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58話

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 翌朝、目を覚ました伊吹は驚いた。
 目の前に天女の様に綺麗な人が寝ていた。

 あれ? ここは天国?
 いやいや殿だ。凄く綺麗な殿!!

 何故自分は殿の布団で、殿に抱きしめられて寝ているんだ。
 寝起きでパニックになる伊吹。

 早く出なければ失礼だ。
 そう思って起き上がろうにも、春岳がしっかり自分を抱きしめていて抜け出せない。

「んん、伊吹、起きました?」

 身動ぐ伊吹に春岳も目を覚ます。

「申し訳ありません殿。起こしてしまいました」
「いえ、朝から伊吹の顔が見れて幸せです」

 フフっと微笑む春岳の表情は綺麗で、見惚れてしまう。
 でも、ちょっと何を言ってるのか解らない。

「私達が何になったかちゃんと覚えていますか?」

 春岳は、起き上がると、伊吹を見つめて問いかける。

「えっと……?」
「もう! 恋人同士ですよ!」
「恋人……」

 ふわぁ! 夢じゃないのか!!

 伊吹は夢だと思っていた。

「昨夜は取り乱してしまい申し訳ありませんでした!」

 ベッドを降りると土下座で謝る伊吹。
 思い出して凄く恥ずかしくなる。

 昨夜、有理を激しく抱く春岳を見たと、何故か感情がコントロール出来なくなってしまった。
 訳も解らず喚き散らしてしまった事を思い出す。

 最悪だ。 

 殿に色小姓や女中と遊んで欲しかったのに、目の当たりにしたら頭に血がのぼってしまった。
 あと、何か怖かった。

「いいよ。でも今夜からは、伊吹が毎晩私の下の世話をするんですよ。解りましたか?」

 笑顔の春岳は本当に綺麗だ。
 何だかドキドキしてしまう伊吹。

 だが……

「私、殿の魔羅を受け止められるか解りません」

 自分では役不足である。
 そう思い、自然と視線を下げた。

 ヒッ! 怖い。
 殿、朝立ちしてる。

 春岳の朝立魔羅が大きくて、顔を青ざめさせてしまう伊吹。
 昨夜の春岳と有理のまぐわいは、伊吹にとってトラウマになってしまっていた。
 あまりにも衝撃的過ぎたのだ。
 ウブな伊吹には刺激が強すぎた。

「今までと一緒で良いんですよ。一緒に千摺りして、兜あわせしましょう」

 春岳はそう言うと、前を寛げる。

「先ずは、この朝立ちの処理を手伝って下さいね」

 そう言って伊吹の前も勝手に寛げるのだった。

 やはり伊吹の代用に他の奴を抱くより、こうして二人で抜き合いしてた方がはるかに気持ちいいし、嬉しい。

 そう実感した春岳である。
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