妖符師少女の封印絵巻

リュース

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三章 水の怪異編

54 久しぶりの高校

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 咲良さんから扇(店売り)を受け取り、バスに乗って登校。
 ほんの一週間しか経っていないのに、随分と久しぶりに感じます。

 学校に着いて教室に入ると、何者かが飛びかかってきました。


「若葉ーっ!」


 地味に危険ですので歩法を用いつつ一歩右にズレて回避します。


「え、ちょっ、なっ!?」


 飛びかかってきた人がつんのめって転び・・・そうなところで受け止めます。
 正体が凛だと分かったので、転ばせる訳にはいきません。


「おはよう凛。何も無いところで転ぶなんてどうしたの?」

「若葉が避けたからだけど!? というか、どんな避け方したの!突然消えたように見えたんだけど!?」

「あ、凪沙さん、おはようございます」

「聞いてないし!」


 凪沙さんも近づいてきたので挨拶をしておきました。
 それと、いつまでも抱き合っているのは恥ずかしいので凛を立たせます。


「あはは・・・おはよう、若葉さん。何か、変わらないね・・・?」

「うん。私はいつも通り、どこにでもいる高校生だものっ・・・!」

「「「「「嘘だっ!!」」」」」


 教室中から一斉にそんな声が。
 今日も皆さん、大変仲が良いですね。


「はは・・・あのね、若葉さん。何の前触れも無く失踪して、なおかつその間は公欠扱いなんて、間違いなく普通の高校生じゃないんだよ?」

「私が普通だと思っていれば普通なんですっ・・・!」

「それなんて暴論っ!?」


 はい。普通普通と言い聞かせていれば、皆普通なのだと思い込んでくれます。
 ですから、私は普通の高校生です。


「・・・公欠、取り消してもらおうかな?」

「やっぱり普通じゃなかった!何で若葉さんにそんな選択肢があるの!?」

「あの、治りかけの傷が痛むので、肩を掴むのは・・・」

「あわわっ、ゴメンっ・・・!!」


 いえ、外傷はもう殆ど治っているのですけどね?
 けれど、多少内部の痛みは残っていますので・・・。

 傷跡は・・・少しだけ残りましたが、服に隠れて見えないので大丈夫です。


「・・・ねぇ若葉。そんな大怪我をするような用事だったの・・・?」

「・・・・・・さて、予習でもしようかな?」

「無視!?」


 凛が何か言ってますが、生憎と話せることなどありませんから。
 

「あ、凪沙さん、数学のことでお話が―――」











「笹川先生は可愛らしかったと思いますよ?」

「誰がそんなことを言えと言ったんですか!私が聞いたのは、今日一日を終えての感想ですっ!主に勉強面についてのっ!」


 そんなことを言われても・・・あの聞き方では誤解しても仕方ないかと。

 なにせ、「今日一日・・・(先生の様子は)どうでしたか?」ですからね。
 それも、頬を染めながら躊躇いがちに。

 これで間違えるなという方が無理です。


「勉強の方は問題ありませんでした。入院中・・・仕事中にもやりましたから」


 入院のことは秘密でしたね。
 危うくバレるところでした。


「・・・影山さん、いま、入院とか言いませんでしたか?」

「・・・気のせいだと思います」

「そんな訳がないでしょう!?どうしてそんな無理な誤魔化し方をするんです!誤魔化すならせめて、もっと分かり辛くしてください!」

「はいっ・・・!先生の教えに従って、もっと上手な誤魔化し方を覚えます・・・!そして将来、その恩師として笹川先生の名前を―――」

「やめてくださいっ!何の嫌がらせですかそれはっ!?」


 どうやら名前が広まるのは嫌なようです。
 謙虚な方ですね・・・。

 でも、その教えは絶対に忘れません。


「はぁ・・・。上から詮索を禁じられていますし、これ以上は聞きません」

「聞く分には構いませんよ?答えませんけれど」

「・・・もういいです。話は終わりですから、帰っていいですよ」

「・・・もう少しお話ししませんか?」

「何でですかっ!?先週は少しでも早く帰りたそうにしていましたよね!?」


 私、もう急いで帰る必要が無いんです。
 咲良さんが頑張ってくれていますからね。

 特に今日は最初の一日。
 なるべく咲良さん一人に任せたいところなんです。

 ですから・・・


「笹川先生、日が暮れるまで一緒にお話ししましょう」

「お断りします!私にも仕事がありますからっ!」

「では、仕事のお手伝いをしましょう」

「生徒に仕事を手伝わせる教師がどこに居るんですかっ!駄目に決まってます!」


 ダメ元でしたが、やはり駄目なようです。
 諦めて、素直に帰ることにしましょう。


「では、これで失礼します」

「ええ。お疲れ様でした・・・はぁ。また明日元気に学校に来てくださいね?」

「・・・・・・」

「どうして目を逸らすんですかっ!そんなに明日をも知れない身なんですか!?」


 はい。<妖符師>なんてやっていれば、いつ死んでもおかしくは・・・あれ?


 今なにか・・・自分の心の声に違和感を覚えたんですが、何なのでしょう?

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