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三章 水の怪異編
56 状況から推理
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しかし、ポルターガイスト、ですか・・・。
霊的現象としてはメジャーですが、今時少ないんですよね。
確かに悪霊は、現世の存在へ物理的に干渉するのは難しいです。
それが物理的ダメージとなれば尚更に。
ですから、少しずつ精神を蝕んだり、間接的に体へ異常を与えていく訳です。
そういう意味では、人ではなく物に干渉するポルターガイストという現象は、理にかなっているというか、やりやすい手と言えます。
ですが、まあ・・・やはり最近では珍しいです。
その理由は諸説ありますが、時代に合わないというのが有力ですね。
その現象自体が古い話になったため、悪霊もそれをやろうとはしないんです。
悪霊とはいえ、元は人間ですから、そういった感覚は持ち合わせてます。
つまり、今回の現象は原因となる悪霊、その元となる霊が古い存在である可能性が高いと思われます。
それがどうした、と思われるかもしれませんが、大事なことです。
何故そんな古い霊が今更そこで悪さをするのか、となりますから。
初めから悪霊だったのではない霊が悪霊となるには負の感情の蓄積が必要です。
場所自体に曰くがあるなら、その古い霊はもっと早くに悪霊化しているはず。
場所に干渉できる以上、古くからその場所に居るのは確かですから。
この辺りの話はややこしいですね。
一般的な霊の在り方と、<妖符師>の見る霊の在り方が重なって、それらが更にごちゃ混ぜになっているような感じですから。
一般的な悪霊 =恨みを残して死んだ人間が顕現した存在
人間の行いに、写真に写り込むなどして警告することもある
妖符師的な悪霊=負の感情が霊に蓄積して誕生する存在
初めから悪霊なのではない
という認識ですよね、ええ。
今回の場合、一般的な悪霊論から言えば、分かることは三つ。
1、その霊の元となる人間は恨みを持って死んだ訳ではない
2、初めから悪霊だったのではない
3、その場所で何かが起きたことにより霊の元となる人が死んだのではない
これらは、現象が最近起きたことから言えることですね。
妖符師的な悪霊論から言えることも三つ。
1、ポルターガイストという現象から推測するに、古い霊による仕業である
2、悪霊化したのが最近であることから、場所自体に曰くは無い
3、2より、つい最近、あるいは現在進行形で負の感情の蓄積が起きている
以上のことと、白石さんの話、そのマンションがそれなりに前にできたものであることを総合し、推測できるのは、以下のこと。
1、マンションが出来る以前に問題は無い(霊の元となる古い人の悲劇など)
2、マンション建設時に問題は生まれていない(墓石の破壊など)
3、現在負の感情が急激に蓄積されるような非常事態が建物内で発生している
1と2は、古い霊の仕業かつ最近現象が起き始めたことから分かります。
1と2が誤りだと仮定するなら、現象は以前から起きているはずですから。
3については、何の関係も無い白石さんの部屋の霊にまで影響を与え、しまいには悪霊化して怪奇現象を起こしたことから推測しました。
結論を述べるならば・・・もう少し聞き取りが必要ですね。
「白石さんの住まわれているマンションで、最近怪しい行動をとっている人は居ませんか?挙動不審だったり、急に羽振りがよくなったり・・・」
「へ? ・・・そういえば、下の階に住んでいる夫婦が最近離婚したとかで、妻の方が出て行ったんですけど・・・夫の方が挙動不審でしたね」
夫婦、離婚、挙動不審・・・考えられるとすると、大きく分けて三つ。
「その妻の方は間違いなく出て行きましたか?」
「ええ、間違いないです。夜遅くに帰ってきた時、丁度その場を見ましたから。荷物もたくさん持ってましたし」
「では、その夫婦にお子さんはいらっしゃいましたか?」
「・・・ええ、小学生くらいの子が。ただ、最近はあまり見てませんね。母親の方についていったのかもしれません」
なるほど。
今起きている異常事態についての推測が立ちました。
とはいえ、ただの推測です。
現場を訪れてみなければ何とも言えません。
ただの邪推という可能性だった十分に・・・いえ、その可能性の方が高いです。
ですので、状況から考察するのはここまで。
あとは、現場に行ってから調べましょう。
・・・推測が正しかった時の為に、準備はしておきましょうか。
「では、行きましょうか。まずは白石さんの依頼を解決に向かいます」
「へっ?これからですか? ・・・分かりました」
どうやら、私が本気であると分かったようですね。
妖符師であることは秘密ですので、霊能力者の振りでもしましょうかね?
本当は順番を変えたいところですが、急を要さないのであれば依頼優先です。
霊的現象としてはメジャーですが、今時少ないんですよね。
確かに悪霊は、現世の存在へ物理的に干渉するのは難しいです。
それが物理的ダメージとなれば尚更に。
ですから、少しずつ精神を蝕んだり、間接的に体へ異常を与えていく訳です。
そういう意味では、人ではなく物に干渉するポルターガイストという現象は、理にかなっているというか、やりやすい手と言えます。
ですが、まあ・・・やはり最近では珍しいです。
その理由は諸説ありますが、時代に合わないというのが有力ですね。
その現象自体が古い話になったため、悪霊もそれをやろうとはしないんです。
悪霊とはいえ、元は人間ですから、そういった感覚は持ち合わせてます。
つまり、今回の現象は原因となる悪霊、その元となる霊が古い存在である可能性が高いと思われます。
それがどうした、と思われるかもしれませんが、大事なことです。
何故そんな古い霊が今更そこで悪さをするのか、となりますから。
初めから悪霊だったのではない霊が悪霊となるには負の感情の蓄積が必要です。
場所自体に曰くがあるなら、その古い霊はもっと早くに悪霊化しているはず。
場所に干渉できる以上、古くからその場所に居るのは確かですから。
この辺りの話はややこしいですね。
一般的な霊の在り方と、<妖符師>の見る霊の在り方が重なって、それらが更にごちゃ混ぜになっているような感じですから。
一般的な悪霊 =恨みを残して死んだ人間が顕現した存在
人間の行いに、写真に写り込むなどして警告することもある
妖符師的な悪霊=負の感情が霊に蓄積して誕生する存在
初めから悪霊なのではない
という認識ですよね、ええ。
今回の場合、一般的な悪霊論から言えば、分かることは三つ。
1、その霊の元となる人間は恨みを持って死んだ訳ではない
2、初めから悪霊だったのではない
3、その場所で何かが起きたことにより霊の元となる人が死んだのではない
これらは、現象が最近起きたことから言えることですね。
妖符師的な悪霊論から言えることも三つ。
1、ポルターガイストという現象から推測するに、古い霊による仕業である
2、悪霊化したのが最近であることから、場所自体に曰くは無い
3、2より、つい最近、あるいは現在進行形で負の感情の蓄積が起きている
以上のことと、白石さんの話、そのマンションがそれなりに前にできたものであることを総合し、推測できるのは、以下のこと。
1、マンションが出来る以前に問題は無い(霊の元となる古い人の悲劇など)
2、マンション建設時に問題は生まれていない(墓石の破壊など)
3、現在負の感情が急激に蓄積されるような非常事態が建物内で発生している
1と2は、古い霊の仕業かつ最近現象が起き始めたことから分かります。
1と2が誤りだと仮定するなら、現象は以前から起きているはずですから。
3については、何の関係も無い白石さんの部屋の霊にまで影響を与え、しまいには悪霊化して怪奇現象を起こしたことから推測しました。
結論を述べるならば・・・もう少し聞き取りが必要ですね。
「白石さんの住まわれているマンションで、最近怪しい行動をとっている人は居ませんか?挙動不審だったり、急に羽振りがよくなったり・・・」
「へ? ・・・そういえば、下の階に住んでいる夫婦が最近離婚したとかで、妻の方が出て行ったんですけど・・・夫の方が挙動不審でしたね」
夫婦、離婚、挙動不審・・・考えられるとすると、大きく分けて三つ。
「その妻の方は間違いなく出て行きましたか?」
「ええ、間違いないです。夜遅くに帰ってきた時、丁度その場を見ましたから。荷物もたくさん持ってましたし」
「では、その夫婦にお子さんはいらっしゃいましたか?」
「・・・ええ、小学生くらいの子が。ただ、最近はあまり見てませんね。母親の方についていったのかもしれません」
なるほど。
今起きている異常事態についての推測が立ちました。
とはいえ、ただの推測です。
現場を訪れてみなければ何とも言えません。
ただの邪推という可能性だった十分に・・・いえ、その可能性の方が高いです。
ですので、状況から考察するのはここまで。
あとは、現場に行ってから調べましょう。
・・・推測が正しかった時の為に、準備はしておきましょうか。
「では、行きましょうか。まずは白石さんの依頼を解決に向かいます」
「へっ?これからですか? ・・・分かりました」
どうやら、私が本気であると分かったようですね。
妖符師であることは秘密ですので、霊能力者の振りでもしましょうかね?
本当は順番を変えたいところですが、急を要さないのであれば依頼優先です。
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