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一章 妖符師誕生編
14 苦戦と辛勝
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「ゲホッ、ゴホッ!・・・普通の物理攻撃が効かないのに物理ダメージのある攻撃をしてくるのって、ちょっと理不尽だと思うな」
<呑気なこと言ってないで回避するコン!!>
フォーンに言われずともそのつもりなんだけど、連携されると厄介で・・・。
いくら一対四の戦いとはいえ、弾き飛ばされて壁に激突するとは。
息が詰まったし、結構痛かったですね。
「何で理性が無いに等しいのに、こんなに上手く連携出来るんだろう・・・?」
<それは本能の為せる業だコン!連携しているという意識は多分無いコン!>
「尚更理不尽に感じる、ねっ・・・!」
下手に攻撃しようとするとその隙を突かれて先程の二の舞ですので、いい手が思いつくまではひたすらに足さばきを利用して回避です。
中位悪霊は連携していますが、そこまでの作戦立案能力など無いようなので、同じように突撃を繰り返してくるでしょう。
これが高位以上になれば話は別ですが、中位では精々不意打ちくらいかと。
「あ、二の舞っていう表現、弐ノ舞と音が被ってるから使い辛いね?」
<若葉・・・意外と余裕あるコンね・・・>
余裕などありませんとも。
中位悪霊四体の体当たりを回避するだけで一苦労なのですから。
ジリ貧・・・というより、体力が底を突いたらお終いですね。
仕方ありません。
勿体なくはありますが、<低位符>の出番のようです。
コートの内ポケットから<低位符>を三枚ほど取り出し、頃合いを見計らって四体の内三体へ飛ばします。
「・・・<破>ッ!」
<低位符>が三体の中位悪霊に接触するタイミングで三枚とも起爆。
次の瞬間、<低位符>を中心にして直径一メートルの円形空間に衝撃波が発生。
敵にダメージを与えつつ、弾き飛ばすことに成功しました。
この隙に残る一体に・・・!
「壱ノ舞・悠扇!
弐ノ舞・硬扇!」
変幻自在の悠扇で崩し、妖力で硬質化した一撃で大ダメージを与える。
かなりの妖力・・・全体の半分くらいをつぎ込みましたので、一連の攻撃だけで存在を消滅へ追い込むことに成功しました。直ちに白符を飛ばして、封印。
<若葉!右からくるコン!>
「っ、ぐっ・・・!」
体当たりを喰らう寸前に扇を割り込ませて、衝撃を緩和。
おかげ様で、多少腹部にダメージは負いましたが、壁に激突する前に止まることができました。
「ごめんね、フォーン・・・!」
<どうってことないから大丈夫だコン!気にせず幾らでもガードに使うコン!>
いくらフォーンがそう言っても、なるべく使いたくはない手段ですね。
それでも、危機的状況では頼らせてもらいますが。
遠慮して負けてしまっては、元も子もありませんので。
敵が一体減ったことで随分と余裕ができました。
具体的には、色々と考えながら攻撃を回避できるくらいです。
残る妖力は半分を切ったくらいで、これがゼロになると碌に戦えません。精々、普通の人間より少し優れる程度でしょうか。
ですので、なるべく消耗は避けたいところです。
残りの<低位符>は三枚ですが、こちらは必要なら使い切ることも辞さない覚悟です。また集めればいい話ですからね。
「壱ノ舞・悠扇!」
「・・・!」
時折隙を見て攻撃を挟み、少しずつダメージを加算。
一対三ならギリギリ攻撃可能で、一対二になれば更に余裕が増えるでしょう。
しからば、一体減らすことが最優先ということです。
「・・・<烈破>!」
先程封印した、地面に落ちている<中位符>を、敵を誘導した上で起爆。
<中位符>を基点に直径三メートルの球形状(今回は半球)に衝撃波が発生。
巻き込まれた二体の中位悪霊が大きくふっ飛ばされ、目の前に残るは一体だけ。
「一ノ舞・悠扇!
弐ノ舞・硬扇!」
もはや定番となったコンボで存在を消失に追い込み、封印。
先程より流した妖力は少ないので、残り二割はあります。
遠くまで吹き飛ばされていた中位悪霊が戻ってくるのを待って、攻撃再開。
本当は追撃したかったのですが、吹き飛ばされたのが上空では無理です。
なお、中位悪霊までに一定以上の高さを飛行する能力はないと分かっていますので、落ちてくるのを待ちました。
「はぁ、はぁ、壱ノ舞・悠扇!」
「・・・!?」
「弐ノ舞・硬扇!」
その後、二体の中位悪霊を<低位符>一枚を消費して封印することに成功。
「ふぅ、はぁ、疲れた・・・!」
<お疲れ様、若葉。よくあれだけ戦ったコン。初めて三日目だったら普通は死んでいてもおかしくない戦いで、軽い打ち身だけなのは感嘆するしかないコン>
「反省点も多いけど、そう言ってもらえるのは嬉しいな・・・」
地面に座り込みながら、フォーンによるお褒めの言葉を受け取りました。
壁にぶつけた背中と体当たりを受けた腹部が痛みますが、直ぐに直るでしょう。
この体は治癒能力も優れていますから。
流石に重傷ですと簡単には治らないようですが。
「今日は、もう帰ろうかな・・・」
<妖力も残り少ないし、それがいいコン。微妙に残った巡回は明日に回すコン>
「うん・・・この状態でもう一度複数の中位悪霊と遭遇したら、逃げることも出来ずに死んでしまいそうだから、そうするね・・・」
妖符師として生きることを決めたといえども、命を粗末にするつもりはありません。駄目な時は駄目だと素直に引くことも重要です。
本日の結果は・・・<低位符>-四枚、<中位符>+三枚
これって収支としてはどうなんでしょうね?
家に帰ったら妖怪書で確認しておきましょう。
<呑気なこと言ってないで回避するコン!!>
フォーンに言われずともそのつもりなんだけど、連携されると厄介で・・・。
いくら一対四の戦いとはいえ、弾き飛ばされて壁に激突するとは。
息が詰まったし、結構痛かったですね。
「何で理性が無いに等しいのに、こんなに上手く連携出来るんだろう・・・?」
<それは本能の為せる業だコン!連携しているという意識は多分無いコン!>
「尚更理不尽に感じる、ねっ・・・!」
下手に攻撃しようとするとその隙を突かれて先程の二の舞ですので、いい手が思いつくまではひたすらに足さばきを利用して回避です。
中位悪霊は連携していますが、そこまでの作戦立案能力など無いようなので、同じように突撃を繰り返してくるでしょう。
これが高位以上になれば話は別ですが、中位では精々不意打ちくらいかと。
「あ、二の舞っていう表現、弐ノ舞と音が被ってるから使い辛いね?」
<若葉・・・意外と余裕あるコンね・・・>
余裕などありませんとも。
中位悪霊四体の体当たりを回避するだけで一苦労なのですから。
ジリ貧・・・というより、体力が底を突いたらお終いですね。
仕方ありません。
勿体なくはありますが、<低位符>の出番のようです。
コートの内ポケットから<低位符>を三枚ほど取り出し、頃合いを見計らって四体の内三体へ飛ばします。
「・・・<破>ッ!」
<低位符>が三体の中位悪霊に接触するタイミングで三枚とも起爆。
次の瞬間、<低位符>を中心にして直径一メートルの円形空間に衝撃波が発生。
敵にダメージを与えつつ、弾き飛ばすことに成功しました。
この隙に残る一体に・・・!
「壱ノ舞・悠扇!
弐ノ舞・硬扇!」
変幻自在の悠扇で崩し、妖力で硬質化した一撃で大ダメージを与える。
かなりの妖力・・・全体の半分くらいをつぎ込みましたので、一連の攻撃だけで存在を消滅へ追い込むことに成功しました。直ちに白符を飛ばして、封印。
<若葉!右からくるコン!>
「っ、ぐっ・・・!」
体当たりを喰らう寸前に扇を割り込ませて、衝撃を緩和。
おかげ様で、多少腹部にダメージは負いましたが、壁に激突する前に止まることができました。
「ごめんね、フォーン・・・!」
<どうってことないから大丈夫だコン!気にせず幾らでもガードに使うコン!>
いくらフォーンがそう言っても、なるべく使いたくはない手段ですね。
それでも、危機的状況では頼らせてもらいますが。
遠慮して負けてしまっては、元も子もありませんので。
敵が一体減ったことで随分と余裕ができました。
具体的には、色々と考えながら攻撃を回避できるくらいです。
残る妖力は半分を切ったくらいで、これがゼロになると碌に戦えません。精々、普通の人間より少し優れる程度でしょうか。
ですので、なるべく消耗は避けたいところです。
残りの<低位符>は三枚ですが、こちらは必要なら使い切ることも辞さない覚悟です。また集めればいい話ですからね。
「壱ノ舞・悠扇!」
「・・・!」
時折隙を見て攻撃を挟み、少しずつダメージを加算。
一対三ならギリギリ攻撃可能で、一対二になれば更に余裕が増えるでしょう。
しからば、一体減らすことが最優先ということです。
「・・・<烈破>!」
先程封印した、地面に落ちている<中位符>を、敵を誘導した上で起爆。
<中位符>を基点に直径三メートルの球形状(今回は半球)に衝撃波が発生。
巻き込まれた二体の中位悪霊が大きくふっ飛ばされ、目の前に残るは一体だけ。
「一ノ舞・悠扇!
弐ノ舞・硬扇!」
もはや定番となったコンボで存在を消失に追い込み、封印。
先程より流した妖力は少ないので、残り二割はあります。
遠くまで吹き飛ばされていた中位悪霊が戻ってくるのを待って、攻撃再開。
本当は追撃したかったのですが、吹き飛ばされたのが上空では無理です。
なお、中位悪霊までに一定以上の高さを飛行する能力はないと分かっていますので、落ちてくるのを待ちました。
「はぁ、はぁ、壱ノ舞・悠扇!」
「・・・!?」
「弐ノ舞・硬扇!」
その後、二体の中位悪霊を<低位符>一枚を消費して封印することに成功。
「ふぅ、はぁ、疲れた・・・!」
<お疲れ様、若葉。よくあれだけ戦ったコン。初めて三日目だったら普通は死んでいてもおかしくない戦いで、軽い打ち身だけなのは感嘆するしかないコン>
「反省点も多いけど、そう言ってもらえるのは嬉しいな・・・」
地面に座り込みながら、フォーンによるお褒めの言葉を受け取りました。
壁にぶつけた背中と体当たりを受けた腹部が痛みますが、直ぐに直るでしょう。
この体は治癒能力も優れていますから。
流石に重傷ですと簡単には治らないようですが。
「今日は、もう帰ろうかな・・・」
<妖力も残り少ないし、それがいいコン。微妙に残った巡回は明日に回すコン>
「うん・・・この状態でもう一度複数の中位悪霊と遭遇したら、逃げることも出来ずに死んでしまいそうだから、そうするね・・・」
妖符師として生きることを決めたといえども、命を粗末にするつもりはありません。駄目な時は駄目だと素直に引くことも重要です。
本日の結果は・・・<低位符>-四枚、<中位符>+三枚
これって収支としてはどうなんでしょうね?
家に帰ったら妖怪書で確認しておきましょう。
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