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二章 高校入学編
50 死闘を終えて
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私は・・・暗闇の海を漂っていました。
この感覚は、つい先日の<上位符変換>で味わったものと同じですね。
今回もまた、声が聞こえてくるような気がします。
「古の大妖怪の封印が――――か。だが、俺たち――――だな」
「ええ。でも――――し、きっとあの―――――よ。だから、私たちは――――」
相変わらず頭の中に直接入ってくるような感じで、殆ど情報が手に入りません。
でも、悪いものでは無いような、そんな気がします。
何の根拠もないただの直感ですけどね。
それにしても、二度目ともなると、ただの夢と結論付けるのは無理があります。
これは一体――――
「・・・・・・痛っ!?」
目を覚ますと、私はベッドの上で横になっていました。
そして、体を動かそうとしたところで、激しい痛みに呻いてしまいました。
自らの体を見ると、体の至るところに包帯が巻かれています。治療の仕方は知らせておきましたが、余計な処置はされなかったようで何よりです。
時刻は太陽の位置からして正午くらい。
私は半日ほど眠っていたようですね。
ここは病院のベッドのようで・・・事前にお願いしてあった通り、キッチリ私を回収してくれたらしいですね。苦労をお掛けしました、柴田さん。
フォーン・・・<多尾幻扇>は・・・すぐ傍に置かれていました。
緑色の<妖符>も一緒ですね。
コートは部屋の隅に掛けられていましたのですぐに分かりました。
「完治まで、どれくらいかかるかなぁ・・・?」
<若葉、起きたコン!?二日以上眠りっぱなしだったから心配したコン・・・!>
「・・・・・・え?」
・・・どうやら、半日ではなく、二日と半日だったようです。
と、いうことは・・・今日は月曜日。
高校、無断欠席してしまいましたね・・・あはは。
・・・・・・はぁ。勉強の遅れ、取り戻せるかなぁ・・・?
いえいえ、今は生き延びたことを喜びましょう・・・!
暗くなっていては傷に障るかもかもしれませんからっ・・・!
とりあえず、フォーンの召喚を解除しましょう。
丸二日も召喚したままでしたので、とても消耗しているでしょうし。
あの時は召喚解除の余裕すらなかったもので・・・。
「――――そういう訳で、全治二日といったところですね。親子揃って驚異的な回復力ですよ、本当に」
「そうか。ご苦労だった。もう下がってくれていいぞ」
「かしこまりました。若葉さん、お大事にどうぞ」
「はい。ありがとうございました」
医師の方は会釈をして、病室から出ていきました。
何でも、ここは一般には公開されてない極秘病棟らしく、その存在を知る者は殆ど居ないそうです。そんなものが実在したんですねぇ・・・。
なんと、私の両親もお世話になったことがあるそうです。
あの二人にも駆け出しの時期があったんですね。
当然といえば当然なのですが、その事実に少しだけ胸が温かくなります。
「柴田さん、病院への搬送と機材等の回収、ありがとうございました」
「いや、気にしないでくれ。情けない話、私にはその程度のことしかできないのだからな・・・。しかし、生きててくれてよかったよ・・・!」
「はい。私も嬉しいです。助かるかどうか微妙なところでしたから・・・」
特に、最後の舞。
裏・多尾幻扇『肆ノ舞・地獄降扇』は、完全な自爆技です。
加減を間違えれば、生存するために必要な最低限の生命力でさえ解き放ってしまうのですから。危険などというものではありませんね。
フォーンが私に隠しておくわけです。
決戦の直前に渋々ながら教えてくれたので、それに救われた結果です。
直前に、といえば、妖力を集中させて防御するという行為ですが、あれも直前で防御する場所を少し変更したんです。
実際に戦ってみて、より正確な情報が手に入りましたからね。
もっとも、やはり賭けに違いはありませんでしたが。
「ところで、私の体のことなのですが・・・」
「ああ、安心してくれ。秘密は厳重に守らせてもらう。ここの者たちはみんな咲夜さんと紅葉さんに恩があるから、君に害を為すような真似はしない」
「そうですか。それを聞いて安心しました・・・」
下手したら実験動物ですからね。
それだけは勘弁願いたいところです。
先程の医師の方の様子からして、それほど心配はしていませんでしたが。
「それと、学校の方に連絡を――――」
「それもこちらで手を回しておいた。公欠扱いになるから、安心してくれ」
「そこまでして頂けるとは・・・ありがとうございます」
「これくらい大したことはないさ。なに、上の方に色々と伝手があるのでね。もっとも、その伝手も咲夜さんと紅葉さんのおかげでできたものなんだがな」
それでも、柴田さんの努力なくして、その人脈はつくれなかったでしょう。
もっと誇っていいことだと思います。
「柴田さん、もっと自信を持ってください? 父親がそんな自信なさげでは、子供さんが可哀そうですよ?」
「・・・ありがとう。若葉君は、本当にあの二人によく似ているな」
そう言ってもらえると、とても嬉しいです。
私にとっては、これ以上ない誉め言葉ですね。
この感覚は、つい先日の<上位符変換>で味わったものと同じですね。
今回もまた、声が聞こえてくるような気がします。
「古の大妖怪の封印が――――か。だが、俺たち――――だな」
「ええ。でも――――し、きっとあの―――――よ。だから、私たちは――――」
相変わらず頭の中に直接入ってくるような感じで、殆ど情報が手に入りません。
でも、悪いものでは無いような、そんな気がします。
何の根拠もないただの直感ですけどね。
それにしても、二度目ともなると、ただの夢と結論付けるのは無理があります。
これは一体――――
「・・・・・・痛っ!?」
目を覚ますと、私はベッドの上で横になっていました。
そして、体を動かそうとしたところで、激しい痛みに呻いてしまいました。
自らの体を見ると、体の至るところに包帯が巻かれています。治療の仕方は知らせておきましたが、余計な処置はされなかったようで何よりです。
時刻は太陽の位置からして正午くらい。
私は半日ほど眠っていたようですね。
ここは病院のベッドのようで・・・事前にお願いしてあった通り、キッチリ私を回収してくれたらしいですね。苦労をお掛けしました、柴田さん。
フォーン・・・<多尾幻扇>は・・・すぐ傍に置かれていました。
緑色の<妖符>も一緒ですね。
コートは部屋の隅に掛けられていましたのですぐに分かりました。
「完治まで、どれくらいかかるかなぁ・・・?」
<若葉、起きたコン!?二日以上眠りっぱなしだったから心配したコン・・・!>
「・・・・・・え?」
・・・どうやら、半日ではなく、二日と半日だったようです。
と、いうことは・・・今日は月曜日。
高校、無断欠席してしまいましたね・・・あはは。
・・・・・・はぁ。勉強の遅れ、取り戻せるかなぁ・・・?
いえいえ、今は生き延びたことを喜びましょう・・・!
暗くなっていては傷に障るかもかもしれませんからっ・・・!
とりあえず、フォーンの召喚を解除しましょう。
丸二日も召喚したままでしたので、とても消耗しているでしょうし。
あの時は召喚解除の余裕すらなかったもので・・・。
「――――そういう訳で、全治二日といったところですね。親子揃って驚異的な回復力ですよ、本当に」
「そうか。ご苦労だった。もう下がってくれていいぞ」
「かしこまりました。若葉さん、お大事にどうぞ」
「はい。ありがとうございました」
医師の方は会釈をして、病室から出ていきました。
何でも、ここは一般には公開されてない極秘病棟らしく、その存在を知る者は殆ど居ないそうです。そんなものが実在したんですねぇ・・・。
なんと、私の両親もお世話になったことがあるそうです。
あの二人にも駆け出しの時期があったんですね。
当然といえば当然なのですが、その事実に少しだけ胸が温かくなります。
「柴田さん、病院への搬送と機材等の回収、ありがとうございました」
「いや、気にしないでくれ。情けない話、私にはその程度のことしかできないのだからな・・・。しかし、生きててくれてよかったよ・・・!」
「はい。私も嬉しいです。助かるかどうか微妙なところでしたから・・・」
特に、最後の舞。
裏・多尾幻扇『肆ノ舞・地獄降扇』は、完全な自爆技です。
加減を間違えれば、生存するために必要な最低限の生命力でさえ解き放ってしまうのですから。危険などというものではありませんね。
フォーンが私に隠しておくわけです。
決戦の直前に渋々ながら教えてくれたので、それに救われた結果です。
直前に、といえば、妖力を集中させて防御するという行為ですが、あれも直前で防御する場所を少し変更したんです。
実際に戦ってみて、より正確な情報が手に入りましたからね。
もっとも、やはり賭けに違いはありませんでしたが。
「ところで、私の体のことなのですが・・・」
「ああ、安心してくれ。秘密は厳重に守らせてもらう。ここの者たちはみんな咲夜さんと紅葉さんに恩があるから、君に害を為すような真似はしない」
「そうですか。それを聞いて安心しました・・・」
下手したら実験動物ですからね。
それだけは勘弁願いたいところです。
先程の医師の方の様子からして、それほど心配はしていませんでしたが。
「それと、学校の方に連絡を――――」
「それもこちらで手を回しておいた。公欠扱いになるから、安心してくれ」
「そこまでして頂けるとは・・・ありがとうございます」
「これくらい大したことはないさ。なに、上の方に色々と伝手があるのでね。もっとも、その伝手も咲夜さんと紅葉さんのおかげでできたものなんだがな」
それでも、柴田さんの努力なくして、その人脈はつくれなかったでしょう。
もっと誇っていいことだと思います。
「柴田さん、もっと自信を持ってください? 父親がそんな自信なさげでは、子供さんが可哀そうですよ?」
「・・・ありがとう。若葉君は、本当にあの二人によく似ているな」
そう言ってもらえると、とても嬉しいです。
私にとっては、これ以上ない誉め言葉ですね。
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