(完結)魔王と従者

甘塩ます☆

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31話 ※産卵プレイ

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 朝日に目を覚ます。
 隣で眠る裏柳の髪を撫でた。
 アフターケアはした記憶が有る漆黒だが、自分も疲れて直ぐに寝てしまった様である。
 裏柳はちゃんと元の姿に戻れてた。
 ホッと胸を撫で下ろす。
 フラミンゴの裏柳も可愛かったが、やはりそのままの裏柳が一番可愛い。
「ん…… 漆黒?」 
 目を覚ました裏柳は、目を擦って漆黒を見つめる。
「おはよう」
 そう気の抜けた声で朝の挨拶をしてくれた。
「おはよう裏柳。気分はどうだ?」
 昨日も結構ガッツいてしまった漆黒。怒られないか内心ビクビクである。
「うーん、何かお腹変……」
「腹が変? どれ」
 裏柳は怒ってはいない様子であるが、お腹の不調をうったえている。
 昨日出しすぎてしまっただろうか。
 漆黒は心配しつつ、布団の中に手を入れて裏柳の腹を撫でてみた。
「ん?」
 なんだこれ。凄く張っている。
 ビックリして布団を捲り、裏柳のお腹を確かめる。
「うわぁ! なんだこれ!?」 
 寝ぼけ眼だった裏柳もビックリした様子で声を上げた。
 眠気も吹っ飛んだだろう。
 漆黒もビックリし一瞬固まってしまった。
 裏柳のお腹は妊婦の様に大きく出てしまっていたからだ。
 お腹がパンパンである。
「え、どうしよう。俺、どうしてこんな……」
 とんでもない自分のお腹に裏柳は狼狽えてしまっている。
 確かに漆黒は昨夜裏柳の中に出した。その時も、薄い裏柳のお腹が少しだけ張ってしまてはいたが、直ぐに中に出してしまった物は掻き出し、中も洗ってあげた。お腹が元に戻ていたのも確かめた。
 自分の精子ではないはずである。
 そうだとは思うのだが、ちゃんと洗ってあげたのが夢で、もしや俺の精子かもしれない。
 でも流石に張り過ぎではないだろうか。
 漆黒も頭がよく回らず眼の前がグルグルしてしまう。
「と、取り敢えず鹿を呼んでくる! 裏柳は動かずじっとしててくれ」
 兎に角、医師に見せるべきだと判断する漆黒。
 急にこんなに腹が出てしまうなんて、何か飛んでもない病気かも知れない。
「嫌だ行かないで。怖い、一人にしないでよ~~」
 ベッドから降りようとする漆黒だが、裏柳に腕を掴んまれ引き止められてしまった。
 裏柳は恐怖で泣き出してしまっている。
「直ぐ呼んでくるから」
「駄目! 何か変なの、お腹苦しい。何か降りて来る~~」
「えっ、降りてくる!? 大丈夫か!?」
「苦しい、お腹擦って。ウウ…」
 苦しそうに顔を歪める裏柳。どうしたら良いか解らず、漆黒は裏柳に言われた通りに腹を撫でるしかなかった。
 確かに、張ったお腹て何かが動いている。
「ハァ…ハァ…ファッ!! 痛い、痛い!!」
「何処が痛いんだ!?」
「お尻の穴がぁ裂けちゃうぅぅ!! 痛い~~」
 痛がる裏柳に失礼してお尻を確かめる。
 何か固いものに触れた。
「ウアアアァァァ!!!」
 裏柳が悲鳴を上げたと同時に何かが漆黒の手の平を濡らし、続いて何か生暖かい物を受け止めた。
「これは……」
 受け止めた物を確かめる。白くて丸い。
 これは……
「卵……」
 裏柳から出てきたのは生暖かい卵である。
 卵を産んでしまっている。
「アーーまた出る!!」
「は、はい!」
 漆黒は混乱しつつ、裏柳の産む卵を受け止める。
 1個産むと慣れたのか、裏柳が力む事にポンポン卵が産み落とされる。
「ウッ、ハァ……」
 汗だくで卵を産む裏柳にお腹を撫でて促す事しか出来ない漆黒。
 少しでも楽になればと、額や頰にキスを落とす。
「ウウ……アウッ…」 
「裏柳、もう少しだ。頑張れ」
「ハァ…ハァ、うん……」
 裏柳のお腹は徐々にへこみ、あともう少しである。
 応援する漆黒に、裏柳も最後の力を振り絞り、卵を捻り出す。
 ポトンと、最後の一つが産み落とされた。
「ハァ…ハァ…全部…出せた…」
 力尽きて漆黒に持たれ掛かる裏柳。
 裏柳が産み落とした卵は20個程にもなった。大きさは普通サイズであるが、量が多すぎて大変であった。
 全部潰さない様に布団の上に並べてある。
「よく頑張ったな」
 そう褒めて髪を撫でると、裏柳は嬉しそうに微笑み、疲れたのか目を閉じて眠りに落ちた。
 漆黒は直ぐに鹿を呼び、裏柳の様子を見せる。
 鹿は驚いた様子で裏柳の状態を確認していった。
 結果は、特に怪我や異常は無もく、無事であった。
 漆黒は裏柳にもしもの事があったらと不安でたまらなかったが、問題が無くて良かった。
 やっと胸を撫で下ろす。
 どうやら見た目は元に戻っていたが、体内に出来てしまった卵が残ってしまったらしい。
 鳥族のΩは直ぐに無精卵を作ってしまう様であるが、いっぺんに20個も作るのは珍しいと鹿も驚いていた。
 大事に生まれた卵を一つずつ確認したが、やはり全て無精卵であり、何かが産まれてくる事は無さそうだ。
 少しだけ残念であった。
 漆黒は裏柳の産んだ無精卵をワニに預ける。
 今日の朝食は裏柳の産んだ卵になりそうだ。
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