サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太

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2章 不老者、浮浪者になりました。

第29話 マーガレットの歴史授業

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 昨夜は大変な目にあった。
 朝食前に畑の様子を見と、エリンさんに貰った種が生えてる。もう20cmくらいか? 気力を込めたおかげか育ちが良い。ヨシヨシ、また気力を込めておこう。大きく育てよー。
 ニンニクも収穫いけるな。次は気力を少なめにしないと、繁殖力が落ちるか。それでも1ヶ月で育つだろう。

 朝食を食べようとするとメサが降りてくる。こいつの飯を忘れてた。
 食ったら解体所でネズミを貰っておこう。
 さらさらと朝食をすませ、メサと解体所へ向かう。

「朝早くにすみません。魔ネズミの依頼してた者ですが……」
「おう。いらっしゃい! 良い時間だよ。朝に場所があくのは助かるからな。だが、鮮度なら夜がいいぜ」
 そういって魔ネズミを6体くれた。

「あれ? 3体じゃないんですか?」
「それな。どうも依頼受けた奴が重複したらしくてな。余分に置いてったんだ。今回は特別な」
「ありがとうございます。今日は持って帰れそうなので、報酬は2回分払いますよ」
「助かるよ。こんなの持ってくる奴は金無いからな」
「そうだ。余分に渡しておくので、一度に2回分までは大丈夫です。ただ毎回だと困るので……」

 しっかりと受けとった数を確認している。

「わかった。良い塩梅でやっとくよ」
「あと5日程延長したいんですけど、受付ですか?」
「そのくらいならココで出来るぜ。ギルド証出しな」

 渡したギルド証を見るとニヤリと笑う。

「へぇ。お前が『草取り』か」

 たまに言われるけど何だ?

「知らないのか? 討伐せず草ばっか取ってくるから『草取り』って言われてるぜ」

 ほほぉ。そういう意味だったのか。確かに得意だもんな。

「気にして無いようだな。下級の探索者からは馬鹿にされてるが、依頼人からは評判いいぜ。何せ品質が高いからな。だが、討伐はしないのか? 実入りはいいぜ」
「たまに聞かれるんですけど、必要が無いからですね。でも、魔物の生態は気になっています」
「そういうタイプか。こっちは仕事が増えて良いんだがね。必要があればやってくれるんだろ? そん時は持ってきな」
「わかりました。今日の夜に明日分も取りに来ます」
「あいよー。俺はマーカス。よろしく!」

 気前の良さそうな人だった。

 小屋へ戻ると、教会の前でシスターと小柄な女性が話していた。

「ノールさんおかえりなさい。先生いらっしゃいましたよ」
「あなたですね。お館様から伺っていますよ」

 メガネをクイっと上げながら唐突に話しかけられた。

「先生ですね? 人族の探索者ノールです。よろしくお願いします」
「失礼、挨拶を忘れていました。あなたを教えるように派遣されました。リリパット族のマーガレットです。さっそく授業と行きたい所ですが、シスターから話もありました。子供も一緒に受けたいそうですね?」
「はい。マーガレット先生がよろしければですが」
「私が教えるように頼まれた内容は、教会の子に教えるには向かない物もあるので、曜日ごとに受けて良い日を決めましょうか」
「それで良ければ、というか曜日ですか?」

 そういえば曜日なんて気にしたこともなかったな。季節も大体。年だけ教えてもらった感じだ。

「そこからですか。最初の1週間は合同で、ごく一般的なところからにしましょう」
「お願いします」

 先にシスターと話して、教会に泊まり込みで教えてくれることになっていた。
 それなりに質素だと思うが問題無いらしい。さっきのお館様から結構な額の喜捨《きしゃ》があって、半年は肉がしっかり食えるとか。だからシスターがニコニコなのか。


 帰宅中にネズミを半分食べ終えたメサには、ニンニクの収穫を頼んでおく。
 終わったら他の畑の水やりね。

「では皆さん始めましょう。最初は日付と年、曜日などから」

 俺には羊皮紙を渡して書き取るように言い、子供達には黒板を後日渡すらしい。
 授業内容を綴っておこう。
 まず、この世界は1年360日。30日1ヶ月の合計12ヶ月。
 1週間は7日で区切られ、日ごとに曜日とそれぞれ名付けられている。
 闇火水無風土光。光の次が闇の日になる。
 なんか聞いたことあるような・・。覚えやすから良いかな?

 年について
 現在は大地歴2104年。この大地歴0年が現在の世界の始まりとされている。
 前に1500年とかケープ村長言ってなかったか? あの人も謎だな。
 王国歴は290年で合っていた。他の国ではまた変わってくるので、その国の説明の時に話してくれるらしい。

 この国の名前は『スーメルグ王国』。この国の建国王がスーメルグ・ハルトという名前が使用された形だ。
 このハルト王は、田舎村の生まれだが、勇者というクラスを得て虐げられた人々を救っていったらしい。本人曰く、異なる世界の生まれ変わりと言ってたらしい。厨二病も王様なら許されるんだろうな。神の使いとして行動していたらしい。
 悪しき王と貴族を倒し、新しき王となって新しい政策を打ち立てていく中の暗殺で崩御されている。
 その時、王の子供が何人も亡くなり、最後の一人をみんなで支える形で存続したと歴史に書かれている。
 現在のスーメルグ8世は当たり障りのない平凡な王と噂されている。

 この国の立地は、西側を海、南側は高い山に囲まれている。
 北にはノーザンド帝国。東にエスタ聖教国がある。
 ノーザンド帝国は、軍事国家で精強。
 エスタ聖教国は、神人教の元と言われる聖教を主教とした宗教国。
 どちらの国も500年以上前から存在しており、大陸内でも一応強国に部類される。
 この国の扱いは良き緩衝地帯。
 南の山の先には、人族以外が主要な連合国がある。ただし、たまに海路での貿易がある程度で、ほとんど交流は無い。

 この街についてだが、10数年前に領主が交代している。
 当時の領主は悪徳で、方々から恨みを買っていた。その為か、隣の2領主から攻められ、殺されてしまう。
 その後は地方男爵が代わりに領主となって、現在は低迷中だとか。
 その領主は、それなりに優秀だが、それなりな統治力でもある。
 そのおかげもあって、隣領からは攻められない為、鳴かず叩かれずと表面上は平穏。
 ただし、人族主義が大きな声をしてきたので、治安は悪化中。
 この街の南北に城塞都市があり、この周辺より濃い森と強い魔物が出没するらしい。
 西の海辺近くには、小さめの船着場と町があり、一応ここの領地扱いになっている。

 王国の話を先にしたので、大地歴について。
 世界が生まれた年が0年とされているが、文献の中には世界が生まれ変わった年と言う説もある。
 特にハイエルフやハイドワーフ、伝説の人物等が0年に世界全体の揺れを感じ生まれ変わったという。大くの生き物が死に、多くの生き物が現れた年。
 ここから先は今話せないという。

 ではその時を楽しみに待とう。
 と本日の話はここまでとなった。

 残りの時間は、畑を整備してニンニクを植えたら今日が終わってしまった。
 子供達にハチミツを渡し、メサの餌を受け取って小屋に帰る。
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