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三章 水の怪異編
55 初めての依頼人
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あやかし屋に帰ってくると、咲良さんが接客中でした。
「あ~すまんがあれをもらえんかのぅ。ほら、あれじゃよ、あれ」
「へっ?あれ、ですか?えっと、メモメモ・・・あ、これですね!」
「おお、それじゃよそれ」
私の残したメモが役に立っているようで何よりです。
必要になるだろうことは大抵書き記してありますので、咲良さんが困ることは早々無いでしょう。
強いて言うなら、依頼関連ですかね。
「あっ、若葉お姉さん!お帰りなさい!」
「はい、只今帰りました、咲良さん。同い年なのですからお姉さんというのも変な感じなのですが・・・」
「すみません・・・どうしてもお姉さんと呼んでしまう癖が抜けず・・・」
「ああ、いえ。別に構いませんよ?嫌という訳でもありませんので」
咲良さんに姉のような存在として慕われるのは嬉しいですからね。
「と、咲良さんはそろそろ上がってください。夜間の部が始まりますから」
「はい!こちらが今日の記録です!では、失礼します!」
「はい。お疲れ様でした」
咲良さんは私に記録を渡すと、割り当てられた部屋へ向かいました。
とてもウキウキして見えるのは気のせいではないでしょう。
・・・本当に楽しみにしていたのでしょうね。
それで、今日の記録は・・・売り上げが多めですね。
数日間、店を閉めていたのが理由でしょうか。
臨時休業が多いことは周知の事実ですが、やはり申し訳なさはありますね。
お守りの売り上げも上々。
今日は『悪霊退散のお守り』二つ売れています。
口コミで噂が広がっているようですね。
そして・・・電話での依頼が一件ですか。
これは初めてのことですね。
咲良さんの対応は、今日この後にここでアポイントですか。
伝えておいた通りにやってくれたみたいですね。
仕事を覚えるのも早いですし、大変優秀で素晴らしいです。
それで、依頼人の方のお名前は・・・・・・おや?
その日の夜、咲良さんが高校へ向かった後、依頼人の方が店を訪れました。
「以前も名乗りましたが、私は白石海斗です。その節は先輩がご迷惑を・・・」
「いえ、白石さんに思うところはありませんから」
今回の依頼人である彼、白石海斗さんは、警察官。
以前、病院の窓ガラス破壊事件(仮称)の時にこの店を訪れた方です。
一緒に訪れて無礼をはたらいた・・・何とかという警察官を止めてくれたのは記憶に新しいですね。警察署にて署長さんを呼んでくれた人でもあります。
もう一人の名前は・・・忘れました。
全くと言っていいほど思い出せませんが、どうでもいいですね、そんなことは。
今回は柴田さんの紹介で『あやかし屋』を訪れたそうです。
基本は紹介制ですからね。
そして、依頼内容は・・・
「それで、ですね・・・こんな話、余所ではし辛いんですが、うちのアパートに、出るんです・・・幽霊が」
「なるほど・・・。詳しい話をお聞かせください」
「はい・・・。あれは確か・・・一週間前のことで―――」
▽▽▽
「はぁ~今日も疲れた。でも、あの先輩が居なくなったおかげで、肩が軽いな」
俺、白石海斗は借りているアパートの一室に帰ってきた。
いつもよりも少し遅い帰りなのには、少し事情がある。
実は、コンビを組んで・・・組まされていた先輩警察官がクビになったのだ。
気の毒な話だが、正直せいせいした。
あの人は我が儘で傲慢、何故警察官なのか分からないような男なのだ。
先日も、署長からの指示で丁重にお連れしようとした捜査協力者の女性に対して失礼千万な態度をとった。幾ら何でもあれはないだろう。
けれど、自分は一応後輩なので、強くは言えなかった。
あの女性には本当に申し訳ないことをしたな。
もっとも、その時については何も心配など要らなかったのだが。
あの男がその女性にひっくり返らされた時は、心底驚いた。
「ふぅ・・・風呂でも入ってさっさと寝ようか」
先輩がクビになったことでドタバタして、少し忙しいのが今の状況。
だが、以前より余程充実した日々だ。
あの女性には感謝だな。
でも、一体何者なのだろうか?
署長も詳しくは話してくれなかったが、かなりの慌てようだったし。
何処かのお偉いさんの娘さんなのかね?
それに、ああ見えてまだ高校生になったばかりって・・・それを聞かされた時は顎が外れるかと思った。普通に大学生か、下手したら社会人かと思ってたし。
俺は二十四歳だが、年の差は殆ど無いものと・・・。
実際は八歳差だったけども。
正直、かなり美人で、俺もあんな恋人がほしいと思ってしまった。
まあ、彼女が恋人になったら間違いなく尻に敷かれるけどな!
そんな邪な思考を頭から振り払い、風呂に入った。
そして、あとはもう寝るだけという時にそれは起こった。
カタカタカタカタカタカタ・・・。
「・・・ん?何の音だ?地震で食器でも揺れて――――」
ガタガタガタガタガタッ!!
「うわあああっ!!な、な、な・・・!」
地震が起きたわけでもないのに、突如部屋中の物が揺れだした!
それも、ただ揺れているだけじゃない!微妙に浮いている・・・!
こ、これ、ポルターガイストってやつか!?
俺は転げるように家を飛び出して、同僚の家に泊めてもらった。
警察官ではあるが、幽霊の類は専門外なんだっ!
△△△
「それで、それから同じことが何日も続いて困り果てていたところ、署長が相談に乗ってくれまして・・・」
「・・・そして、このあやかし屋を訪れたということですね」
お話は分かりました。
ただ・・・どうしても話したくないこと以外、その時に思っていたことなども全て正直に話すように言っておいてなんですが、少々余計な情報が混じっていますね。
特に、私に対する評価やら何やらは要りませんでした。
とはいえ、依頼人の方に情報を取捨選択させるのは難しいですから・・・。
この辺は経験不足ですね。
精進あるのみです。
「あ~すまんがあれをもらえんかのぅ。ほら、あれじゃよ、あれ」
「へっ?あれ、ですか?えっと、メモメモ・・・あ、これですね!」
「おお、それじゃよそれ」
私の残したメモが役に立っているようで何よりです。
必要になるだろうことは大抵書き記してありますので、咲良さんが困ることは早々無いでしょう。
強いて言うなら、依頼関連ですかね。
「あっ、若葉お姉さん!お帰りなさい!」
「はい、只今帰りました、咲良さん。同い年なのですからお姉さんというのも変な感じなのですが・・・」
「すみません・・・どうしてもお姉さんと呼んでしまう癖が抜けず・・・」
「ああ、いえ。別に構いませんよ?嫌という訳でもありませんので」
咲良さんに姉のような存在として慕われるのは嬉しいですからね。
「と、咲良さんはそろそろ上がってください。夜間の部が始まりますから」
「はい!こちらが今日の記録です!では、失礼します!」
「はい。お疲れ様でした」
咲良さんは私に記録を渡すと、割り当てられた部屋へ向かいました。
とてもウキウキして見えるのは気のせいではないでしょう。
・・・本当に楽しみにしていたのでしょうね。
それで、今日の記録は・・・売り上げが多めですね。
数日間、店を閉めていたのが理由でしょうか。
臨時休業が多いことは周知の事実ですが、やはり申し訳なさはありますね。
お守りの売り上げも上々。
今日は『悪霊退散のお守り』二つ売れています。
口コミで噂が広がっているようですね。
そして・・・電話での依頼が一件ですか。
これは初めてのことですね。
咲良さんの対応は、今日この後にここでアポイントですか。
伝えておいた通りにやってくれたみたいですね。
仕事を覚えるのも早いですし、大変優秀で素晴らしいです。
それで、依頼人の方のお名前は・・・・・・おや?
その日の夜、咲良さんが高校へ向かった後、依頼人の方が店を訪れました。
「以前も名乗りましたが、私は白石海斗です。その節は先輩がご迷惑を・・・」
「いえ、白石さんに思うところはありませんから」
今回の依頼人である彼、白石海斗さんは、警察官。
以前、病院の窓ガラス破壊事件(仮称)の時にこの店を訪れた方です。
一緒に訪れて無礼をはたらいた・・・何とかという警察官を止めてくれたのは記憶に新しいですね。警察署にて署長さんを呼んでくれた人でもあります。
もう一人の名前は・・・忘れました。
全くと言っていいほど思い出せませんが、どうでもいいですね、そんなことは。
今回は柴田さんの紹介で『あやかし屋』を訪れたそうです。
基本は紹介制ですからね。
そして、依頼内容は・・・
「それで、ですね・・・こんな話、余所ではし辛いんですが、うちのアパートに、出るんです・・・幽霊が」
「なるほど・・・。詳しい話をお聞かせください」
「はい・・・。あれは確か・・・一週間前のことで―――」
▽▽▽
「はぁ~今日も疲れた。でも、あの先輩が居なくなったおかげで、肩が軽いな」
俺、白石海斗は借りているアパートの一室に帰ってきた。
いつもよりも少し遅い帰りなのには、少し事情がある。
実は、コンビを組んで・・・組まされていた先輩警察官がクビになったのだ。
気の毒な話だが、正直せいせいした。
あの人は我が儘で傲慢、何故警察官なのか分からないような男なのだ。
先日も、署長からの指示で丁重にお連れしようとした捜査協力者の女性に対して失礼千万な態度をとった。幾ら何でもあれはないだろう。
けれど、自分は一応後輩なので、強くは言えなかった。
あの女性には本当に申し訳ないことをしたな。
もっとも、その時については何も心配など要らなかったのだが。
あの男がその女性にひっくり返らされた時は、心底驚いた。
「ふぅ・・・風呂でも入ってさっさと寝ようか」
先輩がクビになったことでドタバタして、少し忙しいのが今の状況。
だが、以前より余程充実した日々だ。
あの女性には感謝だな。
でも、一体何者なのだろうか?
署長も詳しくは話してくれなかったが、かなりの慌てようだったし。
何処かのお偉いさんの娘さんなのかね?
それに、ああ見えてまだ高校生になったばかりって・・・それを聞かされた時は顎が外れるかと思った。普通に大学生か、下手したら社会人かと思ってたし。
俺は二十四歳だが、年の差は殆ど無いものと・・・。
実際は八歳差だったけども。
正直、かなり美人で、俺もあんな恋人がほしいと思ってしまった。
まあ、彼女が恋人になったら間違いなく尻に敷かれるけどな!
そんな邪な思考を頭から振り払い、風呂に入った。
そして、あとはもう寝るだけという時にそれは起こった。
カタカタカタカタカタカタ・・・。
「・・・ん?何の音だ?地震で食器でも揺れて――――」
ガタガタガタガタガタッ!!
「うわあああっ!!な、な、な・・・!」
地震が起きたわけでもないのに、突如部屋中の物が揺れだした!
それも、ただ揺れているだけじゃない!微妙に浮いている・・・!
こ、これ、ポルターガイストってやつか!?
俺は転げるように家を飛び出して、同僚の家に泊めてもらった。
警察官ではあるが、幽霊の類は専門外なんだっ!
△△△
「それで、それから同じことが何日も続いて困り果てていたところ、署長が相談に乗ってくれまして・・・」
「・・・そして、このあやかし屋を訪れたということですね」
お話は分かりました。
ただ・・・どうしても話したくないこと以外、その時に思っていたことなども全て正直に話すように言っておいてなんですが、少々余計な情報が混じっていますね。
特に、私に対する評価やら何やらは要りませんでした。
とはいえ、依頼人の方に情報を取捨選択させるのは難しいですから・・・。
この辺は経験不足ですね。
精進あるのみです。
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