異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

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4章

226 決勝戦 VS ミレア 回想編

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 決勝戦が始まる前、僕はミレアと少しばかり話をした。

 どうしても聞いておかねばならないことがあったのだ。
 主に、<固有魔法オリジナル・スペル>と試合について。

 あれは、今から少し前。
 舞台袖に待機するまであと十分という頃のこと。



 〇〇〇



「ミレア、<固有魔法>について聞きたいことがある」

「えー?決勝戦の前にそれを聞くのは反則じゃないかなぁ?」


 ミレアが待機する舞台袖にやってきて尋ねたところ、そう返されてしまった。
 まあ、当然と言えば当然なんだが。

 ただ、このまま引き下がる訳にはいかない。
 つい今しがた<固有武技オリジナル・アーツ>を開発した身として、な。


「<固有魔法>はミレアのアナザースキルが中核を為す。それは間違いないな?」

「・・・・・・。」

「アナザースキルの名前は分からないが、仮に「賢者」としておこう」

「っ!?」


 お、この反応は当たりか?
 魔法を集めるところから「賢者」を連想したし、二つ名にも入っているのでカマを掛けたのだが・・・。

 まあ、今そのことは置いておく。


「率直に言う。あの<固有魔法>というのは危険だ。できれば使わないでほしい」

「・・・どうして? というか、やっぱアスト兄も持ってたんだね・・・」


 まあ、アナザースキルの名前を出してしまえば、当然気づかれるよな。
 今まで、お互いにある程度察しつつも決定的な発言をしなかったのは、そこが最後の砦だと分かっていたからなのだから。

 使用を禁止したいのは、アレが危険だと気づいたからだ。
 危険というか、リスクがあるという方が正しいか。
 僕が気づけたのは、<固有武技>を開発したが故なのだが・・・。

 あ、勿論MP消費とか、そういうことじゃないぞ?
 あの<固有魔法>一発でMP25%消費は高リスクだが、そういう話ではない。


「少し話はズレるが、VRという存在には、必ずあるものが仕掛けられている」

「あるもの、って・・・?」

「簡単に言うならば、魂の保護機能・・・ソウルプロテクトだ」


 これはどのようなゲームにも、VRである限り必ず仕掛けられている。
 そのことについては間違いない。

 ソウルプロテクトは、VR内においてプレイヤーの魂を保護する。
 例えば、矢で目を射られてもトラウマにならないように、とか。


「魂、ねぇ・・。そんな機能があるなんて初耳なんだけどなぁ、って」

「まあ、一般的には知られていないからな。それでも、間違いなく存在している」

「ふーん?それで、その保護がどうしたの?」


 ここからが本題だ。
 ちょっとした衝撃事実だが、しかと聞いてほしいところだ。

 脳に負担が掛かるというのもあるが、もう一つ。

 ・・・ミレアの頭脳なら、真偽の判別は可能だろう。
 

「端的に言うと、あの<固有魔法>を使用している際は、ミレアのソウルプロテクトが解除されている。僕も先ほど<固有武技>を開発して確認したから間違いない」

「!?」


 ミレアは目を見開いて驚愕している。
 多分、<固有武技>のことを出したので信憑性が増したのだろう。
 疑いつつも、真実であるという判断に傾きつつあるように窺える。

 それで、だ。


「つまり、<固有魔法>発動中は、ゲームの影響がリアルにも及ぶ。流石にそこまで酷いことにはならないと思うが、理論上は・・・ショック死もありうる」

「なっ・・・!?そんなことが、あり得るの?だって、ゲームなんだよ?」

「ゲームでも、だ。そもそも、完全没入ゲームなんて、おかしいと思わないか?」


 ある日、どこからか湧いてきた、とんでもない超技術。
 精々3Dゲームまでだった時代に終わりを告げて登場した新ジャンル。

 一体、どうしてVRMMOなどということが可能になるのか。
 それが分かっていない以上、魂の関りについても否定しきれないだろう。

 つまり、ゲーム内で魂が傷つき、それが原因で死に至ることもあり得る、と。


「そういう訳だから、<固有魔法>は使わないでほしい」

「うん・・・・・・やだっ!」

「はあっ!?」


 笑顔で拒否されてしまった。
 ・・・なんでやねん。

 何? 反抗期なのか?
 今まで反抗らしい反抗も無かったので、ちょっと嬉しいな。

 ・・・いやいやいや、そうじゃないんだ。


「やだって・・・どうしてだ?」

「うーん・・・だって、使わないと勝てないんだもん」


 なるほどな。
 お互い<固有魔法>と<固有武技>無しでは、自分に不利だと考えたわけか。

 理にかなってはいるんだが・・・。


「何でそんな肝が据わってるんだよ・・・。そこまで勝ちたいのか?」

「うん、アスト兄に勝ちたいっ!今まで一度も勝ったことないんだからっ!」

「ええ・・・?そうだったか?そんなことはないと思うが・・・?」


 というか、僕こそミレアに勝ったことなんて無いと思うんだが・・・。
 なんか違和感があるな・・・。


「大体、肝が据わってるどころか、いつまでもウジウジレインとの関係をハッキリさせないヘタレに言われたくないよっ!!」

「うぐっ・・・!!」


 何も言い返せない・・・!
 いや、これでもついさっき、色々と覚悟を決めたんだぞ、一応。

 主にレインのこととか。
 それと、目の前に居るミレアのこととか。


「・・・まあ、反論はしないでおく。今の心地いい関係を崩したくないからって、好意を寄せられておいてそれを無視するような男だ。弁解の余地は無い」


 まあ、外道だの鬼畜だの悪魔だのはいいとしても、だ。
 相当な人でなしなのは間違いないよな。


「えっ?いや、そこまでは言ってないよっ!?アスト兄はちゃんとレインの想いに向き合ってはいる訳で、無視なんてしてないし・・・?」


 ・・・少々誤解があるようだが、まあいいか。
 説得は失敗ということで諦めよう。

 ただ、一つだけ言わせてもらおうか。


「僕、次の試合に勝ったら、レインに告白するんだ」

「それなんて死亡フラグなのっ!?」



 〇〇〇



 はい、回想終了。
 結局のところ何が言いたいのかというと、だ。


「人でなしである僕の告白を阻止したいなら、僕に勝つことだな」

「ちょっと待って、どういうことっ?別にアスト兄は人でなしじゃないし、どうしてそうなるのかまるで理解、でき、ない・・・・・・・ッッ!?」


 どうやら気づいたみたいだな。
 試合前の会話を思い返してみて確信したみたいだ。

 ・・・と、ミレアの顔が赤くなったり青くなったりしている。
 やはり気づいたか。

 まあ、男として慕われている状況を見て見ぬ振りするのはやめたということだ。
 本当に、物凄く今更で遅すぎる決断だったけどな。

 でも、この問題を片付けねば、僕はレインとともに居られない。

 これは・・・僕なりの贖罪なのだ。

 不器用な上に馬鹿な行為だと自覚はしている。
 それでも、僕の頭では他に思いつかなかった。

 だから、どうか許してほしい・・・・・レイン、ミレア。

 いや・・・・・・優香、美鈴。

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