サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道

コアラ太

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2章 不老者、浮浪者になりました。

第37話 魔の修練

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 1週間後に2人の成果を見てみると、気を把握する兆《きざ》しは見えている。
 今後は瞑想を続けつつ、会った時に様子を聞けばいいだろう。
 その時、ノーリから聞いたが、孤児院にいるマーガレット先生に魔力も教えてもらえる手配をしたとか。
 今度は俺が魔力を知る番だな。

 俺が探索者活動を再開したこともあり、最近では孤児達メインで教えている。
 孤児達にとっては、午前に畑や内職などの作業。
 午後に勉強というルーティーンになっている。
 少しずつだが文字の読み書きが出来るようになってきた。
 この様子だとスラムの住民より優秀になりそうだな。

「ノールさん戻りましたね。お館様から、魔力を教えるように聞いています」

 マーガレット先生が待っていてくれていたようだ。

「せんせー。今日は何の勉強?」
「また外のお話かなー?」
「へへっ。それが聞きたいんだろー?」
「今日は魔力の勉強です。これはみんなも受けられますよ」

 先生がそう言うと、みんなワーワー騒ぎ出した。
 孤児達も魔力のことは知りたいようだ。

「では、始めましょうか」


 <魔力とは>

 この世界に漂う魔素。これを使う生物のエネルギーを指すらしい。
 電気と電力の関係に似ているかな。
 生物は何らかの方法で、その魔素を取り込み魔力に変換、もしくは体内で作り出す。
 生物と言われている者には、全て魔力が備わっている。
 小動物から木々にまであり、その量の大小でわかりづらいだけらしい。
 その為、魔物を魔力量が多い生物として言うようになった。



 <属性について>

 この魔力を持つ生物は、個体ごとに得意な属性がある。
 その属性は、曜日の闇火水無風土光である7つ。
 それに雷、氷、木、聖属性がある。
 4大元素属性に近い考え方かな?

 ただし、これだけでなく他の考え方もある。
 攻撃、防御、支援、回復と分けている流派など多様らしい。
 武道の流派と同じように、魔法にも流派があるようだ。
 元素が一番主流な為、曜日に使われているという。



 <魔法の使用方法>

 メサが使っている魔法は魔力操作。
 魔力を実際に動かして、属性へ変換後に発動。
 ほとんどの魔物がこの方法で使用している。

 次に一部の流派で使われる呪文の詠唱。
 魔法言語と呼ばれる文を魔力を込めながら詠唱することで発動。
 聖教国などで多く見られ、魔力操作が苦手でも、文さえ読めれば発動出来るのが人気である。

 最後に魔法陣。
 これは特殊で、魔力の内包された素材で描かれて陣に、魔力を込めると発動。
 魔法言語や古代文字などが読める前提で、さらに魔法陣にも詳しく無いと作ることはできない。
 魔力量が少ない人でも、陣さえ完成させれば、魔力の代わりに素材で魔法を発動させることも出来るようだ。
 魔法陣は、魔法の上位互換として魔術とも呼ばれているみたい。



 <種族による魔力量の差>

 一般的に、精霊と親和性の高い種族は、魔力量も多い傾向があると言われている。
 魔人→エルフ→ドワーフ→ホビット→人族→獣人→鱗人
 という順番だが、どの種族にも例外はある。
 個体により極端に多くなったり、ほとんど無かったりもする。



 <魔力とスキル>

 スキルを使用する時は、魔法と似て魔力を使うが面倒な手順が無く、使用量も少ない。同量の魔法と比較しても、かなり協力な技となっている。
 スキルに関しては公表しないことが一般的なので、不明な点が多い。


「大まかな説明なこんな感じですかね」
 そう言いながら、透明な玉が嵌《は》め込まれた掌サイズの金属棒を7つ出した。

「ここでみなさんの属性を見てみましょう。一定以上の魔力を込めると属性がわかるようになっています」

 その7つは曜日にある属性で、特殊属性を判別する棒は高価で持ってないそうだ。
 孤児達が順番に並んで調べ始めた。

「風と水だ!」
「わたし火と無ね」
「ぼくは闇と土だった」

 それぞれ調べていくと持ってる属性は2つか3つが多いな。
 と思っていると。

「それは得意であるというだけで、効果は弱りますが他の属性も使えますよ」

 少しでも使えるのは便利だな。
 だが、魔力がわからん。
 俺と孤児が3人程残ってしまった。

「先生。魔力がわかりません」
「あたしも!」
「わからなーい」
「おしえてー」

 俺もわからなーい。

「大丈夫。これから教えます。その前に、終わった子達はここまでなので、あとは自由時間です」
 と他の子達を解散させた後、こちらに向き直った。

「さぁ続きです」

 4人共、先生と対面になるように座る。
 そして先生が1人ずつ手を握り魔力を流していく。
 最後に俺なんだが、魔力が体に入ってこない。
 先生が顔を赤くしながら魔力を流し込もうとするが、ダメそうだな。
 何か問題があるんだろうか?

「ノールさんだけ魔力が流せませんね……。他の子達は今のでわかりましたか?」
「「「はーい」」」
「では、その魔力をゆっくり体の中を巡らせてみてくださいね。それが出来るようになったら、さっきの棒で調べられますよ」

 そう言うと棒を触りに動き出した。
 お前ら成長早すぎだろ!?
 と思ったが、まだ巡らせられてないようだ。

「最低数日は練習が必要ですからね! 空いた時間に魔力を巡らす練習です!」
「ふぅ。ではノールさんの続きです。さっきやってて思ったのですが……」

 喉に骨が引っかかったようなセリフ。
 どうやら俺に魔力を流すと、俺に触れた箇所から徐々に消えていると言う。
 そんなこと言われてもわからないよ……。

「こんな事は初めてなので、少し調べてみたいと思います。久しぶりに面白い研究が……。デュフフフ」

 ヨダレ垂らしている。ちっこいインテリ先生はどこに行った!

「はっ!? 失礼しました。そんな訳で……3日後には出発すると思います。いつ戻るかはその時にでも!」
 と言ったらそそくさと帰ってしまった。

 結局わからず仕舞いか。
 俺だけじゃ何も出来ないし、探索者生活に戻るかな。

 ———————————————

 ペトラの館

「あら、マーガレットから連絡ね。何かしら?」

 紅茶を啜りつつ手紙を読んでみる。

「ぶっ!?」

 綺麗なテーブルに霧が吹き上がった。
 というのも手紙の内容がひどい。

『前略、お館様。
 暑い日も過ぎ肌寒くなり始めましたが、ご健勝でしょうか。
 私ごとですが、本日ノール殿に魔力の教導を行ったところ、私の魔力が削れるという反応がありました。
 この事例は調べたことが無かったので、一度孤児院を離れて文献を探ってみようと思います。
 つきましては3日後に出立をする予定ですが、1年程は時間をいただきたく思います。
 追伸。
 孤児達には、属性判別までしか行っておりません。代わりの教師は魔力操作からで問題無いかと思います。』

「あの子。やっぱりダメだったわね。こうなったら何言っても変わらないし、他の人をつけるしか無いわね」

 そう零《こぼ》すと、誰が適任か考え込んでしまった。

 ———————————————

 孤児院の畑
「兄ちゃんさ。先生しばらくどっか行くんだろー?」

 ジャンが話しかけてきた。
 この子は孤児のリーダー的な男の子で13歳。

「それがどうかしたか?」
「先生がいない間だけで良いからさ、何か教えてくれよ」
「何かって言われてもなぁ……。大きくなってココを出た後は何するんだ?」
「大体は傭兵か探索者だな。あとは農業の従僕とか。でも勉強教えてもらったから、その中から街中で働ける奴が出るかもな」

 誇らしそうにしている。
 他の子もこっちを見ている。
 そう言われてもなぁ……。

「俺が教えられること……棒術でもやってみるか?」

 言ってみると、孤児達が詰め寄ってきた。

「棒術ってなんだ!?」
「武器か?」
「戦い方教えてくれんの?」
「剣とか槍じゃないの?」
「なんか弱そうに聞こえるー」

 最後の2人は棒を舐めすぎだ。

「お前らな、棒術は便利なんだよ。刃物じゃないから持って入れる場所も多いし、警戒もされにくいんだ」

 そう返すと、みんなで顔を見返す。

「「「「それ教えて!」」」」

 と言うことで空いた日に教えることになった。
 俺も孤児に魔力を教えてもらえないかなー?
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