妖符師少女の封印絵巻

リュース

文字の大きさ
51 / 91
二章 高校入学編

51 エピローグ1

しおりを挟む
 お見舞いに来た柴田さんも帰り、病室には私だけが残されました。

 傷が完全に治るまであと二日。
 それまでのんびりとお昼寝・・・というわけにもいきません。

 明日の火曜日と明後日の水曜日は高校を休むことになりますが、先週の木曜日からずっと休み続けているので、少しでも勉強の遅れを取り戻さねばなりません。

 緑の<妖符>についても確認したいところですが、それは後回しになりそうです。

 では、スマホで凪沙さん辺りに連絡です。
 一週間でどれくらい進んだのかを尋ね・・・あれ?

 ・・・メールと着信記録が一杯です。

 こんなに沢山連絡があるなんて、初めての経験です。
 以前は携帯など目覚ましにしか使っていなかったというのに・・・嬉しいです!

 ・・・いえ、そうではなく。

 随分と心配を掛けてしまったようですね。
 昨日あたりのメールは、何と言いますか、こう・・・とても悲痛そうです。
 二人とも『あやかし屋』を訪れたのに留守だったとの旨も記されていました。

 そして、つい先ほどのメールでは、学校側に私のことを尋ねたものの、何一つ教えてもらえなかったと記されています。

 全体を通して、今どこで何をしているのか、と問われています。

 これ、どうしましょうね・・・?
 返信したらすぐにでも電話が掛かってきそうな気がしますが、流石に電話は無理ですので、その旨を載せてることは必要不可欠でしょう。

 あとは・・・木曜日から高校に復帰するので進んだ範囲を尋ねましょう。

 では、送信です。


 ・・・一分も経たずに二人から返信がきました。早過ぎだと思います。
 スマホの前で待機でもしていたのですか?

 ・・・凪沙さんと凛がスマホをじっと見つめている様子を想像して、ついつい笑いが零れました。
 ああ・・・傷に響いて痛いです・・・!
 でもとっても幸せな気分です・・・!

 このあと何故か、念のため頭の検査をすることになったのですが、何故ですか?
 私、どこもおかしくありませんよ?


 肝心のメール内容ですが、私のことを心配する旨が長々と・・・。

 そして、なにも言わずに連絡を絶ったことを少し怒られました。
 不可抗力だと説明したら分かってくれたようですけど。

 なお、どこで何をしていたのかは秘密ということで通しました。
 知らない方が幸せなことってありますから。
 悪霊や妖怪の恐怖に怯えるのは私だけで充分です。

 それで、一週間で進んだ範囲に対する回答が無いのですけど・・・?

 仕方ないので、もう一度聞きましょうかね。
 おっちょこちょいな二人ですね。ふふふっ。


 夜になると随分と痛みが治まったので、勉強を開始。
 その最中にふと思いました。

 結局、負の感情を発し続けていたのはどこの誰なのでしょうか?
 逆恨みの類いでしたら、是非とも一発殴らせてください。








 ▽▽▽



 鳥居町の某所にて、かつて警察官を務めていた男が居た。


「キヒヒッ! アヒャヒャヒャヒャッ! 女っ、ガキ、殺すッ!!
 正当防衛ッ! 公務執行妨害ッ! 正義の断罪ッ! ヒヒィッ!!」


 その声からは完全に正気が失われており、目は狂気の色を宿している。
 その状態はをまともだとは、口が裂けても言えない。

 逆恨みで若葉に対する負のエネルギーを発し続けていたために、妖怪<鎌鼬>に目を付けられた者の末路。
 とり憑かれて負の感情を増幅させられた上に、増幅した分を全て<鎌鼬>に持って行かれたのだ。

 負の感情の増幅と奪取、そのやり方が雑だった為に、死ぬことも出来ずおかしな方向に振り切れてしまっている。
 ここから元通りになることは・・・まず、無い。

 その男、かつて伊藤という名字を持っていたもと警察官は、人の身のまま悪霊へと変化しようとしていた。

 果たして、その行く末は・・・?



 △△△



 ・・・何か、おぞましい寒気を感じた気がしましたが、気のせいでしょうか?

 と、もう夜中ですね。
 怪我の治りを早める為にも、勉強は切り上げて眠りましょう。

 明日も起きたら勉強です。








 そして二日が過ぎ、水曜日の夜。ようやく退院することができました。
 友人やお客さん、方々に迷惑を掛けてしまいましたね。

 柴田さんの車で家まで送って頂いて、あやかし屋に到着。


「夜遅くなのに、わざわざ送らせてしまって申し訳ありませんでした」

「気にしないでくれ。あそこからだとバスで帰るのも大変なのでな。では、私はこれで失礼するよ。今回は、本当にご苦労様」

「はい。柴田さんも、ご苦労様でした」


 そう挨拶を済ませると、柴田さんはそそくさと車に乗って去っていきました。
 これから温かい家庭に帰るのでしょう。

 本当に申し訳ないことをしてしまいましたね・・・。


 さて、それでは早いうちに寝て・・・おや?
 どうやらお客さんのようですね。

 こんな時間にどなたでしょうか・・・?

しおりを挟む
感想 105

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】 世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。 「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。 ・神話級ドラゴン  ⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺) ・深淵の邪神  ⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決) ・次元の裂け目  ⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い) 「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」 本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……? 「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー! 【免責事項】 この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。 ※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...