12 / 18
11
しおりを挟む
楠木伸之は悪夢に魘されていた。気のせいだろうか。物音がしたような気がして楠木は飛び上がるように起き上がった。べったりと掌には汗が滲み、心臓の鼓動は出鱈目なビートを刻んでいる。
起き上がり、部屋の鍵を開いた。なんだか部屋にはいたくない気分であった。楠木は昨夜あまり飲み慣れなかった酒を一人呷ったせいか、頭がふらついている。できれば外の空気を吸いたかったが、外は雨が強く打ち付けている。
「あっ、楠木さん…」
謙也が楠木の前にやって来た。楠木は挨拶のように手を挙げて応えた。
「寝れなくてな」
「部長も、そんな事があるんですね」
「ふふっ、僕を超人みたいに思ってもらっちゃ困るよ」
楠木は謙也を見た。なかなか端正な顔立ちをした青年だ。主役をやるにはまだ演技が下手くそだが、光るものがある。あの御厨すらそう言っていた。
「あの、部長…」
「僕はね、翔子とはおしまいにしたいんだ」
「え?」
「彼女と僕は釣り合わないよ」
「そんな事…それに翔子ちゃんは…」
「大丈夫。彼女はそんなに馬鹿じゃないよ」
そんな中、耳を劈くような悲鳴が聞こえた。楠木と謙也は顔を見合わせ、廊下を駆けた。直感的に神戸の部屋に向かう楠木と謙也の目には…
「翔子ちゃん?」
「楠木さん、謙也くん…?」
「何か悲鳴が聞こえたよな?」
「うん…」
「神戸はいるか?」
3人は神戸の部屋のドアを叩いた。神戸は出てこない。嫌な予感がする。怒られることを覚悟した3人は神戸の部屋のドアに体当たりをした。
「どうしたんだ?凄い声が…」
「沢井さん!手伝って!」
「あ、あぁ」
沢井も加わり、神戸の部屋である満天星の間のドアを破った。
「神戸…」
「れ?」
神戸はどこにもいなかった。部屋はしんとした空気に包まれている。
「おい、神戸どこだ!」
「神戸くん?」
「ここにはいなそうだな。ならあいつはどこに?」
「探そう!」
全員が神戸を捜した。2階にはいない。なら一階だろうか?沢井は1階に向かうエレベーターのボタンを押した。
「あ、くそっ…」
エレベーターはゆっくりゆっくりと降りる。楠木は沢井に訊いた。
「そっちからも聞こえたのか?」
「俺は1人で1階で呑んでたからね。こっちは吹き抜けで声はよく響く」
1階を捜す一同。広間にもどこにも神戸はいない。となれば…
「3階?」
「え?」
「謙也くん、神戸くんはいなかった?」
「いや…僕は見ていない…よ」
3階に上がる。エレベーターはようやく3分ちかくかけて3階に着いた。
「あ…」
エレベーターのドアが開く。開いた先の廊下には、頭を割られた神戸がそこに人形のように座り込んでいた。
起き上がり、部屋の鍵を開いた。なんだか部屋にはいたくない気分であった。楠木は昨夜あまり飲み慣れなかった酒を一人呷ったせいか、頭がふらついている。できれば外の空気を吸いたかったが、外は雨が強く打ち付けている。
「あっ、楠木さん…」
謙也が楠木の前にやって来た。楠木は挨拶のように手を挙げて応えた。
「寝れなくてな」
「部長も、そんな事があるんですね」
「ふふっ、僕を超人みたいに思ってもらっちゃ困るよ」
楠木は謙也を見た。なかなか端正な顔立ちをした青年だ。主役をやるにはまだ演技が下手くそだが、光るものがある。あの御厨すらそう言っていた。
「あの、部長…」
「僕はね、翔子とはおしまいにしたいんだ」
「え?」
「彼女と僕は釣り合わないよ」
「そんな事…それに翔子ちゃんは…」
「大丈夫。彼女はそんなに馬鹿じゃないよ」
そんな中、耳を劈くような悲鳴が聞こえた。楠木と謙也は顔を見合わせ、廊下を駆けた。直感的に神戸の部屋に向かう楠木と謙也の目には…
「翔子ちゃん?」
「楠木さん、謙也くん…?」
「何か悲鳴が聞こえたよな?」
「うん…」
「神戸はいるか?」
3人は神戸の部屋のドアを叩いた。神戸は出てこない。嫌な予感がする。怒られることを覚悟した3人は神戸の部屋のドアに体当たりをした。
「どうしたんだ?凄い声が…」
「沢井さん!手伝って!」
「あ、あぁ」
沢井も加わり、神戸の部屋である満天星の間のドアを破った。
「神戸…」
「れ?」
神戸はどこにもいなかった。部屋はしんとした空気に包まれている。
「おい、神戸どこだ!」
「神戸くん?」
「ここにはいなそうだな。ならあいつはどこに?」
「探そう!」
全員が神戸を捜した。2階にはいない。なら一階だろうか?沢井は1階に向かうエレベーターのボタンを押した。
「あ、くそっ…」
エレベーターはゆっくりゆっくりと降りる。楠木は沢井に訊いた。
「そっちからも聞こえたのか?」
「俺は1人で1階で呑んでたからね。こっちは吹き抜けで声はよく響く」
1階を捜す一同。広間にもどこにも神戸はいない。となれば…
「3階?」
「え?」
「謙也くん、神戸くんはいなかった?」
「いや…僕は見ていない…よ」
3階に上がる。エレベーターはようやく3分ちかくかけて3階に着いた。
「あ…」
エレベーターのドアが開く。開いた先の廊下には、頭を割られた神戸がそこに人形のように座り込んでいた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる