妖符師少女の封印絵巻

リュース

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二章 高校入学編

32 営業努力

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「影山さんがご両親のことを引きずっているだろうから上手くサポートしてやってほしい、と校長先生からも言われていましたが・・・そこのところ、どう思っているのか聞いてもいいですか?」

「はい。そうですね・・・最初は呆然自失状態でしたが、今はもう、落ち着いていると思いますよ?あくまでも自己評価ですので、実際のところは分かりませんが」


 勿論悲しいことは悲しいですが、手紙に書いてありました。
 私に幸せになってほしい、と。

 それなのに私が悲しんでばかりいては、両親の方が悲しんでしまいます。
 ですから、ひとしきり泣いた後は悲しむのを止めて、前に進みたいと思います。

 やることは多いですし、大変な日々になりそうですが、充実した日々にもなりそうな予感がしています。


「そうですか・・・。
 今日の様子から予想していましたが、余計なお世話だったようですね」

「いえ、余計ということはありません。純粋な善意からの心配は嬉しいものです」

「・・・影山さん、本当に高校生なんですか?」

「そうでなければここに居ないと思いますが・・・?」


 私が高校生でなければ何だというのでしょうか。
 誰がどう見ても普通の高校生だと思います・・・!


「あ、でも、笹川先生は生徒としても通えるかもしれませんね?」

「・・・影山さん、本当に職員室に来ますか?」

「遠慮させていただきます」


 あまり時間を無駄にするのも嫌ですから、丁重にお断りです。
 早く昼間に働ける店員さんを雇いたいですね・・・。

 あ、でも、これだけは聞いておかなくてはなりません。
 質問の時は聞けませんでしたから。


「ところで先生、一つお聞きしてもよろしいですか?」

「いいですよ?おかしな質問でなければ、ですが」

「いえ、おかしな質問ですけど聞かせてもらいますよ?」

「どうしてですかっ!そこは遠慮してください!」


 そう言われましても、心当たりが無ければ変な質問になりますから。
 心当たりがあったら・・・やはり変に思われますね。


「それでですね・・・」

「影山さんって人の話を聞かないんですね・・・!」

「最近身の回りでおかしなこと・・・怪奇現象とかが起きていませんか?」

「っ・・・!?」


 おや・・・この反応は当たりかもしれませんね。
 あまり自信は無かったので、ちょっと嬉しいです。
 本当は喜んでいいことではないのですけれどね。

 さて、どのように話を展開しましょうか。


「どうして、そんなことを聞くんですか・・・?」

「えっと・・・・・・何となく、そんな気配がしましたので」

「はぁ・・・」


 何とも言えない表情をしていますね。
 もしかして・・・埴輪の真似でしょうか?

 ・・・いえ、違いますね。驚いているだけのようです。


「もしもお困りのことがありましたら、ここまでどうぞ」

「これは名刺・・・『あやかし屋』?如何にもな名前ですね・・・」

「実態は雑貨屋さんですけれどね。一応相談とかも受けていますし、親の代ではそこそこ実績もあります。もうどうしようもないと思いましたら、駄目元でもいいですので、気軽に訪れてください。あ、しばらくは夜間営業になりますのでご注意を」

「・・・分かりました。一応頭の隅に入れておきます」


 どうやら、上手くいったみたいです。
 未来のお客様候補ですね。


「相談無料。解決費用は、状況次第。あやしいお店ではありません、よね・・・?」

「・・・・・・。」

「何故そこで目を逸らして沈黙するんですか!」


 ご指摘はもっともなのですが、あやかし屋が妖しくないと言うのは、どうにもこうにも無理がありますからね。沈黙することしかできませんとも。







 笹川先生に挨拶をして教室を後にしました。
 昇降口まで来ると、そこには凛と凪沙さんが。

 ・・・何か話しているようですので、こっそり近寄ってみましょう。


「それで、凪沙はどうして若葉にさんづけなの?」

「あー、それはね・・・上手く言えないんだけど、その場の雰囲気に呑まれて?」

「確かに凄い人だとは思うけど・・・私にはよく分からないかも」

「あはは・・・。実は私も凛と一緒で、よくわかってないんだよね・・・」


 どうやら私についての話をしているようです。
 ちょっとむず痒いですね。


「ところでさ。凪沙って・・・ツッコミ上手いよね」

「その話はやめてよっ・・・!あれは咄嗟にやっただけなのっ・・・!」

「咄嗟であれだけできるって凄いと思うよ?」

「私もそう思います」

「凛、やめてってばっ・・・・・・え?」


 凪沙さんと凛がこちらを振り向きました。
 流石に会話に加わってしまえば気づかれますよね。


「若葉!?いつからそこに・・・!?」

「凪沙さんが、私のことを呼び捨てで呼びたい、と話していた時からだよ?」

「そんなこと言ってないよっ!!」


 さて、高校一日目は無事に終了です。
 待っていてくれた二人と一緒に帰りましょう。

 これが、普通の学校生活なんですね・・・!




「ねえ若葉、聞いてるのっ!?」

「これは聞いてないね。多分自分の世界に入り込んでるよ」

「せめて誤解が解けてからにしてっ!!」

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