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6話
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「歯ブラシはこれで合ってます?」
笑美は歯ブラシを作って翠に渡す。
見た物、使った物なら何でも作り出せる。
歯ブラシに似た物はこの世界にも有るが、使い馴れた物が良いだろう。
歯磨き粉はこの世界の物になってしまうが。
「有難うございます」
翠は凄いと思いながら歯ブラシを受け取る。
「私のが青で、本条さんのをピンクにしてみました」
フフっと微笑んで笑美も歯磨きしだす笑美。
コップも出したので並べて置けば、翠は頬を赤らめる。
やっぱり翠さんは可愛いなぁと、笑美は思う。
笑美が翠と出会ったのは何だかザワザワした夜の事だった。
何か嫌な雰囲気を感じ、少し警戒していた。
もし勇者だったらまた直ぐ別の次元に逃げなきゃなぁと思っていた。
笑美は魔王として頑張った。
そして疲れてしまった。
そもそも笑美は特に悪い事はしていない。人間界と魔物の住む場所を隔て、間に自分の力でバリアを張っていた。
たまに漏れてしまう魔物も居るが、そこまで抑え切れない。
その漏れた魔物を勝手に魔王が送り込んでいると勘違いし、襲って来た挙げ句、ボッコボコにされたのだ。
いくら温厚な笑美も堪忍袋の緒も切れる。
バカバカしい、人間なんてどうにでもなれ!
と、思って逃げ出して来たのだ。
それなのに現実に気づいたらしい人間が追いかけて来る。
ボッコボコにして『魔王め! 消えろ!!』と言ってきたのは向こうだ。
だから消えてやったと言うのに。
腹立たしい。
カランカランと、音を立てて入って来た人物に身構えたが、見知らぬ疲れきた人間だった。
お客様だ!
彼はブラック珈琲を頼んで来たが、外は寒かったのだろう冷え切った様子だ。
先ずホットココアでも飲んで貰って体を温めてあげよう。
そう思ってホットココアを出したら凄い形相で暴言を吐いてきた。
その顔と暴言に何故かキュンとしてしまった。
弱った猫が小さい体を毛羽立ててシャーと威嚇している様で、凄く可愛く見えたのだ。
ちゃんとブラック珈琲も出しあげる。
ムスッとした顔で飲んだ後、直ぐに店を出ていった。
もう来てくれないかな。
また来てくれたら良いなぁと思っていた。
彼はホットココアを気に入ったらしく、常連になってくれた。
初めは警戒した様子でムスッとしてホットココア飲むと直ぐ出ていってしまっていたが、次第に表情も和らぎ、ココアを飲むスピードもゆっくりになり、良く顔を見てくる様になった。
ニコリと笑顔を向けると、照れた様子で笑い返してくれる事も有る。
何となく懐かない猫が自分にだけ懐いてくれた、そんな感じがして可愛くてしかたなくなってしまった。
今日は来てくれるかな。
今日は来てくれるかな。
ってワクワクして待ってしまう様になっていた。
そろそろ奴が追いかけて来る頃だから場所を変えなければとは思うものの、他の次元ににげたら二度と翠さんには会えない。
そう思うと、いっそ奴に捕まる時に翠さんも巻き込んで一緒に帰っちゃおうかなんて思う事も有った。
それにそろそろ帰ってやっても良い気になっていたのだ。
次元に逃げるのも疲れて来た。
だが本気で巻き込んで連れて帰る気なんて無かった。
だけど結局、こうなってしまったな。
翠さんには申し訳ないが、喜んでしまっている自分がいた。
笑美は歯ブラシを作って翠に渡す。
見た物、使った物なら何でも作り出せる。
歯ブラシに似た物はこの世界にも有るが、使い馴れた物が良いだろう。
歯磨き粉はこの世界の物になってしまうが。
「有難うございます」
翠は凄いと思いながら歯ブラシを受け取る。
「私のが青で、本条さんのをピンクにしてみました」
フフっと微笑んで笑美も歯磨きしだす笑美。
コップも出したので並べて置けば、翠は頬を赤らめる。
やっぱり翠さんは可愛いなぁと、笑美は思う。
笑美が翠と出会ったのは何だかザワザワした夜の事だった。
何か嫌な雰囲気を感じ、少し警戒していた。
もし勇者だったらまた直ぐ別の次元に逃げなきゃなぁと思っていた。
笑美は魔王として頑張った。
そして疲れてしまった。
そもそも笑美は特に悪い事はしていない。人間界と魔物の住む場所を隔て、間に自分の力でバリアを張っていた。
たまに漏れてしまう魔物も居るが、そこまで抑え切れない。
その漏れた魔物を勝手に魔王が送り込んでいると勘違いし、襲って来た挙げ句、ボッコボコにされたのだ。
いくら温厚な笑美も堪忍袋の緒も切れる。
バカバカしい、人間なんてどうにでもなれ!
と、思って逃げ出して来たのだ。
それなのに現実に気づいたらしい人間が追いかけて来る。
ボッコボコにして『魔王め! 消えろ!!』と言ってきたのは向こうだ。
だから消えてやったと言うのに。
腹立たしい。
カランカランと、音を立てて入って来た人物に身構えたが、見知らぬ疲れきた人間だった。
お客様だ!
彼はブラック珈琲を頼んで来たが、外は寒かったのだろう冷え切った様子だ。
先ずホットココアでも飲んで貰って体を温めてあげよう。
そう思ってホットココアを出したら凄い形相で暴言を吐いてきた。
その顔と暴言に何故かキュンとしてしまった。
弱った猫が小さい体を毛羽立ててシャーと威嚇している様で、凄く可愛く見えたのだ。
ちゃんとブラック珈琲も出しあげる。
ムスッとした顔で飲んだ後、直ぐに店を出ていった。
もう来てくれないかな。
また来てくれたら良いなぁと思っていた。
彼はホットココアを気に入ったらしく、常連になってくれた。
初めは警戒した様子でムスッとしてホットココア飲むと直ぐ出ていってしまっていたが、次第に表情も和らぎ、ココアを飲むスピードもゆっくりになり、良く顔を見てくる様になった。
ニコリと笑顔を向けると、照れた様子で笑い返してくれる事も有る。
何となく懐かない猫が自分にだけ懐いてくれた、そんな感じがして可愛くてしかたなくなってしまった。
今日は来てくれるかな。
今日は来てくれるかな。
ってワクワクして待ってしまう様になっていた。
そろそろ奴が追いかけて来る頃だから場所を変えなければとは思うものの、他の次元ににげたら二度と翠さんには会えない。
そう思うと、いっそ奴に捕まる時に翠さんも巻き込んで一緒に帰っちゃおうかなんて思う事も有った。
それにそろそろ帰ってやっても良い気になっていたのだ。
次元に逃げるのも疲れて来た。
だが本気で巻き込んで連れて帰る気なんて無かった。
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翠さんには申し訳ないが、喜んでしまっている自分がいた。
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