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クラリアのお茶会2
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数日後のアリスのダンスレッスン休息日に合わせて開かれたクラリアのお茶会でアリスは流れる曲に合わせ一人シャドウダンスを披露していた。
最後のポーズを決めたアリスに皆一斉に拍手を贈る。
お茶会のいつものメンバー、クラリアとアナベル&セシル、グレースとコーネリアに向かい、アリスはスカートの裾を少し上げて優雅に会釈した。
「素晴らしいわ、アリス」
「ええ、とてもエレガントだったわ」
改めて拍手するグレースとコーネリアにアリスはテヘッと鼻の頭を掻く。
確かにアリスのシャドウダンスはちょっと前までは足踏みステップしていたとは思えないレベルに上達していた。ひとえに教師陣の決して諦めない不屈の精神&サポート体制の充実の賜物である。
「グレース様(ダンス人形)とクラリア様(魔法省特別見学チケット)のお陰ですー♪」
ペコリと頭を下げるアリスにグレースは優しく微笑みながら首を横に振った。
「いいえ、私達がした事なんて大した事ではなくてよ。ダンスが上達したのはアリス、貴方自身の努力よ」
「そうね、ここまで踊れる様になっていた努力は認めても良いわ」
クラリアも頷く。
「恐縮ですー」
テーブルの自分の席に戻りながらアリスはヘヘっと笑い、
「精進を重ねます」
神妙な顔になるとちょこんと椅子に座った。
そう、クラリアの目は笑っていない。そこにアナベル&セシルの、
『確かに少しは踊れていたけれどシャドウダンスだけが上手くなってもしょうがないわ。社交ダンスは二人で踊るのよ』
「…」
二人の情け容赦ないツッコミがアリスの胸にグサグサと突き刺さる。
「ま、先ずは一人でよ。アリスは着実に上達していてよ」
コーネリアがそう声を掛けてくれるが、現実は双子の言う通りだった。
アリスはソネガン先生ズが血の滲む思いで叩き込んでくれたステップを一人で踊るシャドウダンスは及第点で踊れるようになっていた。しかし相手と組んだ瞬間から限りなくゼロに戻るアリスだった。
だってしょうがないじゃん。出来ないものは出来ないんだもん。
メイドが淹れてくれたぬるめの紅茶を啜りながらアリスは口を尖らせる。そんなアリスにクラリアは溜め息をついた。
「そうなのよね。まさか王太子殿下に兄のようにアリスを持って踊ってくれなんて言えなし。いえ、思い切って頼んでみるか…」
真面目な顔で思案するクラリアにグレースは苦笑する。
「少しの間なら兎も角、一曲の間ずっとアリスを持って踊ったら流石に不自然よ。周りが気付いてしまうわ」
「そうよねぇ、何か良い案はないものかしら」
揃って思案顔になるクラリアとグレースにアナベル&セシルはアリス以上に口を尖らせた。
『御二人方ともアリスに甘過ぎですわ。下手でも兎に角組んで踊れるようにする。それ以外に良い方法など御座いません』
双子のド正論にクラリアとグレースは顔を見合わせて頷く。
「そうね、時間は掛かってもそれが正道だわ」
「ええ、私達が応援していますから頑張ってね、アリス」
「はい…」
アナベル&セシルの矢で蜂の巣の上に正論のナタで頭をカチ割られたアリスは二人の言葉に頷くしかなかった。
頑張ってるのよ、これでも。正道って言うけどこの先行き止まりでない保証が何処にあるってのよ?!
紅茶を飲み干したアリスはカップをソーサーに置き、勢い余ってガチャンッと大きな音を立ててしまう。アワアワするアリスをアナベル&セシルがキッと睨み付けた。
まあまあという表情でコーネリアはスッとテーブルの上の、アリスが持参したイラスト、お子様シリーズのスケッチブックと一緒に持ってきたイラストの一枚を手に取った。
それはアリス母が描いたアリスのクリスマス舞踏会用のドレスのデザイン画だった。改めてそのデザイン画を眺めたコーネリアはほうっと溜め息をつく。
「本当に素敵なドレスね。当日にアリスのドレス姿を見るのが楽しみだわ」
「ええ、アリスの画才はお母様譲りなのね」
デザイン画を見てグレースもニッコリと微笑み、ヘヘっ♪とアリス犬はパタパタと尻尾を振る。それを見てクラリアは、
本当にパンツ丸出し防止用デザインとは思えないわ。
と思ったが口にはしなかった。
が双子は口にした。
『これはコケた時にパンチラどころか丸出しにならない為のデザインです。なんて誰も思わないでしょうね』
二人の言葉にアリス犬のパタパタ尻尾は止まり、ストンと垂れ下がる。流石にめっという顔をするクラリアにアナベル&セシルは慌てて席から立ち上がった。
「さ、行きましょう。セシル」
「ええ、アナベル」
「…」
最後のポーズを決めたアリスに皆一斉に拍手を贈る。
お茶会のいつものメンバー、クラリアとアナベル&セシル、グレースとコーネリアに向かい、アリスはスカートの裾を少し上げて優雅に会釈した。
「素晴らしいわ、アリス」
「ええ、とてもエレガントだったわ」
改めて拍手するグレースとコーネリアにアリスはテヘッと鼻の頭を掻く。
確かにアリスのシャドウダンスはちょっと前までは足踏みステップしていたとは思えないレベルに上達していた。ひとえに教師陣の決して諦めない不屈の精神&サポート体制の充実の賜物である。
「グレース様(ダンス人形)とクラリア様(魔法省特別見学チケット)のお陰ですー♪」
ペコリと頭を下げるアリスにグレースは優しく微笑みながら首を横に振った。
「いいえ、私達がした事なんて大した事ではなくてよ。ダンスが上達したのはアリス、貴方自身の努力よ」
「そうね、ここまで踊れる様になっていた努力は認めても良いわ」
クラリアも頷く。
「恐縮ですー」
テーブルの自分の席に戻りながらアリスはヘヘっと笑い、
「精進を重ねます」
神妙な顔になるとちょこんと椅子に座った。
そう、クラリアの目は笑っていない。そこにアナベル&セシルの、
『確かに少しは踊れていたけれどシャドウダンスだけが上手くなってもしょうがないわ。社交ダンスは二人で踊るのよ』
「…」
二人の情け容赦ないツッコミがアリスの胸にグサグサと突き刺さる。
「ま、先ずは一人でよ。アリスは着実に上達していてよ」
コーネリアがそう声を掛けてくれるが、現実は双子の言う通りだった。
アリスはソネガン先生ズが血の滲む思いで叩き込んでくれたステップを一人で踊るシャドウダンスは及第点で踊れるようになっていた。しかし相手と組んだ瞬間から限りなくゼロに戻るアリスだった。
だってしょうがないじゃん。出来ないものは出来ないんだもん。
メイドが淹れてくれたぬるめの紅茶を啜りながらアリスは口を尖らせる。そんなアリスにクラリアは溜め息をついた。
「そうなのよね。まさか王太子殿下に兄のようにアリスを持って踊ってくれなんて言えなし。いえ、思い切って頼んでみるか…」
真面目な顔で思案するクラリアにグレースは苦笑する。
「少しの間なら兎も角、一曲の間ずっとアリスを持って踊ったら流石に不自然よ。周りが気付いてしまうわ」
「そうよねぇ、何か良い案はないものかしら」
揃って思案顔になるクラリアとグレースにアナベル&セシルはアリス以上に口を尖らせた。
『御二人方ともアリスに甘過ぎですわ。下手でも兎に角組んで踊れるようにする。それ以外に良い方法など御座いません』
双子のド正論にクラリアとグレースは顔を見合わせて頷く。
「そうね、時間は掛かってもそれが正道だわ」
「ええ、私達が応援していますから頑張ってね、アリス」
「はい…」
アナベル&セシルの矢で蜂の巣の上に正論のナタで頭をカチ割られたアリスは二人の言葉に頷くしかなかった。
頑張ってるのよ、これでも。正道って言うけどこの先行き止まりでない保証が何処にあるってのよ?!
紅茶を飲み干したアリスはカップをソーサーに置き、勢い余ってガチャンッと大きな音を立ててしまう。アワアワするアリスをアナベル&セシルがキッと睨み付けた。
まあまあという表情でコーネリアはスッとテーブルの上の、アリスが持参したイラスト、お子様シリーズのスケッチブックと一緒に持ってきたイラストの一枚を手に取った。
それはアリス母が描いたアリスのクリスマス舞踏会用のドレスのデザイン画だった。改めてそのデザイン画を眺めたコーネリアはほうっと溜め息をつく。
「本当に素敵なドレスね。当日にアリスのドレス姿を見るのが楽しみだわ」
「ええ、アリスの画才はお母様譲りなのね」
デザイン画を見てグレースもニッコリと微笑み、ヘヘっ♪とアリス犬はパタパタと尻尾を振る。それを見てクラリアは、
本当にパンツ丸出し防止用デザインとは思えないわ。
と思ったが口にはしなかった。
が双子は口にした。
『これはコケた時にパンチラどころか丸出しにならない為のデザインです。なんて誰も思わないでしょうね』
二人の言葉にアリス犬のパタパタ尻尾は止まり、ストンと垂れ下がる。流石にめっという顔をするクラリアにアナベル&セシルは慌てて席から立ち上がった。
「さ、行きましょう。セシル」
「ええ、アナベル」
「…」
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