【完結】忍びである城主は乳兄弟にゾッコン

甘塩ます☆

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21話

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 春岳が出て行った部屋で、伊吹は食事を済ませると、言われた通りに薬を飲んだ。
 殿には寝ていろと言われたが、今日は忙しい日。
 やはり、休んでなどいられない。
 直ぐに服装を着替えて、千代を手伝わなければ。
 そう思ったのだが、次の瞬間には何だか強烈な眠気に襲われた。

 まさか殿、眠り薬を……

 伊吹はスースーと直ぐに寝息をたて初めるのだった。


 

 自分の食事を終えた春岳。

 いやー、美味しい食事だった。

 今までも美味しいとは思ったが、作ったのが伊吹だと知ったら更に何倍も美味しく感じるのだから不思議だ。
 さて、伊吹はちゃんと薬を飲んで寝てくれたかな。
 部屋を開けて確かめる。

「ああー、やっぱり」

 言いつけを守らず仕事しようとした痕跡がある。
 なんせ、寝間着を脱いでいつもの服装に着替えようとして途中で寝落ちてしまっている。
 酷い寝方だ。
 それに何だかとっても官能的である。

 春岳は伊吹に寝間着を着せ直し、布団に戻してやる。
 熱は下がった様で安心した。
 顔色も悪くない。
 
「手を出さなかった事を褒めて欲しい所だな」

 伊吹の頭を撫でてから、起こさない様に食器類を回収し、ソッと部屋を出る。

 俺は伊吹に欲情しているのだろうか?

 手を出したくなるとは、そう言う事だ。
 普通に初めての感情なのだが……
 こう言う時、どうしたら良いのだろう。
 
 そもそも俺は、まだ伊吹と出会ったばかりだ。
 伊吹の事をよく知らない。
 それなのに何故こんなに惹かれているのだろう?
 顔が好みとか? それとも体か?

 よく解らない。
 だが兎に角、自分は乳兄弟と言っても記憶に無い出会ったばかりの男に好意を抱いている様だ。
 そもそも伊吹が所帯持ちでないかも定かではない。
 もしかしたら、何処かにもう妻や子供が居るかも知れない。
 年齢的には、もう妻や子供が居てもそうおかしくはない歳である。
 いや、別に妻や子供が居たとしても、俺が命令すれば、伊吹は閨で俺に足を開いて、尻を差し出さなければならないのだが。
 俺は、ただ単に伊吹の顔や体目当てに変な目で見てしまっているのだろうか。
 そもそも伊吹は稚児の経験は有るのだろうか。
 伊吹の事だ。
 きっと子供の頃から真面目で従順であっただろう。
 そういう任務を与えられたなら、嫌だろうが全うする筈だ。
 年端も行かぬ伊吹に無体を働いた輩が、もし居るとするのならば、見つけ出して息の根を止めてやりたい。

「殿、お召し物は…… ヒッ!」

 勝手な妄想にイライラしていた春武に、着物を合わせに来たらし千代がビックリして腰を抜かしてしまった。

「悪い……」

 悪気は無いのだが、この小姓には物凄く嫌われてしまっただろうと思う春岳であった。
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