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ーやはり、なんだか不気味な場所だ。
謙也は執事風の男に案内された【百日紅(さるすべり)の間のクローゼットに荷物を置くと、小さく溜息をついた。2階で別れた御厨、神戸、翔子はそれぞれの部屋に向かったが、この建物はエレベーターが遅いのか、やたら部屋が大きいのかは分からないが、次の階に到着する時間がやたら長い。3階に到着する間、神経質そうな沢井に、寡黙な楠木と、謙也と執事。なかなか長い時間だった。
部屋に通されると、中は古城を模したような造りだった。天井は思ったよりも高くなく、小さなシャンデリア風のランプがぶら下がっている。部屋の真ん中にあるテーブル、椅子、ベッド、棚。腰くらいの高さの広い窓からは西陽が差し込んでくる。
部屋には絵画が飾られている。部屋の半分くらいあるような巨大な絵画。部屋の窓の上の部分には、桃色の小さな花を模したステンドグラス。あれは確か、百日紅のようである。
謙也は椅子に腰掛けると、手持ち無沙汰そうにスマホを操作する。幸いこの場所はWi-Fiこそないが圏外ではなさそうである。そうじゃなきゃこの退屈な空間は耐えられる気がしない。
スマホを操作していると、部屋のドアがコンコンと叩かれた。ドアを開くとそこにいたのは、にやついた顔をした御厨だった。
「暇だろ」
「御厨センパイこそ…」
「だろだろ。いやぁにしても雰囲気ありまくりだよなぁ。この朧月楼ってとこは」
雰囲気というか、不気味極まりない。建物自体が醸し出す俗世から隔離された空間ならではの異質な雰囲気…
「不謹慎かもしれないがな、ここって曰く付きなんだよな」
「何でそんなとこ選んだんですかぁ?帰りたいなぁ」
「あくまで噂だって噂!この建物が人を喰うなんてさ」
「もう帰ります!」
「ちょ、ちょちょっ!そりゃダメだっつの」
「ちょっと御厨センパイ!謙也くんをあんまり脅かさないで下さい!」
そこにいたのは翔子だった。にやにやしながら謙也を眺めている御厨を諭すように言った。
「でもさぁ」
「あたしは面白そうだとは思いますけど、謙也くんはそういうの、苦手なんですから」
翔子は見た目もそうだが、かなり大人びている。上背もありモデルのような体型である。あの部長の楠木の恋人としては最適の…
「まぁ、翔子ちゃんがいるなら…」
「謙也くんったらもう…」
「ははっ、僕もさ、ちょっとこの辺を見て回りたくて来ただけなんだよ。じゃあな」
何をしに来たのかよく分からない御厨を見送ると、翔子と謙也は部屋に2人きりになった。ドキドキする謙也に比べ、弟の部屋に入ったかのような感じで全く緊張もしていない翔子は言う。
「あんなの、迷信に決まってるのに、人が悪いわよねぇ」
「御厨センパイ、ちょっと子供っぽいとこ、あるし」
「あたしもね、少し気になってはいるんだよ」
翔子は顔を少し引き攣らせながら言った。
「ここってかつて、殺人事件があったんだって」
謙也は執事風の男に案内された【百日紅(さるすべり)の間のクローゼットに荷物を置くと、小さく溜息をついた。2階で別れた御厨、神戸、翔子はそれぞれの部屋に向かったが、この建物はエレベーターが遅いのか、やたら部屋が大きいのかは分からないが、次の階に到着する時間がやたら長い。3階に到着する間、神経質そうな沢井に、寡黙な楠木と、謙也と執事。なかなか長い時間だった。
部屋に通されると、中は古城を模したような造りだった。天井は思ったよりも高くなく、小さなシャンデリア風のランプがぶら下がっている。部屋の真ん中にあるテーブル、椅子、ベッド、棚。腰くらいの高さの広い窓からは西陽が差し込んでくる。
部屋には絵画が飾られている。部屋の半分くらいあるような巨大な絵画。部屋の窓の上の部分には、桃色の小さな花を模したステンドグラス。あれは確か、百日紅のようである。
謙也は椅子に腰掛けると、手持ち無沙汰そうにスマホを操作する。幸いこの場所はWi-Fiこそないが圏外ではなさそうである。そうじゃなきゃこの退屈な空間は耐えられる気がしない。
スマホを操作していると、部屋のドアがコンコンと叩かれた。ドアを開くとそこにいたのは、にやついた顔をした御厨だった。
「暇だろ」
「御厨センパイこそ…」
「だろだろ。いやぁにしても雰囲気ありまくりだよなぁ。この朧月楼ってとこは」
雰囲気というか、不気味極まりない。建物自体が醸し出す俗世から隔離された空間ならではの異質な雰囲気…
「不謹慎かもしれないがな、ここって曰く付きなんだよな」
「何でそんなとこ選んだんですかぁ?帰りたいなぁ」
「あくまで噂だって噂!この建物が人を喰うなんてさ」
「もう帰ります!」
「ちょ、ちょちょっ!そりゃダメだっつの」
「ちょっと御厨センパイ!謙也くんをあんまり脅かさないで下さい!」
そこにいたのは翔子だった。にやにやしながら謙也を眺めている御厨を諭すように言った。
「でもさぁ」
「あたしは面白そうだとは思いますけど、謙也くんはそういうの、苦手なんですから」
翔子は見た目もそうだが、かなり大人びている。上背もありモデルのような体型である。あの部長の楠木の恋人としては最適の…
「まぁ、翔子ちゃんがいるなら…」
「謙也くんったらもう…」
「ははっ、僕もさ、ちょっとこの辺を見て回りたくて来ただけなんだよ。じゃあな」
何をしに来たのかよく分からない御厨を見送ると、翔子と謙也は部屋に2人きりになった。ドキドキする謙也に比べ、弟の部屋に入ったかのような感じで全く緊張もしていない翔子は言う。
「あんなの、迷信に決まってるのに、人が悪いわよねぇ」
「御厨センパイ、ちょっと子供っぽいとこ、あるし」
「あたしもね、少し気になってはいるんだよ」
翔子は顔を少し引き攣らせながら言った。
「ここってかつて、殺人事件があったんだって」
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