬関係も聞いてみるが良かろう。以上」
「良し。あれも森を荒らさず共存している。監視班はこれより観察班に名称を変更する。危険度は下げても良いだろう。ただし、油断はしないように。出来るようなら、村外で各自の積極的な接触を許可する」
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