妖符師少女の封印絵巻

リュース

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二章 高校入学編

33 帰りのバスの中で

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 凛と凪沙さんはやはり私を待っていてくれたようです。
 友達っていいものですね・・・。

 そういう訳で、同じバスに乗って帰宅中です。
 降りるバス停は違いますが、方向は同じですからね。


「凛は陸上部に入るんだ・・。私は家のことがあるから帰宅部かなぁ・・・」

「私も凪沙さんと同じになるかな・・・」

「ええーっ!私一人だけなの?ちょっと寂しいなぁ」


 申し訳ありませんが、こればっかりはどうにも・・・。
 凛には悪いけれど、あやかし屋の方を優先したいので。

 それに、入りたい部活もありませんから。


「若葉、余裕が出来たら一緒に陸上、やってみない?」

「私、体を動かすのは苦手だから・・・」

「いやいや、あのバスジャック制圧の手際からして運動神経抜群だと見た!」


 あれは妖力でズルしてましたからノーカウントです。


「やっぱり駄目かぁ・・・。若葉が走ったら絵になると思ったんだけどな」

「あはは・・・確かにそうかも」


 もう・・・そんなお世辞を言っても乗せられませんよ?
 運動神経が悪いのは自覚してますから。


「あっ、そういえばさ、先生とどんな話をしてたの?」

「あ・・・私もそれ、気になるかも・・・?」


 どんな話、といいますと・・・私の事情の話と、後は・・・。


「大体は怪談話だよ?」

「「何故に怪談っ!?」」


 同時に同じことを言われて、ちょっと驚きました。
 ですが、間違ったことは言ってませんよ。


「あ、藤井君は最後通告を言い渡されてた気がします」

「「最後通告!?」」


 次に小さいと言ったら反省文でしたか。藤井君も大変ですね。
 多分、忘れた頃にまた言うと思います。

 あれ・・・?最終通告でしたっけ?
 まあ、どちらでもいいでしょう。

 大事なのは藤井君に後が無いという事実です。


「ねぇ凪沙、やっぱり若葉って天然なの?」

「うーん・・・多分? 普段は聡明なのに、どうしてこうなるんだろう・・・?」


 二人が物凄く小さな声で何かをヒソヒソ話しています。
 これを聞こうとするのは無粋でしょうね。

 ここは・・・我慢の時です。


「結論としては、若葉は若葉ということだね」


 凛によく分からない結論を出されたようで・・・どういう意味かな?


「ところで・・・私、気になる男性が居るんです・・・」

「「・・・・・・ええええええっ!?」」


 二人とも、バスの中で叫んだら迷惑だよ?


「だ、だ、だ、誰なのっ、若葉!?」

「若葉さんからそんな話が出るって・・・凄く意外だよ・・・」


 驚きから一転、今度は興味津々の様子。
 目を輝かせて私の答えを待っていますね。

 ・・・輝かせ過ぎではないでしょうか?


「えっと、裏庭にある桜の木の上で眠ってた方で・・・とても不思議な方でした」

「おおーっ、ロマンチックな出会い!それでそれで?」

「それで・・・少しだけお話したのですが、お名前を尋ね忘れてしまいました」

「うーん・・・それだけじゃ分からないねぇ・・・」


 凛がそう言いつつ考え込んでいると、今度は凪沙さんから質問が。


「その人はどんな容姿だったの? それと、二組には居なかったの?」

「うん、二組には居なかったよ? 容姿は・・・肩に届くくらいの長さの黒髪で、中性的なお顔でしたね。恐らく新入生かと」

「それは特徴的だね。直ぐに見つかるんじゃないかな?」

「そうだといいんだけど・・・」


 また今度、裏庭に行ってみようかな・・・?


「それでっ、見つけたらどうするのっ?」

「名前をお聞きして、友達になろうかと思います」

「「・・・・・・へ?」」


 何故そのような間の抜けた顔をするのでしょうか?
 別におかしなことなど言ってませんよね?

 あの男性とは気が合いそうですし、是非友達になりたいんです。


「友達、友達・・・ああ、そういうことだったんだ・・・勘違いだったみたいだね」

「てっきり、若葉が恋煩いでもしてるのかとばかり・・・!」

「ふえっ・・・!?」


 恋煩い・・・?
 いえ、そんなのじゃありませんよ?
 別に彼のことを異性として好いている訳ではありませんし・・・。

 ちょっと気になるというだけで、恋とは無関係です。
 第一、恋なんてしたことありませんし、よく分かりませんから。


「二人とも、それは違うからね?」

「うんうん、さっきの反応で誤解だと分かったから大丈夫」

「あはは・・・恥ずかしい勘違いだったよ・・・」


 どうやら、分かってもらえたようで何よりです。
 勘違いされたままだと恥ずかしいですからね・・・。

 それにしても、凛も凪沙さんも・・・。


「凛も凪沙さんも、意外とそういうお年頃なんだね?」

「「ちょっ!?」」


 二人は揃って顔を赤くしました。
 ちょっとした仕返しですから、甘んじて受けてくださいね?

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