【完結】忍びである城主は乳兄弟にゾッコン

2話

　幼少の頃、春岳は山寺へと預けられた。
　春岳は次男であり、城主になる予定では無かったのだ。
　今でも美人な春岳である。幼少の頃はそれはそれは可愛らしかった。
　生臭坊主の魔の手にかからない訳が無かったのだ。

　ある日、呼び出された春岳が部屋に入ると数人の坊主に囲まれ服を脱がされた。
　何をされるのか解らなかったが、春岳は凄く怖かった事を覚えている。
　もしかして自分は食べられしまうのかも知れないと思った。
　服を脱がされた春岳はあちらこちらを舐め回され、あらぬ所に指を入れられた。
　悲鳴を上げて助けを求めたが、坊主達は楽しげに笑っていた。

　痛い、苦しい、怖い……　　

　嫌だ嫌だ嫌だーー

　春岳はただひたすら助けを求めていた。

　誰か助けてお願い。

　そして、その願いは届いた。


　気づくと当たり一面血塗れで、自分は誰かに抱きしめられていた。


「娘かと思ったが、違うようだな」
　
　春岳はブルブルと震えた。
　皆、この人に殺されたの？
　僕もこの人に殺される？

「怖かったな。もう大丈夫だ」

　ヨシヨシて頭を撫でられ、布を体に巻いてくれた。

　顔はよく見えないが、優しそうな瞳をしていた。




　春岳を助けてくれたのは忍びの里の男であった。
　あの山寺の坊主達は評判が悪く、とある城の殿様から殲滅しろという命令が下されたらしい。
　そこで、その寺に残された稚児たちを忍びの里で保護してくれた様だ。
　忍びの里にはそんな身寄りの無い子供達が沢山居て、忍びになるための訓練を受けていた。
　春岳は直ぐに才能を見せた。
　運動神経が良く、バランス感覚に優れ、戦法の取り方も的確、頭も良い。
　春岳はめきめきと上達し、いつの間にか里一番の忍びになっていた。
　忍びの里の次期長は春岳で決まりだと思われていだが、そんな中で春岳の元に使者が現れた。
　どうやら春岳の父の後を継いだ兄だったが、それが流行病で直ぐに亡くなってしまったと言うのだ。
　そこで家臣達は直ぐに山寺に預けた春岳を呼び戻しに行ったが、山寺は既に朽ち果てており、方々探し回ってようやく見つけたらしい。
　迎えに来た使者に春岳は泣きつかれ、城に戻って主をして欲しいと頼み込まれたのだ。

　本来、忍びの里に属してしまった自分が他の場所へ行くとなると抜け忍となってしまい、ルール違反で暗殺されてしまいそうなものだが、ここの里は朗らかで忍びにしては優しい気質だった。
　春岳にこの里の長になって貰えないのは残念だが、幸せなってくれたらそれで良いし、春岳が忍びの依頼を此方にしてくれたら助かると、快く送り出してくれたのだった。

　そんなこんなで春岳のバッグには強力な忍び達が仕えると言う鉄壁の最強布陣が誕生していたりする。
　そもそも春岳が最強の忍だったりするので、もうチートなのだった。

　そして城にやってきた春岳は伊吹と出会う。