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一章 妖符師誕生編
12 扇の舞
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夜中の町を巡回し、発生した悪霊を封印するのが妖符師の仕事です。
「うぃ~、飲みすぎちゃったなぁ~!」
「・・・はぁ。こんなところで寝ては風邪をひいてしまいますよ?」
「ひかねぇ、ひかねぇ!あははははっ・・・!」
ですので、決して酔っ払いの保護が仕事というわけではないんです。
これ、恐らくは警察の仕事です。
交番に送っていこうものなら私も補導されてしまうので、それはできません。
仕方なく公衆電話で通報しておきました。
後のことは知りません。
「若葉でもそんな顔するとは、少し驚いたコン」
「私だって嫌なことの一つや二つはあるよ?人間なんだから、一応」
フォーンが宙を駆けながら驚いていますのでそう言っておきます。
契約の影響で身体能力が変化しつつありますが、一応は人間ですから。
「今日の収穫は低位悪霊が四体。やっぱり悪霊が増えているコン」
「昨日サボったせい・・・じゃないよね、多分」
「一日サボったくらいでここまで悪霊は増えないコン。
でも、若葉の両親が亡くなった影響はあるのかもしれないコン」
事故で亡くなったお父さんとお母さん自体が悪霊発生の抑止力になっていた、ということでしょうか。
確かに、自分に襲い掛かってくる怖い人が居ると分かっている状態では、みすみす顔を出そうとは思いません。
悪霊は人から漏れ出した思念を受けてなることが多いですから、人と同じような特性でもおかしくはないでしょうね。
「つまり、私は悪霊に嫌われてないってことだね」
「何故そういう結論になるコン!?悪霊に舐められてるってことだコン!!」
うん。ちょっと好意的に捉え過ぎたね。
フォーンが目の前まで空を駆けてきたので抱きしめてモフモフ。
やっぱりフォーンは最高に可愛いっ・・・!!
「なっ!?突然何するコン!」
「フォーンが目の前に来たからモフモフを所望したのかと思って・・・」
「本当にどんな思考回路をしてるコン!?」
絶対にそうだと確信していたのに、どうも違ったみたい。
私の思考回路は・・・普通じゃないかな?
「だって、目の前にそんな尻尾を・・・武装召喚<多尾狐>『フォーン』!」
<コン!?>
フォーンと話していると街路樹の陰から中位悪霊が飛び出してくる気配を感じたので、詠唱省略で武装召喚を行った。
「・・・・・・!」
「壱ノ舞・悠扇!」
かなりの速度でこちらに向かってきた中位悪霊を、私は一歩下がりながら右手に持った扇で真横に跳ね飛ばす。
速度は高速道路の車と同じくらいでしたので、以前のままの反応速度では不意打ちに対応できなかったと思います。
中位悪霊ともなると気配を抑えたり隠れたりといった知恵を持つ。
低位悪霊と区分されるのも当然のことですね。
同じ相手のつもりで戦うと酷い目に遭いそうです。
跳ね飛ばした悪霊に追いすがり、更に一撃。
「弐ノ舞・硬扇!」
妖力を流したことで硬化した扇を振りかぶり、まだ先程の攻撃による勢いを殺し切れていない悪霊を再び跳ね飛ばす。
悪霊は先程よりも遠くに飛ばされ、時間を作ることに成功しました。
「・・・我求めるはこの世ならざる妖の力。
我が求めに応じ、今現世に現れ出でよ。
汝は扇となりしモノ・・・武装召喚<多尾狐>『フォーン』!」
ちゃんと詠唱をした状態で扇を再召喚。
あのままでも戦えたけれど、フォーンの消耗を抑えるに越したことはないので。
敵は衝撃から立ち直り、憎しみの感情をこちらに向けている。
高位の存在になるほど憎しみは強まり、それが伝わりやすくなる傾向にあります。
この中位悪霊も例に漏れず、その憎悪の感情で人を殺せそうな程です。
「#$”#$#%$”$%#!!」
「壱ノ舞・悠扇!
弐ノ舞・硬扇!」
<壱ノ舞・悠扇>で素早く動く怒れる悪霊に対応しつつ連撃を加える。
弱って動きが鈍ったところで、多少大振りとなる<弐ノ舞・硬扇>で止め。
存在を維持できない程になったので、白符を飛ばして中位悪霊を封印。
符が悪霊を封印して真っ黒なったので、地面に落ちる前に回収。
<中位符>はこれで二枚目ですので大事にしましょう。
いつ集団で襲われるか分かりませんから。
「我求めるは、この世ならざる妖の力。
我が求めに応じ、今現世に現れ出でよ。
汝は狐となりしモノ・・・顕現召喚<多尾狐>『フォーン』!」
戦闘が終了して周囲に悪霊が居ないことを確認し、フォーンを顕現召喚。
扇が光に包まれて変化し、狐のフォーンへ。
「ふぅ・・・焦ったコン。若葉はよく咄嗟に反応できたんだコン」
「うん、私もちょっと焦ったよ。でも、焦った時こそ落ち着かないとね・・・!」
焦っても上手くいきませんから、当然のことですね。
できることなら痛い目には遭いたくありませんし。
「それが意外と難しいんだコン・・・。
憎悪を向けられても平気だし、若葉は本当に肝が太いんだコン・・・」
「えへへへ・・・」
「だから何で嬉しそうなんだコン!?昨日嫌味だと教えたばかりだコン!!」
フォーンが何か言っていますが、兎にも角にも今日の巡回は終了です。
家に帰って休むことにしましょう。
「若葉!聞いてるコン!?」
「フォーン、モフモフ・・・!」
「何でこういう時だけ話を聞かないコン!?」
「うぃ~、飲みすぎちゃったなぁ~!」
「・・・はぁ。こんなところで寝ては風邪をひいてしまいますよ?」
「ひかねぇ、ひかねぇ!あははははっ・・・!」
ですので、決して酔っ払いの保護が仕事というわけではないんです。
これ、恐らくは警察の仕事です。
交番に送っていこうものなら私も補導されてしまうので、それはできません。
仕方なく公衆電話で通報しておきました。
後のことは知りません。
「若葉でもそんな顔するとは、少し驚いたコン」
「私だって嫌なことの一つや二つはあるよ?人間なんだから、一応」
フォーンが宙を駆けながら驚いていますのでそう言っておきます。
契約の影響で身体能力が変化しつつありますが、一応は人間ですから。
「今日の収穫は低位悪霊が四体。やっぱり悪霊が増えているコン」
「昨日サボったせい・・・じゃないよね、多分」
「一日サボったくらいでここまで悪霊は増えないコン。
でも、若葉の両親が亡くなった影響はあるのかもしれないコン」
事故で亡くなったお父さんとお母さん自体が悪霊発生の抑止力になっていた、ということでしょうか。
確かに、自分に襲い掛かってくる怖い人が居ると分かっている状態では、みすみす顔を出そうとは思いません。
悪霊は人から漏れ出した思念を受けてなることが多いですから、人と同じような特性でもおかしくはないでしょうね。
「つまり、私は悪霊に嫌われてないってことだね」
「何故そういう結論になるコン!?悪霊に舐められてるってことだコン!!」
うん。ちょっと好意的に捉え過ぎたね。
フォーンが目の前まで空を駆けてきたので抱きしめてモフモフ。
やっぱりフォーンは最高に可愛いっ・・・!!
「なっ!?突然何するコン!」
「フォーンが目の前に来たからモフモフを所望したのかと思って・・・」
「本当にどんな思考回路をしてるコン!?」
絶対にそうだと確信していたのに、どうも違ったみたい。
私の思考回路は・・・普通じゃないかな?
「だって、目の前にそんな尻尾を・・・武装召喚<多尾狐>『フォーン』!」
<コン!?>
フォーンと話していると街路樹の陰から中位悪霊が飛び出してくる気配を感じたので、詠唱省略で武装召喚を行った。
「・・・・・・!」
「壱ノ舞・悠扇!」
かなりの速度でこちらに向かってきた中位悪霊を、私は一歩下がりながら右手に持った扇で真横に跳ね飛ばす。
速度は高速道路の車と同じくらいでしたので、以前のままの反応速度では不意打ちに対応できなかったと思います。
中位悪霊ともなると気配を抑えたり隠れたりといった知恵を持つ。
低位悪霊と区分されるのも当然のことですね。
同じ相手のつもりで戦うと酷い目に遭いそうです。
跳ね飛ばした悪霊に追いすがり、更に一撃。
「弐ノ舞・硬扇!」
妖力を流したことで硬化した扇を振りかぶり、まだ先程の攻撃による勢いを殺し切れていない悪霊を再び跳ね飛ばす。
悪霊は先程よりも遠くに飛ばされ、時間を作ることに成功しました。
「・・・我求めるはこの世ならざる妖の力。
我が求めに応じ、今現世に現れ出でよ。
汝は扇となりしモノ・・・武装召喚<多尾狐>『フォーン』!」
ちゃんと詠唱をした状態で扇を再召喚。
あのままでも戦えたけれど、フォーンの消耗を抑えるに越したことはないので。
敵は衝撃から立ち直り、憎しみの感情をこちらに向けている。
高位の存在になるほど憎しみは強まり、それが伝わりやすくなる傾向にあります。
この中位悪霊も例に漏れず、その憎悪の感情で人を殺せそうな程です。
「#$”#$#%$”$%#!!」
「壱ノ舞・悠扇!
弐ノ舞・硬扇!」
<壱ノ舞・悠扇>で素早く動く怒れる悪霊に対応しつつ連撃を加える。
弱って動きが鈍ったところで、多少大振りとなる<弐ノ舞・硬扇>で止め。
存在を維持できない程になったので、白符を飛ばして中位悪霊を封印。
符が悪霊を封印して真っ黒なったので、地面に落ちる前に回収。
<中位符>はこれで二枚目ですので大事にしましょう。
いつ集団で襲われるか分かりませんから。
「我求めるは、この世ならざる妖の力。
我が求めに応じ、今現世に現れ出でよ。
汝は狐となりしモノ・・・顕現召喚<多尾狐>『フォーン』!」
戦闘が終了して周囲に悪霊が居ないことを確認し、フォーンを顕現召喚。
扇が光に包まれて変化し、狐のフォーンへ。
「ふぅ・・・焦ったコン。若葉はよく咄嗟に反応できたんだコン」
「うん、私もちょっと焦ったよ。でも、焦った時こそ落ち着かないとね・・・!」
焦っても上手くいきませんから、当然のことですね。
できることなら痛い目には遭いたくありませんし。
「それが意外と難しいんだコン・・・。
憎悪を向けられても平気だし、若葉は本当に肝が太いんだコン・・・」
「えへへへ・・・」
「だから何で嬉しそうなんだコン!?昨日嫌味だと教えたばかりだコン!!」
フォーンが何か言っていますが、兎にも角にも今日の巡回は終了です。
家に帰って休むことにしましょう。
「若葉!聞いてるコン!?」
「フォーン、モフモフ・・・!」
「何でこういう時だけ話を聞かないコン!?」
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